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発達障害の原因について機能的結合の視点を通して考える

投稿日:2022年12月18日 更新日:

発達障害(神経発達障害)には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)、SLD(限局性学習症)、DCD(発達性協調運動障害)、ID(知的障害)など様々な症状が含まれています。

 

関連記事:「神経発達症/神経発達障害とは何か?DSM-5を通して理解を深める

 

こうした発達障害は、先天性の脳の機能障害が原因だと考えられています。

 

一方で、脳の機能障害とは具体的にどういうことなのでしょうか?

さらに、発達障害の原因を説明するものとしてどのような視点があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害の原因について、機能的結合をキーワードに理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岩波明(監修)小野和哉・林寧哲・柏涼ほか(2020)おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線.光文社新書.」です。

 

 

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発達障害の原因について機能的結合の視点を通して考える

以下、〝機能的結合“の説明について著書を引用します。

脳には、運動野、感覚野、言語野など、異なる機能を持つ多くの領域があり、互いに情報のやり取りをしながら働いています。(中略)この、異なる領域の機能が互いに連携しながら働くことを機能的結合と呼び、この連携の多い少ないが、発達障害に関わっていると指摘されているのです。

 

著書の内容から、〝機能的結合“とは、様々な脳の領域が互いに連携しながら情報のやり取りを行うという記載があります。

発達障害とは、こうした〝機能的結合“による連携がうまく機能していない状態と言えます。

例えば、ある領域が過剰に活性化したり、ある領域があまり機能していなかったりと、定型発達児・者に比べて、脳の領域間のネットワークの連携の問題だとも考えられます。

 

人間の脳には、思考、理解、運動、感覚、視覚、聴覚、言語などと対応した様々な脳の領域があります。

脳が成熟するにつれて、こうした様々な脳の領域間でのネットワークは密になってくると考えられていますが(もちろん使い方次第ですが)、発達障害の人たちはこうしたネットワークの連携がうまくいかないということです。

一方で、年齢が増すことで、脳の機能がうまく機能・連携できるようになった方もいると思います(もちろん、当の本人は脳機能といった意識はなくても)。

こうした背景には、脳の成熟がゆっくりといった要因であり、単純に時間が経過したことで脳が成熟しうまく機能するようになったケースもあれば、経験による学習の積み重ねにより互いの領域間の機能がうまく連携するようになったなど、様々な要因があるとかと思います。

 

こうした脳の領域間のアンバランスについての一つの理解に心理検査があります。

発達障害のある人たちの中には、心理検査(発達検査)を行うと、検査結果の機能間にバラツキ(凸凹)があるケースが多く見られます。

また、一つの検査は一定水準であっても、他の検査を行うことで本人が苦手としている・苦労している面が顕著に見えてくることもあります(加えて、行動観察など他の情も重要です)。

 

 


以上、発達障害の原因について機能的結合の視点を通して考えるについて見てきました。

著者が10年以上前に、発達障害について学びはじめた頃には、発達障害の原因はよくわかっていませんでした。

ただ、脳の機能障害が原因といった漠然とした理解に留まっていた感じがします。

しかし、脳の研究が進むにつれて、様々な脳の領域についての理解に加え、領域間の情報のやり取りについても少しずつ明らかになってきました。

著者も最近になって、〝機能的結合“という言葉を知り、より深く発達障害の原因を理解するきっかけとなったように思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害研究の現状に目を向けながら、最新の知見を理解し、今自分が関わる領域で何ができるのかを考えるヒントにしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

岩波明(監修)小野和哉・林寧哲・柏涼ほか(2020)おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線.光文社新書.

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