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【発達障害児のコミュニケーションの特徴と関わり方について】ADHDを例に考える

投稿日:2024年3月11日 更新日:

発達障害のある人たちは、コミュニケーションを苦手とするケースが多く見られます。

もちろん、中には、むしろ人との会話を得意としている人や、特定の領域においてはイキイキと会話を進める人もいます。

 

それでは、発達障害児のコミュニケーションにはどのような特徴があるのでしょうか?

また、特徴を踏まえてどのような関わり方が必要なのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児のコミュニケーションの特徴と関わり方について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、ADHDを例に理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「加藤博之(2023)がんばりすぎない!発達障害の子ども支援.青弓社.」です。

 

 

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ADHDのコミュニケーションの特徴と関わり方について

ADHD(注意欠如多動症)のコミュニケーションの特徴とは、不注意の特徴から人の話をよく聞かない、衝動性の特徴から自分が話したいことを次から次へと話したり、他の人が話している間に急に入り込む(相手が話終わるまで待つことができない)などの特徴があります。

 


それでは、ADHDのコミュニケーションに対してどのような関わり方が必要なのでしょうか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

  • 話をする際には、同時にしゃべらないようにする
  • できるだけゆっくり、簡潔に話す
  • 一度に複数の情報を発信せず、結論を短く伝えるようにする
  • 曖昧な表現はできるだけ避けるようにする
  • 適切な音量かつ心地よい声で、穏やかに伝えていく

以上の5つが関わり方として記載されています。

 


それでは、次にそれぞれについて見ていきます。

 

1.話をする際には、同時にしゃべらないようにする

子どもが話す→子どもの話を聞く→大人が話す→大人の話を聞く、といったように会話の順番を意識した関わり方は大切です。

衝動性の特徴から自分が話したいことをすぐさまそして長々と話す傾向のあるADHD児にとって、会話のキャッチボールを丁寧に行っていく必要があります。

著者はまずは子どもが話し終えるまでじっくり待ち、その後、自分の話をするように心がけています。

そして、著者が伝えたいことがある時には、「今から大切なことを話します・・・」などと一度前置きしてから話すことで静かに聞く様子が増えると感じます。

 

2.できるだけゆっくり、簡潔に話す

ADHD児に限らず発達障害児支援において大切なことは、話の内容をゆっくりと簡潔に伝えることです。

特に、言語性ワーキングメモリが低い子どもにとって、話すスピードが速いと混乱したり、話の内容が抜け落ちてしまうことがよくあります。

著者は、ゆっくりと穏やかな口調で話をすることで、ADHD児の口頭での理解が促進されることを実感しています。

 

3.一度に複数の情報を発信せず、結論を短く伝えるようにする

2は情報の速度の問題、そして、3は情報の量の問題です。

これも、言語性ワーキングメモリの低さと関連しています。

ADHD児は、複数の音声情報を処理する苦手さのある人が多くいます。

注意の持続が難しかったり、他のことに注意が振られやすいこともあり、マルチタスクを苦手としている人が多い印象があります。

著者は、例えば、守ってもらいたいルールなどは、事前に短く、そして、少ない量(最大で3つ程度まで)で伝えることを心がけています。

 

4.曖昧な表現はできるだけ避けるようにする

ADHDも含め、発達障害児支援で大切なことは曖昧さを極力避けて伝えることです。

ADHD児の場合だと、注意の転導性が高いこともあり、具体的に物事を伝えないと自分の注意に引っかかった所のみ記憶に留めることがよく見られます。

著者は、「○○が終わった後に、○○をします」「〇時に○○をしましょう」などと、具体的に伝えるように心がけています。

 

5.適切な音量かつ心地よい声で、穏やかに伝えていく

音量が大きく、かつ、口調が強いと自分が叱責されていると勘違いしてしまうことがあります。

伝えたいことがあり、その情報を正しく子どもに伝えたいときには、声の大きさと声色を調整して伝える意識が大切です。

著者はこれまでの療育経験を通して、ADHD児も含め発達障害児に対しては、声の音量や心地よい声色で子どもに接した時の方が、しっかりとその情報を受け止めることが多いと感じています。

 

 


以上、【発達障害児のコミュニケーションの特徴と関わり方について】ADHDを例に考えるについて見てきました。

ADHDの人たちは、ワーキングメモリの低さ、そして、周囲から自身の行動を叱責される経験の多さから自己肯定感が低い場合がよく見られます。

そのため、ADHDの特徴を抑えていきながら、適切なコミュニケーションの関わりをしていくことは、その後の子どもの成長においてとても大切なことだと感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わるADHD児に対して、特徴を踏まえた関わり方についても学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児のコミュニケーションの特徴と関わり方について】ASDを例に考える

 

加藤博之(2023)がんばりすぎない!発達障害の子ども支援.青弓社.

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