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発達支援(遊び編):「アスレチック遊び」

投稿日:2020年7月7日 更新日:

 

私が以前勤めていた療育施設にはたくさん体を使って遊べるものが揃っていました。その中でも「アスレチック遊び」は人気の一つでした。

 

そこで、今回は療育現場での「アスレチック遊び」について実際にどのようなものをやっていたのか、そして、その時の子どもたちの様子なども交えながらお伝えしていこうと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

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発達支援(遊び編):「アスレチック遊び」

「アスレチック遊び」といっても様々なものがあるかと思います。

私がいた療育施設では、自分のクラスをはじめ、ホールや廊下(広い)などを活用してアスレチックを作っていました。

 

まずは準備物です。

使用したものとして、巧技台、梯子、平均台、滑り台(室内用)などをはじめ、使えそうなものはどんどん取り入れていました。もちろん安全管理は徹底し、マットや巧技台の固定は徹底して行いました。

この中で最も活躍するのが巧技台です。巧技台は、跳び箱を重ねていくようなイメージで積み上げることで高さを調整できます。そして、巧技台の端にはひっかけ用の穴があり、この部分に梯子や滑り台などを取り付けることが可能となっています。

安全管理の面では、巧技台は高くなると当然不安定になるので、紐やガムテープなどで他の巧技台と床とを固定し、巧技台の横にマットを敷きます。連結部分を強化することがとても重要でした。

実施場所は前述しましたが、クラス内や廊下、ホールなどに作りました。

 

実際にどのようなアスレチックを作ったのかを次にお話します。

アスレチックは場所や参加する子どもたちに応じて、非常に形を変えました。

よく意識したのがスタートとゴールです。

例えばですが、スタートに平均台を使用し、次に、巧技台で階段状のものを作り、途中に梯子を付けてわたる場所を作り、最後に滑り台をすべるというものはよく作りました。

これだけでも、必要な機能としては、バランス、登る、両手足を使って慎重にわたる、滑るなど、様々な能力や動きが要求されます。このコースは実施した中でも難しいものでした。

もう一つの例ですが、スタートに巧技台を置き、また少し間隔をあけて巧技台を置きます。こうして間隔をあけて巧技台を複数おいていきます。そして、巧技台で階段を作り、最後にマットめがけて飛ぶというコースもよく作りました。このコースは飛ぶということをより意識的に作ったものになります。

こうしたアスレチック遊びでの中で、子どもたちの動きをよく観察することがとても大切です。一つひとつの体の使い方、どのようなサポートがあるとできるのかなどをよく見極めることです。

私がいた療育施設では発達につまずきのあるお子さんたちが通園してきてましたので、一人ひとりに合わせた対応が非常に重要です。

例えば、平均台がうまく渡れない子どもに対しては、平均台を2本くっつけてみる、壁側に置いてみるなどの環境設定をすることで、足場が広くなる、壁に手を添えながら渡れるなど難易度の調整ができます。

巧技台の設置に関しても、縦にするか横にするかで足場のスペースが変わったり、巧技台の間隔をどの程度あけるかでわたれるかどうかにも変化がでてきます。

滑り台の斜面の角度や巧技台からのジャンプなど高さに関する点でも調整することで一人ひとりの楽しみかたや挑戦の仕方が変わってきます。

そして、こうした過程の中には必ず大人が傍にいてすぐに対応できるための体制づくりが重要です。

 

最後に「アスレチック遊び」での子どもたちの様子についてお話します。

アスレチック遊びは様々な動きを使うため、子どもたちの能力に応じて、楽しみ方や課題、そして、人的(大人の介入)や物的(個々に応じたアスレチックの調整)な環境側からのサポートが変わります。

私が見てきたお子さんたちの多くはアスレチック遊びが非常に好きだったという印象があります。

アスレチックを作り始めるとすぐによってきて完成する前からやり始めます。また、アスレチック大好きな子どもの中には、自分から手伝って作ろうとする様子も見られます。

特に年長児になるとレベルの高いものを求めるお子さんも多く、非常に急な滑り台(固定が大変です)、平均台をたくさん繋げ長い一本橋にしたもの、何段も積み上げた巧技台渡りなどを楽しむ様子がありました。

また、肢体不自由児などは毛布やシーツを使って滑り台を滑ったり、保育者が抱っこして高い巧技台に座ると、笑顔をたくさん見せてくれました。

こうしたアスレチック遊びを年間通して行うことで、これまで、巧技台をうまく渡れなかった子どもが、登り降りや、スペースのある場所で下を意識しながら渡れるようになったり、平均台でも最初は大人や壁の支えを頼りにしていた子どもが、自力で渡れるようになったり、高さのある所でもバランスをとって歩くことができるようになったりと、継続することで多くの成長が見られました。

ここで、重要なのは少しのサポートで子どもたちが“できた”という体験を生み出す大人側の働きかけだと思います。

こうした体験は子どもたちのさらなる挑戦意欲を引き出すことや子供たち自身の自信にも繋がると思います。

子どもたちは環境に応じて、自分の身体の動かし方、力の入れ方、バランス感覚などを学習していきます。幼い頃の体を動かす経験はとても大切です。

今後も、体を動かすことの大切さという視点から、発達への理解と支援を深めていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 


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関連記事:「発達支援(遊び編):療育施設での遊びのレパートリーについて

 

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