発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

レジリエンス 支援 発達障害

【発達障害児へのレジリエンスの支援について】失敗を減らし、成功を増やす!

投稿日:2024年2月5日 更新日:

レジリエンス″とは、〝立ち直る力″〝回復力″のことを言います。

レジリエンスを育てるためには、様々な方法があります。

中でも、発達障害の子どもには、レジリエンスが特に必要だと考えられています。

 

関連記事:「【発達障害の子どもにはレジリエンスが必要】療育経験を通して考える

 

それでは、発達障害の子どもに対して、レジリエンスを育てていくためにはどのような取り組みが大切となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児へのレジリエンスの支援について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、失敗を減らし、成功を増やす!といった内容について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「藤野博・日戸由刈(監修)(2015)発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本.講談社.」です。

 

 

スポンサーリンク

発達障害児へのレジリエンスの支援:失敗を減らし、成功を増やす!

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達障害の子は、理解や支援を受けずに自力でがんばっていると、どうしても失敗が多くなりがちです。

 

発達障害の特性があって苦労しているのなら、本人の工夫や努力だけで乗り越えるのは困難です。まわりの人が手助けして、失敗を減らし、成功を増やしてください。

 

著書の内容から、発達障害の子どもは特性などが影響して失敗経験を重ねてしまうことが多くあるとされています。

そのため、独力で状況を打開することは難しいことが多くあります。

こうした状態の中で、〝レジリエンス″を鍛えていくことは難しくなります。

なぜなら、〝レジリエンス″の育ちには、他者に頼って成功する要素が必要となるからです。

そのため、ここで大切なことは、本人が独力で乗り越えることができない困難さに対して、周囲からのソーシャルサポートが必要だと言うことです。

この場合の、ソーシャルサポートとは、発達障害の子どもの特性を理解し適切な配慮をしていくことです。

そして、可能な限り失敗を減らし、成功体験を増やしていくような環境調整や関わり方の工夫が大切になります。

もちろん、ソーシャルサポートをしていく中でも、失敗はあるかと思います。

ここで重要なことは〝失敗<成功″の状態を持続的に作り出すことで、〝レジリエンス″を高めていくということです。

そのための、ソーシャルサポート、支援が必要だということです。

 

 

著者のコメント

著者は発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの支援をしています。

発達障害への〝レジリエンス″を高める工夫として、まずは、様々な経験を増やしていきながら、その中で成功体験を総量として増やしていくことだと思います。

発達障害の子どもたちは、特性ゆえに対人関係、生活習慣、学習場面など様々なところで躓くことがあります。

そのため、自尊心が低下することもしばしばあるかと思います。

自尊心の低下を防ぎ、レジリエンスを育てていくためにも、その子の良さ、強みなどを理解して関わることが大切だと感じています。

良さや強みは、子どもの日々の生活や活動をじっくり観察すれば必ず見つかるものです。

例えば、ある特定の領域での知識が豊富にある、人に対して優しく接することができる、自分で決めたことを淡々とこなすことができる、面白いアイディを出してくれる、他の子どもたちをリードしてくれる、絵が上手、スポーツが上手、など様々あります。

著者はこうした子どもたちの良さや強みに対して、その力を伸ばしていけるような声掛けを心がけています。

人は自分が苦手とすることよりも、興味のあることや良さや強みを褒められた時の方が、やる気になるからです。

そして、良さや強みの部分からアプローチをした方が、成功経験の総量が増えると思います。

仮に、失敗しても自分の興味関心がある分野での失敗なら何とか立ち直ろうとする力が働くのだと思います。

もちろん、苦手な事や特性上日々の生活の中で配慮が必要なことは多くあります。

しかし、できない部分にばかり目が行くと、最終的にレジリエンスの力は育ちにくいと思います。

ぜひ、本人の興味関心、良さ、強みといった肯定的な側面からレジリエンスの育ちを応援してみてはどうでしょうか?

 

 


以上、【発達障害児へのレジリエンスの支援について】失敗を減らし、成功を増やす!について見てきました。

レジリエンスの育ちには基本的な生活習慣を整えることも大切だと考えられています。

つまり、様々な基盤が整うことでレジリエンスは育っていくと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちのレジリエンスを育てていけるように、子どもたちの良さや強みを見つけその中で成功体験を増やしていけるような関わりを目指していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【レジリエンスの育て方について】4つのステップを通して考える

 

藤野博・日戸由刈(監修)(2015)発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本.講談社.

スポンサーリンク

-レジリエンス, 支援, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【これからの〝社会性″の支援について】発達障害児・者支援の現場から考える

〝社会性″とは、様々な定義や表現があるかと思いますが、一つ定義を取り上げると、〝人とある対象を共有し、その共有体験を楽しむといった共同行為″だと言えます。   関連記事:「【〝社会性″とは何 …

【レジリエンスの育て方について】4つのステップを通して考える

〝レジリエンス″といった概念が注目を集めるようになっています。 〝レジリエンス″とは、〝立ち直る力″〝回復力″などとも言われています。 人は様々な失敗や困難な状況において、自分自身の状態を見つめ、他者 …

【発達障害児の〝こだわり″への対応】勝ち負けを例に考える

発達障害児の中には、とにかく勝負事で何がなんでも勝ちたいといった思いを強く持っている子もいます。 以前は、〝一番病″などとも言われていましたが、著者が勤める放課後等デイサービスに通っている子どもの中に …

【知的障害児への支援で大切なこと】療育経験を通し考える

〝知的障害(ID)″とは、知的水準が全体的な発達よりも低く、かつ、社会適応上問題がある状態のことを言います。 最近では、知的水準よりも〝適応状態″に目が向けられるようになってきています。 知的障害児へ …

【認知処理スタイル(継次処理・同時処理)の特徴について】発達障害児支援の現場から考える

著者は発達障害など発達に躓きのある子どもたちに対して、療育(発達支援)を行っています。 また、著者の周囲には当事者スタッフと言って、発達特性のある方も多くいます。 こうした子どもから大人まで、発達障害 …