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子どもの成長を感じるとき②:発達支援(療育)の現場から考える

投稿日:2020年6月22日 更新日:

前回(「子どもの成長を感じるとき①:発達支援(療育)の現場から考える」)に引き続き、子どもの成長を感じた体験についてお伝えしていこうと思います。

前回の繰り返しになりますが、私は療育施設や放課後等デイサービスなどで発達支援に携わる仕事をしてきました(今もしています)。

そうした中で、子どもたちと関わることを通して、気がつけば成長していたと感じることがあります。

ここでいう気がつけばということは、人の成長は急激にというよりは、少しずつ積み重なることが多いため、事後的に振り返ると、以前とは違う子どもの様子が浮かび上がってくることがあります。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

子どもの成長を感じるとき②:発達支援(療育)の現場から考える

今回取り上げるBさんもその一人で、私がBさんに最初に会ってから、3年以上が経過します。

当時、小学校中学年のBさんと最初に会った印象として、困った特徴としては、気持ちが高まると他児に手が出る、大声を上げて泣いたり騒いだりするなど気持ちの調整がうまくできないという印象でした。

もちろん、年齢的にみても気持ちの調整は難しいのですが、感情が爆発する場面が多くあり、当時はBさんに対して大人がしっかり一人はつくという感じで対応していました。

当時は一日落ち着いて過ごすということも少なく、気持ちの変動も激しかったように思います。

Bさんは好きな大人と、ごっこ遊びや制作遊び(シールはりなど)などを好んで行っており、大人が遊びの大枠を決めながら大人と一緒に遊ぶことが多くありました。

その後、少しずつ様々な経験を重ねたBさんは2~3年の間に大きな変化を遂げます。

まず、私が驚いたのは、制作遊びの質が変わったことです。その内容が、以前やっていたシールだけではなく、文字を書いたり、ペンやハサミ、のりを使って自分の思い描いたものを完成させるまでに成長しました!

ですので、最近は大人が手を貸すというより、大人が遊びの大枠を作りながら、あとはBさんが自分で考えて作ることが多くなりました。

こうした遊びの変化は当時からすると想像できませんでした!

また、Bさんの癇癪など気持ちの調整に関しても以前より落ち着き、大人が声をかけたり、他の遊びに誘うことで落ち着くことが多くなりました。

これまで大人がしっかりついていたBさんでしたが、そうした対応は非常に減りました。そして、Bさんの印象として、穏やかになったという感じがします。

 


こうした変化を遂げたBさんから私は多くのことを学んだと思います。

それは、本人に合った環境・支援の大切さです。

発達につまずきのあるお子さんたちと関わっていると、時にはどうやって対応していけばいいのか迷うことが多くあります。

そして、長期的に自分の取り組みがプラスの効果を与えているのかなど非常に悩むこともあります。

その答えに正解はないと思いますが、一つ言えることは、本人にその環境が合っているのかという視点を持つことは大切だと思います。

環境の重要性は私がこれまで自分自身の経験や多くの子どもたちと関わってきた中で言えることです。

本人に合った環境とは、本人への安心・安全が保障され、その子の発達段階や発達特性などを理解した対応がなされた環境のことだと思います。

こうした環境の中で子どもたちは少しずつ成長していくのだと思います。

Bさんも、こうした環境の影響もあり、その中での少しの成長が堆積し(なかなかわからない)、先の大きな変化を感じさせるような成長に繋がったのだと思います。

この場合の環境とは、ご家庭や学校、そして、放課後等デイサービスなど多様な環境を指します。

環境に関しても、以前よりも発達につまずきのあるお子さんたちが過ごすことができる環境は増えているかと思いますが(放課後等デイサービスの増加など)、個々のニーズにうまく応えることができているかはまだまだ発展途上であると思います。

そして、私自身、環境の重要性を認識しながらも、まだまだ子どもたちの理解や対応の面で足りないことが多くあると感じています。

今後も、子どもたちの成長を支えるためにも、自分自身多くの学びを大切にしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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