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【偏食への理解と対応③】発達障害児支援の現場を通して考える

投稿日:2024年9月21日 更新日:

発達障害児・者には様々な感覚の問題が見られると言われています。

そのため、発達障害児・者支援に携わる人たちにとって、感覚の問題への理解と対応に関する知識は必須であると言えます。

感覚の問題(偏り)によって生じる問題の一つに〝偏食″があります。

偏食″は、目には見えにくい様々な背景要因があると考えられています。

 

それでは、偏食を理解し対応していく上でどのような視点が必要になるのでしょうか?

 

そこで、今回は、偏食への理解と対応③について、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「前田智行(2021)子どもの発達障害と感覚統合のコツがわかる本.ソシム.」です。

 

 

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偏食の背景要因について

偏食″には様々な背景要因があると考えられています。

そのため、背景要因を理解しその上で対応策を考えていく必要があります。

 

今回は、次の4つの観点から〝偏食″について見ていきます(以下、著書引用)。

視覚の困難による偏食

 

不安性の高さによる偏食

 

不器用さによる偏食

 

その他の原因による偏食

 

 


それでは、次に、それぞれについて具体的に見ていきます。

 

⑦視覚の困難による偏食

〝偏食″は、食材の見た目や色(〝視覚″)による影響から生じる場合もあります。

例えば、スイカの黒い種の感じが嫌だ、赤色の食材は苦手、銀色の食器だと食べないなど、見た目や色など視覚的な影響を受けて食べる・食べないが左右されるなどです。

 


それでは、こうしたケースにおける対応策について見ていきます(以下、著書引用)。

  • 「食材を揚げて黄色にする」など調理で色を変える
  • 食べられない色の食材は刻んで、食べられる色の食材に混ぜる
  • 食べられる色の食器に変える

 

著書にあるように、揚げて色に変化をつけたり刻んで混ぜて見えなくするなどの調理法の工夫、そして、好きな食器に変更するなどの方法があります。

著者は以前、テレビ番組で〝偏食″の子どもへの対応として、苦手な食材を細かく刻み、好きな食材に混ぜる方法をとることで、苦手な食材が食べられるようになった内容にものを見たことがあります。

この番組を参考に、療育現場でも、苦手なものを好きなものに混ぜることで食が進んだケースもありました。

 

 

⑧不安性の高さによる偏食

感覚に過敏さがあると不安感が高くなるため、本人が安心できない食材に関しては強く抵抗して〝偏食″に繋がる場合もあります。

例えば、完成された料理を見た際に、元々の食材への不安があると(何を材料に作られたかわからないなど)口にしようとしないなどがあります。

 


それでは、こうしたケースにおける対応策について見ていきます(以下、著書引用)。

  • 元の食材の写真を見せる
  • 材料のときから大人と一緒に調理をして見た目が変わる過程を見せる

 

著書にあるように、元の食材を伝える(写真などで)ことや、一緒に調理の過程を見てもらうなどの方法があります。

著者は療育現場で、クッキングなど調理プログラムをしたことがありますが、作る工程を見せることで食が進んだケースや以前は食べることがなかった料理を食べるようになった子どももいました。

 

 

⑨不器用さによる偏食

〝偏食″には、箸やスプーンをうまく使えない、食器をうまく支えることができないなどの〝不器用さ″が影響して〝偏食″に繋がることもあります。

最近では、〝発達性協調運動症(DCD)″といった協調運動に関する発達障害が注目されるようになってきています。

〝感覚の問題″以外にも、〝運動の問題″が影響して〝偏食″となる場合もあるということです。

 


それでは、こうしたケースにおける対応策について見ていきます(以下、著書引用)。

まずは扱いが簡単なフォーク(安全のためプラスチック製)などを使用し、楽しく食事をすることからはじめます。そのなかで、徐々に扱える道具を増やしていきます。

 

著書にあるように、不器用さへの対応としては、使いやすい道具の工夫とスモールステップで練習していくことです。

その中で、食事が楽しいと感じる経験を増やしていくことがとても大切です。

著者がこれまで関わってきた子どもの中には、不器用さがあるため、食事が思うように進まないケースもありました。

こうした子どもに対して、使いやすい道具の工夫を調整していくことで、少しずつ食事に集中できるようになった子どももいました。

 

 

⑩その他の原因による偏食

以下、著書を引用しながら見ていきます。

  • アレルギーをもっており、食事によって口内がかゆくなって食べられない
  • ADHD薬のコンサータの副作用で食欲不振になっている

 

著書にあるように、アレルギーがある、服薬で食欲が低下するなどの影響もまた〝偏食″に繋がる場合があります。

これらのケースは医療機関との連携、並びに、学校や家庭など様々な環境での情報交換及び共通した対応策が必要かと思います。

著者の療育現場にも、服薬により食欲が低下した子どももいます。

そのため、家庭や学校、医療機関の情報収集が重要になってきます。

 

 


以上、【偏食への理解と対応③】発達障害児支援の現場を通して考えるについて見てきました。

偏食と一言でいっても、その背景には様々な要因があると言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も偏食への理解を様々な感覚との関連性(感覚以外も含め)から理解する目を養っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【偏食への理解と対応①】発達障害児支援の現場を通して考える

関連記事:「【偏食への理解と対応②】発達障害児支援の現場を通して考える

 

 

前田智行(2021)子どもの発達障害と感覚統合のコツがわかる本.ソシム.


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