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発達凸凹の子どもへの対応・関わり方について

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発達凸凹とは、ASDやADHDやLDなど、その子の能力や特徴に偏りが見られる人たちのことを指します。

 

関連記事:「発達障害の3つのグループについて【療育経験を通して考える】

 

発達障害の多くは、発達凸凹だと言われていますが、非常に多くを占めている発達凸凹の子どもたちに対して、何か早期の対応・関わり方などは必要なのでしょうか?

そこで、今回は、発達凸凹の子どもへの対応・関わり方について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、考えを深めていきたいと思います。

 

今回参照する資料は「杉山登志郎・白柳直子(2021)教えて 発達障害・発達凸凹のこと.IAP出版.」です。

 

 

発達凸凹の子どもへの対応・関わり方について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

特別な配慮・接し方が必要な器質系発達障害の子どもたちとは異なり、発達凸凹の子どもたちに必要なことははっきりしていて、<叱りすぎない><無理をさせない><健康に気をつけて生活しましょう>。それだけです。

 

著書の内容から、特別な配慮や支援が必要な器質系発達障害と比べて、発達凸凹の子どもたちへの対応・関わり方で大切なことは、①叱りすぎない、②無理をさせない、③健康に気をつける、といった非常にシンプルな3点です。

つまり、発達凸凹の子どもへの特別な対応や関わり方が必要というよりも、その子が無理せず安心して日々を送れるような配慮が必要ということになります。

 

さらに、著書では発達凸凹の子どもへの具体的対応について、以下の点を指摘しています。

何をすればいい、というより、先ほども少し言いましたけど僕が思うのは、主に、これとこれはやめましょう、ですね。<過剰に叱責しないようにしましょう><叩かないようにしよう><多少アホなことをしても多めに見ましょう>。

 

こうして、さらに著書の内容を見ていくと、発達凸凹の子どもへの具体的な対応は、○○は少なくともしないようにしよう、○○は許容しようなど、子どもへの過度な指摘や注意は止め、関わり方・接し方を緩めることだと言えます。

例えば、○○の行動には○○の対応といった少し指導的な関わり方というよりも、○○の行動をしても多めに見る、厳しく注意や叱責をしないといったイメージです。

もちろん、関わる大人たちは、子どもたちの気になる言動や行動に対して、指導的な関わりをして行動を修正することが正しいと考えている方も多いと思います。

また、自分たちもそのようにして親や先生などが関わってきた過去の体験を踏まえて、無意識的に関わっている側面もあると思います。

しかし、発達凸凹の子どもたちは、先天的にもっている脳の特性上(脳の性質上)、悪気はないが行動を止めれないことも多くあります。

そのため、注意しても直ぐに修正する能力が、発達凸凹の子どもたちに難しい面があります。

こうした本来の特性に留意して、対応・関わり方の枠を緩めていくことがとても大切だと著者は感じています。

つまり、対応・関わり方を緩めることは、前述した①叱りすぎない、②無理をさせないなどに繋がってくると思います。

 

 


以上、著書を参照しながら、それに合わせて著者の意見も述べてきました。

発達凸凹の子どもたちは、定型児とは注意の向け方などが異なるため、様々な状況に対して独特な情報処理を行います。

そのため、過度な叱責や無理をしてまで、気になる行動を修正するというよりも、少し、ゆったりした気持ちを持つなどした態度が必要だと感じます。

著者も発達凸凹の子どもたちと日々の療育現場で接していて感じることは、必要以上に、注意したり、無理をさせるよりも、対応・関わり方の枠を緩めていった方が、長期的には、子どもたちの心の育ちが良い方向に向かい、小学校高学年になるにつれて、これまで気になっていた行動が減少していくといった経験がこれまで豊富にありました。

そのため、大切なことは、個別の理解をしていくことです。

この子の行動の意図や背景を考えること、長い発達過程の中で、今どのような歩みを遂げているのかといった理解です。

こうした観点から、発達障害の特性理解は必要になってくると感じます。

つまり、気になる行動や言動の背景には、その子本来の特性があり、その特性ゆえに出てしまっている行動だという理解です。

こうした理解を徐々に高めていくことで、自然と目の前の子どもたちの理解が深まり、個別の配慮事項が分かってくると思います。

それは、繰り返しになりますが、過度な叱責や注意から遠のく対応・関わり方に繋がっていくと感じます。

 

 


以上、発達凸凹の子どもへの対応・関わり方についてについて見てきました。

私自身この記事を書いていてハッとすることがありました。

それは、日々の療育現場で、子どもたちのことを考え続けていった結果、対応・関わり方の枠が緩み、子どもたちがより安心して活動できるようになっていったということです。

これは、意識してやったというよりも、子どもたちことを理解しよう(子どもへの個別の配慮)と繰り返し大人の対応・関わり方の修正を繰り返していった結果だと思います。

ポイントは子どもたちのことを考える、子どもの視点で考えることだと思います。

そうして見ると、発達凸凹の子どもへの対応・関わり方は何も特別な方法ではなく、日々の子どもの興味・関心に寄り添い、そして、困り感を解消していくことの繰り返しの中で見出されていくものだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も日々の療育での積み重ねを大切に楽しい現場を作っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

杉山登志郎・白柳直子(2021)教えて 発達障害・発達凸凹のこと.IAP出版.

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