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【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(A・B・Cタイプ)を通して考える

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愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

養育者と子どもとの間で交わされる情動交流の積み重ねは、後の〝愛着パターン″さらには、〝愛着スタイル″を形成していくと考えられています。

愛着スタイル″とは、簡単に言えば、人が他者と関わる際の対人様式(方略)のことを指します。

そして、〝愛着スタイル″には、大きく4つのタイプがあると言われています。

 

関連記事:「愛着スタイルとは?4つの愛着スタイルの特徴について考える

 

それでは、4つのタイプのうち、A・B・Cタイプの愛着スタイルにはどのような特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着スタイルの特徴について、愛着スタイルのA・B・Cタイプを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.」です。

 

 

Bタイプの愛着スタイルの特徴

以下、著書を引用しながら見ていきます。

Bタイプ、安定型の子どもにおいては、自分に困ったことや嫌なこと、怖いことがあって、自分が泣いたり近寄ったりしたら、大人は自分を迎い入れて守ってくれるだろう、安心させてくれるだろうという見通しを持っていると考えられます。

 

Bタイプ(安定型)の子どもの特徴″は、自分の不快な感情が発生した際に、大人はその状態を迎い入れ安心させてくれる存在といった対人方略(適切に愛着行動を実行できる方略)を持っていると言えます。

つまり、自分の困り感に対して、重要な他者は助けてくれる存在として認識していると言えます。

このような背景には、Bタイプの子どもの養育者が、子どもの発信に対して適切な応答を示す傾向があると考えられています。

例えば、子どもが空腹時に、あまり時間をかけずに空腹を満たす行動を取る、子どもが不安がっている際に、不安感を受け止め落ち着かせようとするなど、子どもの発信への〝敏感性″そして、〝洞察性″が高い傾向があります。

そのため、Bタイプの子どもは自身の愛情行動(欲求)を適切に使用できるといったルールを持っていると言えます。

 

 

Aタイプの愛着スタイルの特徴

以下、著書を引用しながら見ていきます。

アタッチメント欲求を一貫して最小化するというルールを使っていて、自分から大人に近づいたり、感情的な表現をあまり示さないと考えられます。

 

Aタイプ(回避型)の子どもの特徴″は、愛着行動(欲求)を最小化するといった方略を持っていると言えます。

つまり、自分の困り感に対して、重要な他者はすぐに助けてくれる存在ではないと認識していると言えます。

このような背景には、Aタイプの子どもの養育者が、子どもの発信に対して、不快に感じたり、直ぐに助けようとせず、子どもから遠ざかる行動を示す傾向があると考えられています。

例えば、子どもが何か不安なことがあり養育者を泣いて求めたり、後を追ったとしても、反応が乏しかったり、しっかりと向き合おうとはしないなどの特徴を見せることがあります。

そのため、Aタイプの子どもは自身の愛情行動(欲求)を最小化するといったルールを持っていると言えます。

 

 

Cタイプの愛着スタイル特徴

以下、著書を引用しながら見ていきます。

Cタイプの子どもは、大人の近くにいたい、離れたくないというアタッチメント欲求を常に最大化して表現するルールを持っています。

 

Cタイプ(不安型)の子どもの特徴″は、愛着行動(欲求)を常に最大化して表現するといった方略を持っていると言えます。

つまり、自分の困り感に対して、重要な他者は助けてくれる時もあればそうでない時もあるなどアンビバレントな心理状態を抱えている傾向があると言えます。

このような背景には、Cタイプの子どもの養育者が、子どもの発信に対して、過剰に反応することもあれば、時には、反応が乏しかったり、遠ざけようとするなど両極端な行動を示す傾向があると考えられています。

例えば、子どもが困っている時に、過剰に心配して気にかけることもあれば、怒ったり、関わろうとしないなどの特徴を見せることがあります。

そのため、Cタイプの子どもは自身の愛情行動(欲求)を常に最大化して表現するといったルールを持っていると言えます。

 

 


以上、【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(A・B・Cタイプ)を通して考えるについて見てきました。

Bタイプ以外は、不安定な愛着に見えますが(実際に不安定型とも言われている)、大切なことは〝組織化された対人方略″を使って〝うまく環境に適応できているかどうか″という視点を持つことです。

もちろん、愛着は修正・修復される面もありますが、不安定な愛着スタイルが心理・社会的な不適応状態に直結するとは限らないということも覚えておく必要があると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も愛着への理解を深めていきながら、療育現場で関わる子どもたちとの間に良い信頼関係を築き上げていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【愛着スタイルの意味について】不安定な愛着スタイルを通して考える

 

 

篠原郁子(2024)子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング.光文社新書.

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