〝カサンドラ症候群″とは、簡単に言えば、主にパートナーとの関係において、片方の（あるいは両方の）、共感性の乏しさが原因となって生じる心身の不調のことを指します。
上記のパートナーの特徴の中には、アスペルガー・タイプの人たちや回避型愛着スタイルの人たちが該当する割合が高いと言われています。
関連記事：「【カサンドラ症候群の原因としてよく見られるパートナーの特徴】アスペルガー・タイプと回避型愛着スタイルを例に」
一方で、カサンドラ症候群になりやすい人の特徴もあると言われています。
それでは、カサンドラ症候群になりやすい人にはどのような特徴が見られるのでしょうか？
そこで、今回は、カサンドラ症候群になりやすい人の特徴について、不安型の人を通して考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「岡田尊司（2018）カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら．角川新書．」です。
カサンドラ症候群になりやすい不安型とは何か？
以下、著書を引用しながら見ていきます。
回避型が、情緒的な反応が乏しく、自分もそれを期待しないのとは反対に、それを過剰に必要とするのが、不安型である。それゆえ、不安型の人に、カサンドラ症候群が多いのは、必然的な結果だと言えるだろう。
著書の内容にある不安型とは回避型とは正反対の特徴を持つとされています。
不安型や回避型は、愛着スタイルの特徴の一つであり、回避型が対人関係を回避する傾向があるのに対して、不安型は他者からの愛情を強く求める傾向があります。
愛着スタイルとは、過去の養育者と子どもとの関わり方がその後の対人スタイルを形成するとの考えのもと生まれて概念です。
不安型の愛着スタイルは、子どもに見られる両価型（アンビバレント型）と呼ばれるものであり、両価型の特徴としては、養育者がいなくなると過剰に不安になる一方で、養育者が戻ってくると怒りを爆発させたり、無視をしたり、甘えようとしないなど、相反する行動特徴が見られると考えられています。
そして、こうした両価型の特徴は、大人の不安型の人の特徴と類似していると考えられています。
それでは、大人の不安型の人にはどういった特徴があるのでしょうか？
以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。
大人の不安型では、相手の顔色を気にしたり、機嫌をとろうとしたりする傾向が強まる。そんなふうに振る舞ってしまうのも、ありのままの自分に自信がなく、相手に気に入ってもらい愛情や承認を絶えず得られないと不安になってしまうからだ。
自分の頑張りや気遣いを認めてもらえないと、フラストレーションがたまり、落ち込んだり、怒りを爆発させたりということも起きる。
著書の内容から、大人の不安型の人の特徴には、自分自身への自信の無さが背景としてあるため、常に他者からの愛情や承認を必要とし、それらが得られないと相手の機嫌をとろうとする行動が強まるなどの特徴があるとされています。
また、他者から愛情や承認などが得られないとフラストレーションが高まり、落ち込んだり、怒りを爆発させることもあります。
大人の不安型の人の特徴を見てもわかるように、先に見た子どもの両価型の特徴と似ていることが理解できます。
つまり、不安型の人は親密な他者からの愛情をとても必要としているため、〝共感的応答″の乏しい、例えば、アスペルガー・タイプや回避型の愛着スタイルの人がパートナーである場合には、〝カサンドラ症候群″に陥るリスクが高まると言えます。
アスペルガー・タイプや回避型の愛着スタイルの人たちは、他者との親密な関係を回避する傾向があるため、不安型の人との組み合わせとしては非常に深い関係性を築いていくためには困難となるところが多く生じるといったことが考えられます。
このように、〝カサンドラ症候群″はパートナーなどとの親密さを必要とする関係性において生じるため、両者がどのようなパーソナリティの特徴を有しているのかという視点がとても重要になると感じます。
以上、【カサンドラ症候群になりやすい人の特徴とは何か？】不安型の人を通して考えるについて見てきました。
人からの〝共感的応答″の乏しさが積み重なることで起こる心身の不調が〝カサンドラ症候群″であるため、〝共感的応答″の必要度合いもまた人によって非常に異なります。
ある人は心が通じ合う深い関係を好むかもしれませんし、またある人は淡白な関わりを求めるかもしれません。
そして、お互いの〝共感的理解″は、それぞれのパーソナリィの特徴と両者の組み合わせによって変化するものだと言えます。
私自身、まだまだカサンドラ症候群への理解は浅いですが、今後もカサンドラ症候群への理解を深めていけるように、人間が持つ様々なパーソナリティや愛着への理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事：「【カサンドラ症候群の原因について】共感的応答の重要性について考える」
岡田尊司（2018）カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら．角川新書．
