療育現場で発達に躓きのあるお子さんたちと接していると、「今向き合っている子どもはどのような気持ちでいるのか?」、「何を意図して○○の行動をしているのか?」など、様々な疑問が出てきます。
こうした疑問を現場で考える際に、子どもはたちの発達段階や心理的な面をアセスメントすることが重要になってきます。
著者は療育現場で、発語のないお子さんや発語が少しでるようになったお子さんたちとも多く関わってきました。
こうした子どもたちと接していて難しいと感じるのは言語以外での気持ちの理解の仕方です。
そのため、言語以外の面でどのような所に注意して気持ちを理解すれば良いのかという観察のポイントがわかればより深く子どもたちを理解できます。
著者もこうした観察のポイントを療育経験と様々な文献などを読むことで考えてきました。
そこで、今回は療育現場で子どもの気持ちを理解することについて、非言語的な観点から大切な視点についてお伝えします。
今回参照する資料は、「木村順(2006)子育てと健康シリーズ㉕:育てにくい子にはわけがある:感覚統合が教えてくれたもの.大月書店.」です。
子どもの気持ちの理解の仕方について(非言語的な視点)
以下に著書を引用します。
何を手がかりに「気持ち」を推しはかっているのか(略)、ここでは、「五つの手がかり」を考えてみたいと思います。
ひとつ目に、「表情」があります。それから、「視線・まなざし」。(略)三つ目は「しぐさ・動作・行動」が挙げられます。(略)四つ目には、ことばにはならないけれども、「発声」があります。五つ目はなかなか出てこない答えですが、「姿勢」という手がかりが重要になります。
(略)これら五つは「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーション」という、音声言語以外のコミュニケーションでやりとりするときの情報源です。
以上の引用から、非言語情報のアセスメントとして、①「表情」、②「視線・まなざし」、③「しぐさ・動作・行動」、④「発声」、⑤「姿勢」の5つを挙げています。
著者のコメント
最初に、①「表情」についてです。
これは非常にわかりやすいかと思います。
快・不快などの感情は表情に多く現れます。
しかし、難しいのは、表情が乏しいケースです。
著者もこれまでの経験で、表情が乏しいお子さんたちとは多く接してきました。こうしたケースであっても長く関わっていくことで微妙な表情の変化を読み取れることができるようになってきます。文脈も含めてどのような状況でどのような「表情」をしたのかが観察のポイントになるかと思います。
次に、②「視線・まなざし」です。
例えば、興味のあるものに人は「視線・まなざし」を向けます。例え発語がなくとも、何に「視線」を送っているのかなどが、興味関心を知る手がかりになります。
著者も遊びを通して、物への「視線」の向け方・人への「視線」の向け方などを観察のポイントにしています。
次に、③「しぐさ・動作・行動」です。
これは「手差し」や「手引き」など、ことばでうまく伝えることが難しい人がよく自分の要求を伝えるために行う動作です。
また、要求に加え、何かを知りたいときや共感したいときなど、その対象物を指して「指差し」で伝えることも多くあります。
著者も「手引き」や「指差し」などの行動から、子どもの要求や共感や何かを知りたいときのしぐさであるという手掛かりを得ることが多くあります。
次に、④「発声」です。
「発声」もその子なりの様々な「発声」があるかと思います。
著者も療育現場で心地良いときの発生パターンや、不快なときの発生パターンなど多くの関わりから、「発生」からのそのお子さんの状態を読み取るヒントを多く得ています。
最後に、⑤「姿勢」です。
例えば人は、興味のあるものを見ているときなど「姿勢」が前のめりになることがあります。また、元気のない時など肩を落とした状態になるなど、「姿勢」から読み取れることもあります。
著者も子どもたちの「姿勢」から、元気の良い時は背筋がしっかりと伸びていたり、逆に、元気のない時は「姿勢」が崩れているなど、「姿勢」からもヒントを得ています。
このように、非言語的な情報から読み取れる子どもたちの情報は多くあります。
これもまた、場数を重ねていくこと、その子と様々な文脈で関わる経験が大切だと感じます。
私自身、今後も言葉以外の情報も大切に子どもたちの気持ちの理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
木村順(2006)子育てと健康シリーズ㉕:育てにくい子にはわけがある:感覚統合が教えてくれたもの.大月書店.