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【発達障害児支援で必要な対人関係の力を理解する視点】療育経験を通して考える

投稿日:2024年8月4日 更新日:

著者は長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしてきています。

療育を通して、子どもたちは〝対人関係″の力を伸ばしていくことができると実感しています。

一方で、〝対人関係″と言っても、個々によって発達段階や特徴などに違いがあります。

 

それでは、対人関係の力を理解する視点として、どのような点に着目するとよいのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児支援で必要な対人関係の力を理解する視点について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「加藤博之(2020)親も教師も悩み解決! こんなときどうする?発達が気になる子への指導・支援Q&A100.明治図書.」です。

 

 

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対人関係の力を理解する視点について

著書には、〝対人関係″の力を理解する視点として、以下、5つの内容を取り上げています(以下、著書引用)。

描画(人物画)の場面

 

歌の場面

 

雑談の場面

 

遊びの場面

 

親子関係の場面

 

 


それでは、次に、以上の5つについて具体的に見ていきます。

 

1.描画(人物画)の場面

子どもたちが描く絵によって子どもたちの表象(イメージ)する力を理解する手助けになることがあります。

例えば、リンゴ、車、風景が描けるということは、頭の中でその物体や情景をイメージできており、それを見立てることが可能だと言えます。

一方で、〝対人関係″に弱さがある子どもたちには、以下のような特徴があると考えられています(以下、著書引用)。

人物画が苦手であったり、なかなか描きたがらない様子が多く見られる

 

つまり、〝人″が描画の中に見られない、見られても他の物と比べてはっきりと描いていないなどの特徴があります。

一方で、〝対人関係″の力が育ってくると、描画の中に人が多く登場したり、人物中心の絵を描くことが増えていくことも著者の療育現場には見られます。

 

 

2.歌の場面

音楽の授業にある合唱など、誰かと一緒に歌を歌う楽しさを感じた経験のある人は少なからずいるかと思います。

発達障害児の中には、誰かと一緒に何かをすることに喜びを見出せないケースもあります。

どちらかと言えば、一人遊びを好んだり、一人の時間を大切にするなどです。

著書には、歌の場面を見ることで〝対人関係″の力の育ちがわかると記載されています(以下、著書引用)。

皆と一緒に歌う場面で、つまらなさそうにしているか、一体感を味わうことができているか、を見れば、対人関係や社会性の育ちがわかってくる

 

もちろん、もともと歌が好きではない子どもなど例外的なケースもあるかと思いますが、一つの指標になると著者も感じています。

 

 

3.雑談の場面

雑談は臨機応変に他者とコミュニケーションをする能力を必要とするため、自閉症など発達障害のある人にとっては苦手とする場合が多くあります。

それでは、雑談場面を見る際にどのような点に着目すればよいのでしょうか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

他児が話している内容(雑談)になかなか興味を示さない

 

つまり、雑談とは話している様々な相手に関心を寄せることでもあります。

〝対人関係″に弱さある子どもは、雑談に興味を示さない傾向があります。

〝対人関係″の力が育ってくると、様々な子どもたちが話している内容に興味関心を向ける様子が増えていくことは、著者の療育現場でよく見られる光景です。

 

 

4.遊びの場面

療育のメインは遊びです。

そのため、遊びを通して、〝対人関係″の力を理解することはとても大切です。

それでは、遊びの中でどのような点に着目する必要があるのでしょうか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

対人関係が育っている子は、やりとり遊びが上手である

 

ここでのキーワードは〝やりとり遊び″です。

〝やりとり遊び″とは、例えば、おもちゃの剣で相手を斬るふりをする、斬られたふりをするなど、お互いが共通したイメージをもとに、互いが異なる役割を演じる能力を必要とする遊びです。

著者の療育現場では、以前は〝やりとり遊び″が苦手で一方的な役回りしかできなかった子どもが、様々な役割を交換して演じることができるようになるなど、〝対人関係″の力が育っていったケースもよく見られます。

 

 

5.親子関係の場面

以下、著書を引用しながら見ていきます。

対人関係の基本は親子関係にあり、そこから友だち関係になり、教師、クラスメイト、職場の人との人間関係へと発展する

 

〝対人関係″の力の育ちは、養育者との関わりが軸になっています。

そういった意味でも、〝対人関係″〝社会性″の基本は親子関係(親に限らず養育者との関係なども含む)にあると言えます。

著者も子どもたちと接する中で、よく保護者の方との関係を見る機会があります。

親子関係の安定は、親以外の様々な他者との関係構築にポジティブな経験を及ぼすものだと感じています。

 

 


以上、【発達障害児支援で必要な対人関係の力を理解する視点】療育経験を通して考えるについて見てきました。

今回見てきた5つの内容以外にも、対人関係の力を理解する視点はあるかと思います。

一方で、今回見てきた5つの内容は療育に携わる人であれば、非常に役立つ視点だと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちが対人関係の力を伸ばしていけるように理解と支援の質を高めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【社会性の発達段階について】人の社会性はどのような発達過程を辿るのか?

関連記事:「【〝社会性″の発達で大切なこと】〝共同行為″を通して考える

 

 

加藤博之(2020)親も教師も悩み解決! こんなときどうする?発達が気になる子への指導・支援Q&A100.明治図書.

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