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障害の併存とは?ADHDとASDの共通の特徴や違い

投稿日:2020年5月6日 更新日:

発達障害が社会の中で認識される機会が以前より増えてきています。

こういった背景には、当事者やその家族からの発信など情報を通して多くの人が発達障害を知る機会が増えてきたことなどが背景にあるかと思います。

そんな中で、ある発達障害の特性に該当はするも、他の発達障害にも該当するといった複雑なケースもあるかと思います。

2013年のDSM-5 以降、併存診断が可能になったこともあり、今後はより発達障害の併存という観点が重要になってくるかと思います(例えば、ADHD+ASDの二つの診断名がつくなど)。

 

それでは、そもそも自閉症とADHDにはどのような違いがあるのでしょうか?

 

そこで今回はADHDとASDを例に挙げ、両者の特性について、違いや共通点について説明していきながら、私のこれまでの経験から両方の特徴が見られる方の例などをお伝えしていこうと思います。

 

今回参考にする文献として、本田秀夫著「発達障害:生きづらさを抱える少数派の「種族」たち」と司馬理英子著「最新版 真っ先に読むADHDの本」を参照していきます。

 

 

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ADHDとASDについて

ADHD(注意欠如/多動性)は、不注意、多動性、衝動性を特徴とした発達障害です。

ASD(自閉症スペクトラム障害)は、社会性やコミュニケーションの問題、こだわり行動を特徴とした発達障害です。

ADHDは、行動面の問題、ASDは認知面の問題とも考えられています。

 

 

ADHDとアスペルガー症候群の違いについて

ここで、ADHDとアスペルガー症候群との共通の特徴や違いについて、司馬(2020)を参照しながらお伝えしていこうと思います。

アスペルガー症候群とは、ASDの中で言葉の遅れがない人達のことをいいます。

多動ADHD:あることもアスペルガー症候群:あることも(状況が理解できないときなど)

不注意ADHD:問題ありアスペルガー症候群:偏りがある(好き嫌いで差が出る)

衝動性ADHD:あることもアスペルガー症候群:あることも(状況が読めなときなど)

言語ADHD:遅れはないアスペルガー症候群:著しい遅れはない(一方的な話し方、冗談が通じないなど)

対人関係ADHD:さほど問題なし(行動内容によってはトラブルを起こすこともあり)、アスペルガー症候群:問題あり(他者の意図や気持ちの汲み取りが難しい)

こだわりADHD:ないアスペルガー症候群:ある(興味関心が強い)

感覚ADHD:問題なしアスペルガー症候群:あることも(感覚が敏感・鈍感など)

その他アスペルガー症候群には不器用さ(発達性協調運動障害)が見られることもある

 

 


このように、ADHDとアスペルガー症候群との間には一見共通に見える特徴や違いがあります。

また、共通の特徴も場面や状況などにも依存してくるかと思います。

現在の医療現場では、一つの障害特性だけが存在し、そのための診断のみで対応可能というケースは比較的少ないと考えている方もおります。

逆にどれか一つの特性だけが顕著に出ていると非常に理解しやすいと言われています。

こうしたことから、今後は様々な障害特性を理解し、障害の強度や、場面に応じて見られる困り感などを理解していくことが重要だと思います。

 

 

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それでは、次に著者の体験談についてお伝えしていきます。

 

著者の体験談

ここからは、私の身近な方で両方の特徴が見られる事例について簡単にではありますが、お話ししていこうと思います。

成人男性のAさんは、言語の遅れはなく(むしろ高い)、もともと人とのコミュニケーションや対人距離の取り方が独特な方でした。何となく周囲を気にしている様子は少なく(本人なりの気遣いはしていると思いますが)、自分が興味のあることを急に話し始めたり、自分のペースで行動を進めている印象が強く見られました。こうした特徴からASD傾向が強い方なのではという考えは昔からありましたが、Aさんは他にも忘れ物が多い、ソワソワと動いていて落ち着きがないなど、ADHDの特性と見える行動も多く見られました。

当時、私は障害の併存という観点を詳しく知らなかったため(知っていても実体験としての認識が薄い)、何か一つの障害特性で理解しようとしていました。例えば、ASDの特性、ADHDの特性などです。しかし、ここ最近、それだけでは現場で関わる発達につまずきのあるお子さんたちや当事者スタッフの方を理解することが難しいという結論に至り、併存という観点を考えるようになりました。こうした観点から再度お子さんたちや周囲の発達障害のある方を観察してみると、意外にもそれまでわからなかった行動の背景を説明できることが増えてきました(当然、仮説の段階ですが)。

 


先ほどのAさんの例でも見たように、ある認識のみで人を理解しようとすることには限界があると思います。

重要なのは、相手をより深く理解するために探求心を止めないこと、他の意見や知識を多く吸収し、自分の目で見て感じ考えることだと思います。

まだまだ未熟ではありますが、今後も目の前の子供たちをより深く理解し、より良い支援ができるように様々な観点を自分の中に取り込んでいきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

本田秀夫(2018)発達障害:生きづらさを抱える少数派の「種族」たち.SB新書.

司馬理英子(2020)最新版 真っ先に読むADHDの本:落ち着きがない、忘れ物が多い、待つのが苦手な子のために.主婦の友社.

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