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【社会性への支援④】発達障害児支援の現場を通して考える

投稿日:2023年11月19日 更新日:

社会性″とは、様々な定義や表現があるかと思いますが、一つ定義を取り上げると、〝人とある対象を共有し、その共有体験を楽しむといった共同行為″だと言えます。

著者は、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしています。

療育経験を通して、子どもたちの〝社会性″の育ちを実感する機会が多くあります。

 

それでは、発達障害児への支援を対象とした際に、どのような社会性への支援方法があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、療育現場(発達障害児支援の現場)における社会性への支援について、臨床発達心理士である著者の経験談をもとに理解を深めていきたいと思います。

 

 

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社会性への支援④:発達障害児支援の現場を通して考える

著者が〝社会性への支援″として、大切にしていることの一つが〝異年齢集団の関係を通して関係性を発展させる″です。

 

療育(発達支援)の現場には、様々な年齢層の子どもたちが同じ環境で過ごすことがあります。

異年齢集団があることで、同じ年齢以外の子どもとの関係を深めるきっかけができます。

そして、異年齢集団を通して、例えば、教える・教えられる関係、兄と弟といった兄弟のような関係が形成されることがあります。

 

 


それでは、次に、異年齢集団を通して関係性を発展させることができた事例を見ていきます。

 

事例1:教える・教えられる関わりを通して関係が深まったAちゃんとBちゃん

最上級生(6年生)のAちゃんと2年生のBちゃんは事業所で出会った当初はほとんど接点のない子どもたちでした。

著者はAちゃんとは付き合いが長かったため、Aちゃんの面白く・優しく・面倒見の良い性格はよく知っていました。

一方のBちゃんは、自分からの発信は弱く、大人と遊ぶことが多かった子どもでした。

著者は、AちゃんとBちゃんのそれぞれの性格を踏まえて、接点を持てる環境を創意工夫していきました。

最初は同じ空間で過ごす頻度を増やす、そして、大人がAちゃんとBちゃんとの間に入り遊びを繋ぐといった関わり方です。

その結果、次第にAちゃんとBちゃんは関わる機会が増えてきました。

面倒見の良いAちゃんはBちゃんに宿題や折り紙の仕方を教えたり、ごっこ遊びをリードする様子も見られました。

AちゃんはBちゃんに様々ことを教えることに自己存在感を抱いていた印象があります。

一方で、BちゃんはAちゃんの声掛けをよく聞き、教えてくれるAちゃんの存在に心を寄せていきました。

Bちゃんにとって、Aちゃんは安心でいる存在であり、様々なことを教えてくれるお姉さん的存在だったと思います。

そして、気がつい頃には、二人は常に一緒にいることが多く、大の仲良しになっていました。

この事例は、教える・教えられる関わりを通して、関係性を発展させることができたケースです。

この事例から、教えることで得られる自己存在感や、教えられることで得られる安心感や多くの学びが異年齢集団での関わりを通して生まれる可能性があるのだと実感させられました。

 

 

事例2:憧れのC先輩の後を追いかけるDくん

最上級生(6年生)のC君と3年生のDくんは事業所で出会った当初は関わりがない子どもたちでした。

お互いそれぞれ違った遊びをしており、すれ違ってもあまり接点が持てずにいました。

著者はもともと他児との関わりが弱かったDくんに対して、Cくんと接点を作ることは必要な支援だと考えました。

なぜなら、Dくんには周囲を引っ張るリーダーシップ性と優しさがあったからです。

そのため、できるだけ二人が関わりを持てる環境を事前に整備する環境調整を試みました。

そこからしばらくして二人の間に接点がでてきました。

きっかけは、共通の話題で話が盛り上がったことがきっかけだったように思います。

お互いに最近ハマっていたゲームが偶然一致し、そこから話が弾みはじめた感じです。

いつでも、誰に対しても優しいC先輩は他の子どもたちにも人気でした。

もちろん、Dくんにとっても色々と相談にのってくれたり、楽しみを共有できるお兄さんのような存在だったと思います。

一方で、Cくんにとっても、いつも自分と会うことを楽しみに待っているDくんの存在は弟のような存在として見ていたように思います。

残念なことに、事情があり、Dくんは先輩のCくんよりも先に事業所を退会することになりました。

最後の活動後の送迎で二人が別れをつげる場面は今でもよく印象に残っています。

友人であり兄弟のような関係であったCくんとDくんは年齢差があったからそこ生じた関係だったと思います。

この事例は、年上の先輩に憧れをもった年下の子どもがまるで兄弟のような関係にまで発展することができたケースです。

この事例から、年下の気持ちを汲みとり支援者よりも年齢が近い立場にある年上児童の力と、そこに憧れを持つ年下児童の間で関わりが増えていくことは、異年齢集団があるからこそ可能となるものだと実感させられました。

 

 


以上、【社会性への支援④】発達障害児支援の現場を通して考えるについて見てきました。

地域社会が衰退していく中で、異なる年齢層が一緒に遊ぶ機会が減ってきていると感じます。

一方で、今回見てきてように、異年齢集団で遊ぶことには多くの利点があり、子どもの発達にプラスに働くことがあると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で異年齢集団での関わりを通して獲得できるプラスの要素を考え生み出していけるように学びと実践を継続していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「発達障害の〝社会性″に関するおすすめ本5選【中級編】

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