ADHDの子どもの特徴の一つに、待てない、気持ちが抑えられないといった〝衝動性″があります。
それでは、衝動性についてどのような行動を基に理解をしていけば良いのでしょうか?
また、アセスメントを踏まえて、どのような点に気を付けて対応していけば良いのでしょうか?
そこで、今回は、ADHD児の衝動性をいかに見抜くかについて、臨床発達心理士である著者の経験と考察も交えながら、アセスメントと対応のポイントについて理解を深めていきたいと思います。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2025)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」③.教育技術研究所.」です。
衝動性のアセスメントのポイントについて
著書では、〝衝動性″のアセスメントのポイントとして、〝1.見たもの全てに反応する″、〝2.聞いたこと全てに反応する″といった二つを取り上げています。
以下、1.2それぞれについて著者の経験等も交えて見ていきます。
見たもの全てに反応する
以下、著書を引用しながら見ていきます。
視覚優位の衝動性は、目に入った物以外の視覚情報が見えなくなってしまうこともある。
このタイプの衝動性のある子供は、交通事故などに気を付けなくてはならない。
著書の内容から、見たもの全てに反応する衝動性(視覚優位の衝動性)は、見たものにすぐに近づいて見ようとしたり、気になって触ろうとする傾向があります。
著者の療育現場では、このタイプのADHD児をよく見ることがあります。
例えば、気になるおもちゃがあるとすぐに近づき手に取ろうとする、他児の遊びを見て気になるとすぐに寄っていくなど、とにかく目に入った情報が行動の強いトリガーになり、衝動的な行動が顕著に現れる印象が強くあります。
また、著書にもあるように、このタイプの子どもは、道路での飛び出し、段差のある場所での転倒など様々なリスクもあると感じます。
聞いたこと全てに反応する
このタイプの子どもは、聞いた情報に関してすぐに反応するため(聴覚優位の衝動性)、叱責を受けることが多いと記載されています。
著者の療育現場でもこのタイプの子どもはいますが、著者が一言話し出すとすぐに反応するため、なかなか会話を進めることが難しいことがあります。
大人から注意を受けるだけではなく、子どもとの会話のやり取りにおいても、会話がうまく進まないことで他児から不満や文句を言われることがあると感じます。
衝動性の対応のポイントについて
著書では、以上の内容を踏まえて、〝1.視覚優位衝動性への対応″、〝2.聴覚優位衝動性への対応″に分けた対応のポイントが記載されています。
以下、1.2それぞれについて著者の経験等も交えて見ていきます。
視覚優位の衝動性への対応
著書には、視覚優位の衝動性への対応のポイントとして、気になるものを隠すなど視覚刺激を減らすこと、そして、目新しいものは最初にしっかりと細部まで見せることが重要だと記載されています。
著者の療育現場では、特に、気になるものは、目に入らない所に置くようにしています。また、遊び終わったら片付けるなど、ものを出した状態にしないように心がけています。
視覚優位のADHD児は、注意の転導性も高く、次から次へと気になる刺激に目を向けることがあります。
そのため、必要なものだけを目に入るところに置くようにしています。
また、目新しいものは間違いなく一度は見て触るものだと考えておき、出すタイミングをはかるようにしています。
こうした環境調整だけでも、だいぶ衝動性への対応の効果はでると感じます。
さらに、道路への飛び出し、段差での転倒などリスクに関しては、先を予測して行動することが必要になるため、事前にどのようなリスクが想定されるのかを考えることが大切だと感じています。
聴覚優位衝動性への対応
著書には、聴覚優位の衝動性への対応のポイントとして、必要のないことは言わないこと、会話のルールを事前に伝えることが重要だと記載されています。
必要のないことまで話してしまうと、子どもが様々な口頭刺激に反応する機会を作ってしまうことになります。そのため、特に重要なことを伝える場面においては、必要な部分にフォーカスして話をする必要があります。
また、大人が話し終わってから質問するなど、会話のルールを前もって伝えておくことも必要な取り組みだと言えます。会話のルールを守ることができ、〝待つ″ことができたという成功体験の積み上げが重要だと言えます。
著者の療育現場では、特に、要点だけを話すようにしたり、必要なルールは視覚情報で伝えるなどの工夫をしています。
例えば、遊びで必要なルールを紙に書いて壁に貼っておくことで、口頭では入りにくかった情報がうまく伝わったケースもこれまでありました。
さらに、重要なことは、話を理解できたこと、ルールを守れたことなどをしっかりと褒めていくことが大切だと感じます。
以上、【ADHD児の衝動性をいかに見抜くか!】アセスメントと対応のポイントについて考えるについて見てきました。
ADHD児の衝動性は、特に小学校低学年の頃に多く見られる印象があります。
大切なことは、衝動性の特性を理解し環境を整えていくことで、周囲からの叱責を減らし、子どもが様々な事に対して成功できたという経験を積み上げていくことだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もADHDに関して様々な知識を獲得していきながら、より良い実践に繋げていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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関連記事:「ADHD児への療育-衝動性の対応について-」
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ADHDの理解と支援の役立つお勧め書籍は以下の記事で紹介しています。
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小嶋悠紀(2025)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」③.教育技術研究所.

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