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【なぜ不登校が増えているのか?】不登校の環境要因について考える

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不登校の子どもの数が増加していると言われています。

子どもたち一人ひとりが学校にいきたくない理由には、個人要因として様々な理由があると考えられています。

個人要因には例えば、友人関係の問題、先生との相性の問題、勉強の問題、生活習慣の乱れなど、単発的な理由もあれば、様々な理由が重なり合っている場合もあります。

 

一方で、環境要因に目を向けた場合において、全体的に不登校が増え続ける要因はあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、なぜ不登校が増えているのかについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、不登校の環境要因について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「本田秀夫(2025)発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全.フォレスト出版.」です。

 

 

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【なぜ不登校が増えているのか?】不登校の環境要因について考える

以下、著書を引用しながら見ていきます。

いまの学校にはノルマ化とダメ出しが多すぎて、子どもたちも先生も苦労しています。平均的な子どもであっても、少し背伸びをしないと標準に到達できない環境になってきているように感じます。ノルマ化とダメ出しの多さが不登校の環境的な要因になっていると考えられます。

 

著書では、〝なぜ不登校が増えているのか?″といった環境要因として、学校におけるノルマ化とダメ出しの多さが影響していると指摘しています。

学校には、守るべきルールや基準など、様々なノルマがあります。

もちろん、それは子どもだけではなく、先生にとっても多くのノルマが求められています。

ノルマ化が多くなることは、到達すべき課題やルールが増えることでもあるため、その一定の基準値に満たない子どもにはダメ出しが増えていきます。

学校とは、平均的な子どもを中心に作られた学習内容やルールが設けられていることが多いため、その水準を下回る子どもにとっては厳しい世界だと言えます。

また、平均的な水準よりも高い子どもにとっても、保護者や先生が高い期待を子どもに持つことで、本人の負担感が高まることにより、その結果として、不登校に繋がるリスクもあるとされています。

このように、学校のノルマ化とダメ出しが多いといった環境要因が、不登校増加に繋がっているといったことが言えます。

 

 

著者の経験談

それでは、次に、著者の経験から不登校の事例を紹介します。

 

事例:当時、中学生のAさん(男性)

Aさんは、非常にまじめな性格であり、先生の言うことはよく聞き、勉強もまじめに行い(宿題は必ず提出する)、学校のルールもしっかり守る生徒でした。

一方で、Aさんは、学校から求められる様々な内容についていけるだけの能力が備わっていませんでした。

そのため、学年が上がるにつれて、勉強での遅れが顕著になり、先生たちが話している内容も抜け落ちることが増え、そんな中で学校のルールを守ろうと必死でした。

Aさんにとって、学校から求められるノルマは非常にハードルが高く、日々、様々なノルマをこなすことで精一杯な状態でした。

この時点で、Aさんは〝過剰適応″の状態だったと言えます。

Aさんは、ノルマがこなせないと、自分自身に対して、ダメ出しをする様子が増えていきました。

例えば、テストで○○点だったからダメ、先生が言っていることを忘れたからダメ、学校のルールを守れなかったからダメなど、自分自身に対して、様々なダメ出しをしていました。

学校での楽しみは徐々になくなっていき、ノルマをこなす日々になってしまっていたのだと思います。

当然、Aさんは学校に行く動機が下がり、その後は徐々に、学校を休みがちになっていきました。

 

こうした事例は決して珍しくはないと思います。

それだけ、現在の学校には、ノルマが多いと言えます。

様々な理由から、ノルマに到達できない子どもは、自己肯定感が低下するなど意欲のエネルギーが不足してしまい、結果として、不登校になるケースが多くなっていくのも納得できます。

そして、ノルマをこなさないといけないのは、学校の先生も同じです。

先生たちも、ノルマの多さに疲弊しているのだと思います。

このように、現在の学校には守るべき決まりやルール、期待に応えるべき事項が非常に多く存在しているのだと言えます。

こうした環境要因が影響して、不登校増加に繋がってることは著者の感覚としても納得できるところが多いと感じます。

 

 


以上、【なぜ不登校が増えているのか?】不登校の環境要因について考えるについて見てきました。

不登校には、個人要因と環境要因とが相互に影響しています。

こうした様々な要因を理解していくことで、不登校に関する理解がさらに深まっていくのだと感じます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校増加に関する背景を考えていきながら、不登校児との関わり方について学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【不登校の子どもは増えているのか?】不登校の現状について考える

 

 

本田秀夫(2025)発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全.フォレスト出版.

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