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【発達障害の友だち関係について】療育経験を通して考える

投稿日:2020年9月10日 更新日:

 

発達障害には、様々なタイプの方がいます。

例えば、自閉症といった対人コミュニケーションの苦手さを持っている人、不注意・多動衝動性の特徴があるADHDの人などが代表的です。

自閉症であれば、一方的な会話や場の雰囲気を読んで行動することが苦手なため、対人関係を築くのが難しいとされています。

自閉症の友だち関係について詳しくは、「自閉症の友だち関係について療育現場から考える」の記事を参照して下さい。

 

ADHDであれば、思ったことを口にしてしまう、ルールなどを意識する前に衝動的に行動してしまうなど、対人面でのトラブルが多いと言われています。

その他にも、知的な面からの困難さも併存(知的障害や境界知能)すると、言葉の理解や記憶の力、場の状況から法則を読み解く能力など様々な要素が重なり、物事の理解や人との関係を築くことの難しさが出てきます。

※DSM-5 では、知的障害は神経発達障害の中に含まれるようになりました。詳しくは、「神経発達症/神経発達障害とは何か?DSM-5を通して理解を深める」の記事を参照して下さい。

このように、発達障害といっても様々なタイプがあり、他の障害と併存することで状態像の理解が難しくなります。

 

それでは、発達障害の友だち関係にはどのような特徴があるのでしょうか?

 

今回は、私の療育経験から2つの事例を紹介しながら、このテーマについて考えていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

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【発達障害の友だち関係について】療育経験を通して考える

私自身、療育施設や放課後等デイサービスなどで様々な発達障害の方と関わる機会がありました。彼らは、友だち関係などに不器用さを持ちながらも、人と関わることを求め、その中で楽しさや繋がりを感じています。

 

以下、2つの事例を通して紹介します。

事例①(ADHD児Aさん)

当時のAさんは、小学校中学年であり、ADHDの特性が目立ち、口頭での言葉の理解は早く、よくおしゃべりするお子さんです。一人で黙々と遊ぶことも時にはありますが、多くの時間を他児と過ごしています。

私はAさんが小学校低学年から関わっていますので、トータルで3~4年間の付き合いになります。

Aさんは遊びたい相手をよく探したり、面白そうな遊びをしている他児の近くにいき、よき「一緒に遊ぼう!」と他児を誘います。相手とうまく遊びや会話がかみ合うととても上手に遊ぶことができます。

一方で、遊びのルールを途中で変更したり(自分の都合がいいように)、他児をからかう言動をしたり、一度、スイッチが入ると悪ふざけが止まらないことがあります。

そうした行動により、他児とトラブルになることがよくありますが、経験を重ねる中でうまく遊べる様子も増えてきています。

Aさんが低学年の頃は、大人と一対一で遊ぶ場面が多かった印象がありますが、中学年になるにつれて、自分から他児を誘い、仲間グループを作り、Aさんから遊びを考案するなどの様子も見られるなど、友だち関係が発展している様子が見られます。

まだまだ、ADHDの特性上による他児との関わりの難しさはありますが、友だちへの意識の高まりや、友だちとの遊びをより求めるようになったことが成長として見られます。

事例②(知的障害が疑われるBさん)

Bさんもまた小学校中学年のお子さんです。口頭では色々とおしゃべりして一見理解しているように見えますが、状況理解の難しさ記憶の定着の難しさなどから、遊びを理解することが難しく、自分の思い通りに他児を動かそうとする様子があります。

Bさんが低学年の頃は、他児と遊びたくてもルールの理解や他児の言動の理解などが難しく、うまく関係を築くことに難しさが見られました。そのため、Bさんは大人との遊びを求めることが多く、Bさんの好きな遊びを大人と一対一でするという様子が多かったかと思います。

一方で、中学年になるにつれて、少しずつですが、他児から受け入れられることが増え、他児とルールの中で遊びを進めることができる様子が増えてきました。

今では、大人よりも他児との遊びを求めてやってくることが多くなり、友だち意識が非常に高まってきています。

まだまだ、大人のサポートを必要としますが、B君なりに友だち関係が進んでいる様子が見られます。

 

 


以上、2つの事例を挙げながら、発達障害の友だち関係の特徴について見てきました。

発達障害には様々なタイプがありますので、友だち関係もまた様々です。私が所属している放課後等デイサービスにくる子どもたちの中には、友だちを求めてくるお子さんたちが多くいるのもまた事実です。

そして、不器用ながらも対人意識の高まりや、友だちと何かを共有する楽しみを見出しています。

今後も子どもたちが何を求めているのかを考えながら、より良い支援を目指していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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