〝感覚運動期″は、感覚と運動を通して、外界の世界を認識していく時期になります。
生後2歳頃までの時期に当たる〝感覚運動期″は、まさに、〝からだで学ぶ時期″だと言えます。
ピアジェ理論や太田ステージなどの発達段階を見ても、〝感覚運動期″は最初のステージに相当します。
それでは、感覚運動期には、どのような特徴があると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、感覚運動期に見られる4つの特徴(「物の永続性」「物の機能」「手段と目的の関係」「因果関係」)について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.」です。
感覚運動期の4つの特徴:「物の永続性」「物の機能」「手段と目的の関係」「因果関係」
それでは、タイトルにある4つの特徴について、それぞれ見ていきます。
物の永続性
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「物の永続性」の理解とは、物の表象、すなわちイメージを頭の中に留めておけるようになることです。
感覚運動的な活動を通して、この時期に獲得する認知の力の特徴の一つ目として、「物(対象)の永続性」があります。
これは、著書にあるように、物が目の前から消えても、その物自体は存在しているといった認識が持てるようになること、つまり、表象(イメージ)機能が芽生えてきた状態の現れだと言えます。
例えば、子どもの目の前にぬいぐるみを置き、その上に布をかぶせて見えなくしたとします。
しかし、子どもには、例え見えていなくても、布の下にぬいぐるみがいるといった表象(イメージ)を持つことができます。
物の機能
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「物の機能」とは、物の用途がわかり、その物の特性に合った扱いができるようになることです。これは物を意味づける力ともいえます。
感覚運動的な活動を通して、この時期に獲得する認知の力の特徴の二つ目として、「物の機能」があります。
これは、著書にあるように、物の使用用途が分かることを指します。
例えば、スプーンを持てば〝食べるもの″、コップを持てば〝飲むもの″、ラッパを持てば〝吹くもの″、ボールを持てば〝転がしたり、投げたりするもの″と言ったように、ある物を見て(手に取って)、その物の機能(使用用途、使い方)を意味づけることができることを指します。
手段と目的の関係
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「手段と目的の関係」の理解とは、何らかの手段を使って目的を達することができるようになることです。
感覚運動的な活動を通して、この時期に獲得する認知の力の特徴の三つ目として、「手段と目的の関係」があります。
これは、著書にあるように、子どもがある目的を達成するために、○○の手段を活用するといった理解が可能になることを指します。
例えば、手の届かない棚の上にあるおもちゃを取りたい(目的)状況において、近くにいる大人に発生や身振り手振りでその意図を伝達する(手段)などがあります。
因果関係
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「因果関係」の理解とは、原因と結果の関係が理解できるようになることです。
感覚運動的な活動を通して、この時期に獲得する認知の力の特徴の四つ目として、「因果関係」があります。
これは、著書にあるように、原因と結果の関係がわかるようになることを指します。
例えば、斜面の上からボールを転がすと、斜面の下にある物や的にぶつかる・倒れるといった因果関係を理解できれば、斜面のボール転がし遊びの楽しさが分かるようになっていきます。
以上、【感覚運動期の4つの特徴】「物の永続性」「物の機能」「手段と目的の関係」「因果関係」について見てきました。
感覚運動期は、感覚と運動を通して、自ら物(対象)に働きかけていく中で、様々な対象を理解したり、行為の結果を繰り返しの活動の中で予測できるようになってきます。
そして、感覚運動期は、後の象徴機能(イメージ・言葉)の世界に発展していきます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場での子どもとの関わりを通して、子どもの発達段階を見る目を養っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.