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【臨床発達心理学と発達心理学の関係について】臨床発達心理士の著者の経験を通して考える

投稿日:2023年3月13日 更新日:

著者は昔、大学の学部で発達心理学を学び、その後、大学院で臨床発達心理学を学び臨床発達心理士といった民間の資格を取得しました。

臨床発達心理学士は、〝発達的視点″を持って臨床の現場に関わるという実践者であり、現場での実践のベースとなる学問領域が臨床発達心理学になります。

一方で、臨床発達心理学の言葉の中には、発達心理学という言葉が含まれています。

言葉だけ見ると、発達心理学を応用したものが、臨床発達心理学というイメージがあり、逆に、臨床発達心理学の基礎となっているものが発達心理学というイメージを持つ方もいるかもしれません。

 

それでは、臨床発達心理学と発達心理学にはどのような関係があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、臨床発達心理学と発達心理学の関係について、臨床発達心理士の著者の経験も交えながら考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「本郷一夫・金谷京子(編)(2011)シリーズ 臨床発達心理学・理論と実践① 臨床発達心理学の基礎.ミネルヴァ書房.」です。

 

 

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臨床発達心理学と発達心理学の関係について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達心理学は最初から臨床発達心理学の領域をカバーするような広い間口をもっているからである。その意味では、最初から臨床発達心理学は、発達心理学に含まれているといってよいのである。

 

著書の内容から、臨床発達心理学の基礎に相当するものが発達心理学という捉え方は適切ではなく、発達心理学にはそもそも臨床発達心理学をカバーするような広い間口を持っていると言えます。

つまり、臨床発達心理学は、発達心理学の中に含まれるといった考え方が適切だと言えます。

 


その理由について、引き続き著書を引用しながら見ていきます。

発達心理学には2つの意味で「臨床」的といえる側面があった。1つは、現場(フィールド)から知を立ち上げるという点である。もう1つは、発達現象をトータルに理解するには、平均的な、あるいは標準的な発達を研究するだけではなく、そのような標準的コースからずれたり逸脱する発達の在り方も、「臨床的に」研究をする必要があると考える点である。

 

著書の内容から、発達心理学にはそもそも臨床的と言える2つの視点があったとされています。

それは、1つ目として、現場から知を立ち上げるという視点、そして、2つ目として、発達の標準的なコースから外れているケースも合わせて研究するという視点があります。

このように、発達心理学という用語には、臨床発達心理学でいう所の、〝臨床″の意味がすでに含まれていることが分かります。

つまり、臨床発達心理学の基礎に相当するものが発達心理学ではなく、発達心理学はすでに臨床発達心理学をも含む広い間口を持った学問領域だということです。

その中で、より実践的・臨床的な学問領域として誕生してきたのが〝臨床発達心理学″だということです。

そして、臨床発達心理学をベースに現場のニーズを解決していく実践者が〝臨床発達心理士″になります。

 

 

著者の経験談

冒頭にも書きましたが、著者は発達心理学と臨床発達心理学それぞれについて大学で学んできました。

その中で、感じたことは、どちらも〝発達的視点″を持っているという共通性がありながらも、臨床発達心理学は発達心理学と比べるとより現場より実践よりという印象を受けました。

つまり、発達心理学は、人間が誕生から死を迎えるまでの生涯過程の変化を説明している部分が強くある一方で、臨床発達心理学は、現場のニーズをどのように〝発達的視点″を持って解決していくのか?に重きを置いているという感じがしていました。

その中で、両者には共通性・重複性が多くあると感じていました。

一方で、その言葉の持つイメージから何となく発達心理学を応用したものが、臨床発達心理学なのだとも思っていました。

今回取り上げた著書の説明を見るまでこうしたイメージを漠然ともっていた著者でしたが、発達心理学といった学問領域の発展、そして、臨床発達心理学がその中でどのようにして発展してきたのかを学ぶことで、それぞれの学問領域の共通性や違いなどがより深く認識できたように感じています。

こうした認識は、自分が中心に持っている専門性とは何かを考えることに深く繋がっていくように思います。

 

 


以上、【臨床発達心理学と発達心理学の関係について】臨床発達心理士の著者の経験を通して考えるについて見てきました。

様々な学問領域には、共通性や違いがあります。

共通性や違いを理解していくことは、自分が現場で行っている取り組みを再度どのようにして見直し、深めていくかに繋がっていくのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も様々な学問領域について学びを深めていきながら、日々の実践を大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「臨床発達心理学とは?-療育経験からその視点の重要性を考える-

関連記事:「【臨床発達心理学とは何か?】心理学、臨床心理学との関係から考える

 

 

本郷一夫・金谷京子(編)(2011)シリーズ 臨床発達心理学・理論と実践① 臨床発達心理学の基礎.ミネルヴァ書房.

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