発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

大人 集団遊び

【〝集団遊び″で大切な大人の関わり方】療育現場における〝ごっこ遊び″と〝ルール遊び″に必要な大人の関わりとは何か?

投稿日:2023年2月21日 更新日:

著者は療育現場で〝遊び″を通して、子どもたちが成長・発達していくということを実感する機会が多くあります。

〝遊び″にも様々な内容や形態がありますが、社会性を養うものでとても大切な〝遊び″に〝集団遊び″があります。

そして、〝集団遊び″で代表的なものに、〝ごっこ遊び″と〝ルール遊び″があります。

 

関連記事:「【〝遊び″の〝内容″について】Piagetを例に考える

 

〝集団遊び″は、子どもたちだけでも見られるように思いますが、実際の所、大人の関わりなどは必要なのでしょうか?

必要であればどのような関わり方が必要なのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝集団遊び″で大切な大人の関わり方について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、療育現場における〝ごっこ遊び″と〝ルール遊び″に必要な大人の関わりについて考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「田中浩司(2014)集団遊びの発達心理学.北大路書房.」です。

 

 

スポンサーリンク

〝集団遊び″の2つの水準:〝ごっこ遊び″と〝ルール遊び″

以下、著書を引用しながら見ていきます。

幼児の集団遊びが子どもだけで成立する遊びと、大人が関わるなかではじめて成立する遊びという、2つの水準に分けられることを示すものである。

 

著書の内容から、〝集団遊び″には、子どもだけで成立するものと大人の関わりが必要な2つの水準があると記載されています。

子どもだけで成立する遊びとは、自由遊びの場面を観察することで、子どもたち同士の関わりにより遊びが成立するというものになります。

ルール遊び″は、一般的に大人の関わりが必要になる遊びだと考えられています。

ルール遊び″には、子どもたちが知らない遊びのルールを大人が教えるという役割が必要となるからです。

 


それでは、〝ごっこ遊び″はどうでしょうか?

以下、引き続き著書を引用します。

同じごっこ遊びであっても、子どもだけで成立する水準と、大人が関わることによって到達する水準という2つの水準が存在すると考えられる。

 

このように、〝ごっこ遊び″は、〝ルール遊び″とは異なり、子どもだけで遊びが成立するものと、大人の関わりが必要な2つの水準があるということになります。

 

 


それでは、次に、以上を踏まえて、〝集団遊び″で大切な大人の関わり方について、著者の経験談からお伝えしていきます。

 

 

〝集団遊び″で大切な大人の関わり方:著者の経験談

著者が勤める療育現場では、〝ごっこ遊び″や〝ルール遊び″が非常に多く行われています。

対象年齢が学童期ということもあり、〝集団遊び″が非常に多く見られる時期でもあります。

定型児の発達段階であれば、大人の関わりなどがなくても子どもたち同士で〝集団遊び″を楽しむことができます。

一方で、発達に躓きのある子どもたちには、個々に応じた理解と配慮が必要になってきます。

例えば、自然と相手の意図を汲みとることや自分の気持ちを相手に伝えることなどのコミュニケーション能力、ある具体的なものに見立てる力(模倣する力など)、ルールなどある基準を理解する力、など様々な面において個別の理解と対応が必要になるということです。

さらに、個別対応を超えて、子ども同士を〝繋ぐ″ということも重要になってきます。

こうした個別の対応を抑えながら、子どもたち同士を〝繋ぐ″ことで、〝集団遊び″が徐々にできるようになってきます。

〝ごっこ遊び″では、大人は子どもたち同士の会話のやり取りをリードし補うなどの関わりが必要になります。

〝ルール遊び″では、大人はその〝集団″全体にとってわかりやすいルール設定とルールの提示方法などが必要になります。

こうした大人の関わりを通して、子どもたち同士の〝集団遊び″が展開されていくという実感があります。

 

 


以上、【〝集団遊び″で大切な大人の関わり方】療育現場における〝ごっこ遊び″と〝ルール遊び″に必要な大人の関わりとは何か?について見てきました。

療育現場では、定型児以上に個別の理解と対応、そして、〝集団遊び″がうまくいくための工夫が必要になると感じています。

そのために、大人は一人ひとりの個別の発達を理解していくことが大切になると感じます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちが楽しく〝集団遊び″をしていけるために、大人が持つ役割について実践を通して理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

田中浩司(2014)集団遊びの発達心理学.北大路書房.

スポンサーリンク

-大人, 集団遊び

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ワーキングメモリを鍛えるための実践方法について振り返る

ワーキングメモリとは、作動記憶とも呼ばれ、聞いた情報を一時的に記憶に保持し、その情報を操作する力なります。 著者は昔からワーキングメモリを苦手としていました。 人との会話の中でも、固有名詞など聞いた情 …

【集団遊びに至るまでの子どもたちの結びつきを高める方法】療育を通して考える

著者は長年、発達に躓きのある子どもたちと療育現場で関わってきています。 子どもたちのタイプや状態像などにもよりますが、子どもたちは時間をかけて少しずつお互いを意識し合い、その中で集団遊びを通してお互い …

【〝集団遊び″と〝一人遊び″で獲得するものとは?】療育経験を通して考える

療育現場で子どもたちと関わっていると、〝遊び″を通しての成長・発達が非常に多く見られます。 〝遊び″といっても内容・形態は様々あります。   関連記事:「【〝遊び″の〝内容″について】Pia …

子どもの発達障害と、大人の発達障害について考える

最近は発達障害という言葉が社会の中で非常に浸透し広がってきている印象を受けます。 私がこの領域に関わりだした頃(10~15年以上前)と比較しても、その勢いや社会的認知は比べ物にならない感じがします。 …

【〝集団遊び″がうまくいかない場合の対応方法】〝ルール遊び″を通して考える

著者の療育現場では〝遊び″を通して、子どもたちの成長・発達が非常に多く見られます。 中でも、最近では、〝集団遊び″を通して、様々な子どもたちがお互いを意識し、目標・目的に向けて協力して遊ぶ様子が増えて …