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【〝愛着″と〝非認知能力″との関連性について】療育経験を通して考える

投稿日:2024年5月18日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

安定した〝愛着″の育ちは子どもの成長・発達においてとても大切なことです。

一方で、ここ最近、子どもの育ちにおいて重要視されているものとして〝非認知能力″があります。

非認知能力″とは、簡単に言えば、一般的な知能(言語能力・思考力・記憶力など)以外の様々な能力を指しています。

例えば、創造性・興味・関心・意欲・主体性・自制心・自信などがあります。

 

それでは、社会を生き抜いていく上で大切だとされている愛着と非認知能力との間に関連性はあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝愛着″と〝非認知能力″との関連性について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.」です。

 

 

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安定した愛着の育ちが持つ重要性:〝非認知能力″との関連性

以下、書著を引用しながら見ていきます。

概観すると、安定したアタッチメント関係を持つ子どもには、不安定なアタッチメント関係を持つ子どもよりも、社会情緒的能力の発達に優れている様子が見られます。

 

アタッチメント関係は、「非認知能力」の領域において影響を持ってくるというのが、現在の研究が示していることだと考えられます。

 

著書の引用文にある〝社会情緒的能力″とは、〝非認知能力″のことを指しています。

そして、著書に内容によれば、最近では〝非認知能力″といった用語は使用されなくなり、その一方で、〝社会情緒的能力″といった表現が使用されているそうです(今回は〝非認知能力″といった用語を使用していきます)。

 

著書の内容から、愛着″が安定している子どもの方がそうでない子どもよりも〝非認知能力″が優れているとの記載があります。

つまり、〝愛着″と〝非認知能力″との間には関連性があるということが現在の研究知見となっています。

 

 


それでは次に、〝愛着″と〝非認知能力″との関連性について著者が感じていることについて述べていきます。

 

著者のコメント

非認知能力″とは非常に広義な概念であるため、今回は、その中で、①自尊心(自尊感情)②動機づけ③共感性、の3点について見ていきます。

 

①自尊心(自尊感情)

養育者からの愛情をしっかりと感じることができている子どもたちは〝自尊心″が高いといった印象を受けます。

著者はこれまで様々な子どもたちを見てきていますが、安定した愛着関係を築いている子はそうでない子と比べて、自分に対して肯定的な評価をする傾向があると実感しています。

逆に不安定な愛着の子どもたちとの関わりからその特徴をより顕著に感じることができます。

不安定な愛着の子どもたちは、些細なことでも傷つきやすく、どこか自分に自信がなく、自分に対してネガティブな評価をする様子が見られます。

時には、強がっている姿がありながらも、心の底は自信がないといった印象を受けます。

 

②動機づけ

不安定な愛着の子どもたちは、人生に対してどこか消極的であり、挑戦することを避ける様子があると感じています。

著者はよく、〝愛情のエネルギー″と〝意欲のエネルギー″といった言葉を使いますが、愛着の視点で言えば、〝愛情のエネルギー″が貯まることで、外に世界に対して挑戦しようといった〝意欲のエネルギー″が高まっていくと言えます。

つまり、何かに挑戦しようとする〝動機づけ″が高まると言えます。

安定した愛着の子どもたちは、様々な出来事においても前向きに捉えたり、新しいことに対しても〝やってみよう!″とする姿が多いように思えます。

 

③共感性

安定した愛着の子どもたちは、自他の心の状態に意識を向け理解しようとする力が高いように思います。

つまり、〝共感性″が高いということです。

逆に、不安定な愛着の子どもたちは、他者の心の状態に意識を向けることが難しいだけでなく、自分の心の状態を客観的に理解することも苦手といった印象を受けます。

もちろん、全く共感性が無いというわけではありませんが、普段の自分の情緒が安定していない分、自他の心の状態にまで意識を向ける余力がないこと(〝愛情のエネルギー″が不足している状態のため)、そして、そもそも共感性を持った関わり(養育者とのやり取り)が少ないといったこともあり、感情の理解が苦手なのだと思います。

 

 


以上、【〝愛着″と〝非認知能力″との関連性について】療育経験を通して考えるについて見てきました。

これまで見てきた通り、〝愛着″の育ちは、〝非認知能力″の育ちと関連性があると考えられています。

そして、実際の療育経験を通して、著者も両者には高い関連性があると感じています。

そのため、療育での実践においても、愛着の視点はとても大切だと考えています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちの育ちが少しでも豊かになるように、愛着についてさらに学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【非認知能力はなぜ注目されているのか?】療育経験を通して考える

関連記事:「【非認知能力の大切さ】10代の人たちを理解するために必要な3つの力とは?

 

 

篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.

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-愛着, 非認知能力

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