子どもに集団での活動・過ごしを望む学校の先生や保護者は多いのではないでしょうか?
集団での活動を通して、子どもは様々な力を獲得していく側面が期待できるからです。
一方で、発達障害児や不登校児にとって集団にうまく馴染めないことはよく起こります。
こうした〝集団不適応″の子どもに対して過度な集団参加を促すことは逆効果になることがあります。
それでは、集団不適応の子どもの状態を理解する上でどのような視点をおさえていく必要があるのでしょうか?
そして、どのような対応が必要となるのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児・不登校児に見られる集団不適応について、臨床発達心理士である著者の経験と考察も交えながら、アセスメントと対応のポイントについて理解を深めていきたいと思います。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2025)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」③.教育技術研究所.」です。
集団不適応の子どものアセスメントについて
著書には、集団不適応の子どもを見抜く上で3つのポイントが記載されています(以下、著書引用)。
① 離席や離室が多い
② 行きたくない!やだ!を連発する
③ 登校しぶり・不登校傾向がある
それでは次に、①~③について具体的に見ていきます。
離席や離室が多い
多動性の症状が強いと、例えば、授業中に動き回るなど離席や離室に繋がることは少なからずあります。
一方で、〝集団が苦手・嫌い″といった背景があることで、離席や離室に繋がることがあると著書には記載があります。
著者がこれまで見てきた子どもの中で、学校や家庭などから聞いた離席や離室が多いケースでは、ADHDの多動性の特性の影響、ASDの特性の対人関係+感覚の問題の影響などが割合多いと感じます。
多動性の症状が顕著である場合は比較的分かりやすいように感じますが、ASDの特性の対人関係の問題や感覚過敏の問題が影響している場合において、ASDの特性が弱い・顕著でない場合には、集団の苦手さを掴みにくいことがあると感じます。
行きたくない!やだ!を連発する
著書には、特に低学年において、集団行動を取る場面になると極端に回避しようとする場合もある(行きたくない!やだ!の連発)と記載されています。
著者の療育現場でも、集団行動を苦手としている子どもは、集団参加に対して〝やだ!″〝やりたくない!″を連発することがあります。
何が嫌であるのか言葉ではっきりと説明できないケースも多いため、漠然とした不安感などを受け止め、具体的に何を苦手としているのかをアセスメントしていきながら、まずは集団参加を強制しない配慮が必要だと感じています。
登校しぶり・不登校傾向がある
著書には、登校しぶり・不登校傾向のある子どもの背景の一つとして、〝集団不適応″があると記載されています。
登校渋り・不登校傾向の子どもが学校に行き渋る原因には様々なものがありますが、〝集団不適応″もその一つだと言えます。
著者の療育現場には、不登校児・不登校傾向のある子どもがいますが、彼らにとって全く配慮のない集団参加・集団活動は非常にハードルが高いと感じます。
集団不適応の子どもの対応のポイントについて
著書には、集団不適応の子どもの対応について2つのポイントが記載されています(以下、著書引用)。
① 低学年期の対応は、「特性にとにかく合わせる」
② 十歳を境に徐々に集団へ
それでは次に、①~②について具体的に見ていきます。
低学年期の対応は、「特性にとにかく合わせる」
著書には、〝低学年の対応→特性にとにかく合わせる″ことについての言及があります(以下、著書引用)。
年齢が低いと、どうしても「特性が強く出やすい」のだ。(中略)低学年の場合、わがままに見えても〝脳の特性″と割り切って、集団に無理に入れることはしない。無理強いすると、傷つき体験となり、脳が成長したときに、集団に全く入れなくなる。
著書の内容から、子どもが低学年の頃は、過度な集団参加を促さずに個別の対応を重視する必要があります。
その理由として、脳の特性が出やすい時期であるため、無理に集団参加を促すと傷つき体験が増し余計に集団への参加が難しくなるからだと考えられています。
さらに、著書には、集団不適応の子どもが集団に戻れるようになるめには、数年単位といった長い時間がかかるケースが多いと記載されています。
著者の療育現場には、不登校児・不登校傾向のある子どもがいますが、こうした子どもたちにとって集団参加・集団活動のハードルはとても高いと感じています。
なぜなら、こうしたケースにおいて、過去にいじめに合ったなど集団に参加することで様々な傷つき体験を積み重ねてきたことも少なからずあるからです。
こうした状態から、集団への適応を進めていくためには、長い年数がかかることは著者の実感としてもあります。
そして、集団適応を進めていく上で、特性への理解と配慮、子どもの心身の状態を把握していきながら丁寧に関わっていくことが必要だと言えます。
傷つき体験が生じている場合の対応の仕方については以下の記事で紹介しています。
関連記事:「【傷つき体験のある子どもの対人関係と支援】療育経験を通して考える」
十歳を境に徐々に集団へ
著書には、個別の支援を継続していくことで、これまで傷つき体験がないケースにおいては、十歳を境にうまく集団に適応していく可能性が増すと記載されています(一部、自閉症の特性が強い場合などは除く)。
この場合には、集団への参加を無理なくできるように、本人と相談しながら進め、本人が〝大丈夫だった!″という体験を積み上げていくことが大切だと考えられています。
著者の療育現場でも、集団への参加が難しい子どもにおいては、まずは大人との一対一の信頼関係に始まり、そこから、徐々に集団への部分参加という形で段階を踏んで関わるようにしています。
この際に、何が本人の不安要因となっているのか?何が本人の安心要因となっているのか?を日々子どもを観察しながら把握していくことが次の支援に繋がっていくのだと思います。
自閉症児は集団参加を苦手としています。以下の記事では、自閉症児の集団参加のコツについて紹介しています。
関連記事:「【自閉症児の集団参加のコツについて】療育経験を通して考える」
以上、【発達障害児・不登校児に見られる集団不適応について】アセスメントと対応のポイントについて見てきました。
発達障害児や不登校児にとって、集団への適応は想像以上にハードルが高い場合が多くあります。
そのため、無理に集団への参加・活動を促すことなく、個別の配慮・支援を継続していくことで、少しずつ集団への適応を促すことが必要な取り組みだと言えます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も集団不適応の子ども対して、より丁寧な関わりがとれるように、自身の支援の在り方を見つめ直していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
発達障害児の様々な困り事への支援に関して参考になる書籍を以下で紹介しています。
関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】発達障害の支援に関するおすすめ本:初級~中級者向け」
小嶋悠紀(2025)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」③.教育技術研究所.

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