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【青年期の愛着の特徴】〝学業不振″〝問題行動″〝親密さや信頼″を通して考える

投稿日:2024年5月30日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

子どもは養育者との愛着関係を基盤として、その後の対人関係を発展させていきます。

つまり、愛着(アタッチメント)は生涯に渡りその人の人生に影響を及ぼすと言えます。

 

それでは、青年期に見られる愛着の特徴には、どのようなものがあると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、青年期の愛着の特徴について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、〝学業不振″〝問題行動″〝親密さや信頼″を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「L・アラン・スルーフ・バイロン・イーグランド・ エリザベス・A・カールソン・ W・アンドリュー・コリンズ(著)数井みゆき・工藤 晋平(監修)(2022)人間の発達とアタッチメント 逆境的環境における出生から成人までの30年にわたるミネソタ長期研究.誠信書房.」です。

 

 

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青年期の愛着の特徴:〝学業不振″〝問題行動″〝親密さや信頼″について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

小学校時点における心理社会的適応の尺度が高校における学業不振を最も強く予測していた。

 

問題行動の予測における最も強い予測因子は、特に青年期早期においては、家庭内での暴力的で、混乱し、崩壊している雰囲気であることが明らかにされた。

 

アタッチメントの来歴それ自体は、さまざまな10代の結果に関連しているが、親密さや信頼に関する結果に最も明確かつ強く関連していた。

 

著書の内容から、愛着が与える青年期の特徴として、〝学業不振″〝問題行動″〝親密さや信頼″などに影響していくと考えられています。

例えば、著書にあるように、〝学業不振″の強さは、それ以前の学童期(小学生の時期)における適応状態と関連している、また、〝問題行動″に関する予測は、特に青年期早期の家庭状況・家庭環境が強く影響している、さらに、〝親密さや信頼″は幼少期からの愛着関係が強く影響していることが分かっています。

 

 

著者のコメント

 

〝学業不振″について

高校の時期(青年期)の〝学業不振″の強さは、小学校の頃の適応状況と関連しています。

学業不振″に及ぼす影響は様々あるかと思いますが、一般的に地頭の良さ(IQ)以外の要素も大きく影響しているのだと思います。

例えば、〝自分にはできる!″〝困難なことが合っても乗り越えることができる!″といった〝意欲のエネルギー″〝レジリエンス″〝自己有能感″の強さは、学童期に強く培われる所があります。

エリクソンが提唱した発達課題で言う〝勤勉性VS劣等感″が学童期に当たります。

つまり、この時期に、心理社会的適応がうまくいかないと(勤勉性をうまく学習できないと)青年期の〝学業不振″に繋がるリスクが高まるということです。

そして、心理社会的適応には、〝愛着関係″の要素もとても大切であると言えます。

 

〝問題行動″について

青年期特有の発達として、〝実行機能″がうまく機能しない、具体的には、〝感情に関する実行機能″のアクセルが強くなりすぎる傾向があると考えられています。

つまり、自分の力ではコントロールがうまくできない部分が出てくるということです。

この時期に、家庭内の状況が悪いと、〝問題行動″が顕在化し、さらにエスカレートしていくと言えます。

この時期は親との関係よりも親以外の関係(友人関係など)が重要になってきます。

そのため、親との愛着関係は主に子どもの自主性を見守るという立ち位置になるかと思います。

そのため、大切なことは、〝家庭内の雰囲気が良い″ということが〝心の安定″において必要だと言えます。

 

〝親密さや信頼″について

愛着(アタッチメント)の基盤は、〝人への信頼″を通して、〝自己への自信″が育まれるところにあります。

乳児期・幼児期といった幼い時期に、重要な他者(主に養育者)が与える〝安全基地″や子どもの情動に対する〝敏感性″〝洞察性″の高さが、その後の〝感情のコントロール力″を育むと考えられています。

そして、青年期以降においても、これまでの対人関係(愛着関係)の中で育まれてきた〝親密さや信頼″といった感覚は非常に強く残り続けると言えます。

 

 


以上、【青年期の愛着の特徴】〝学業不振″〝問題行動″〝親密さや信頼″を通して考えるについて見てきました。

愛着(アタッチメント)は、生涯に渡り影響するものですが、それぞれのライフスタイルにおいて特に強く影響したり、それ以前の発達過程が強く影響するなどの視点(発達的視点)を持つことが大切だと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も愛着への理解を生涯発達の中に位置づけていけるように、様々なライフステージに見られる特徴についても学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「学童期(児童期)における愛着の特徴について

関連記事:「愛着スタイルとは?4つの愛着スタイルの特徴について考える

 

 

L・アラン・スルーフ・バイロン・イーグランド・ エリザベス・A・カールソン・ W・アンドリュー・コリンズ(著)数井みゆき・工藤 晋平(監修)(2022)人間の発達とアタッチメント 逆境的環境における出生から成人までの30年にわたるミネソタ長期研究.誠信書房.

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