発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

多様性 発達 発達障害

発達の多様性を理解することの大切さについて-発達障害児・者との関わりを通して考える-

投稿日:2022年6月29日 更新日:

発達障害のある人たちと、療育(発達支援)の現場で関わっていると非常に個々によって育ちや成長が多様であると実感します。

日本の学校教育ではとかく、協調性など周囲に合わせることや、一般的な基準に沿った学び(学習の進捗)を重視する傾向があります。

しかし、今の時代は多様性(ダイバーシティ)が大切だとも言われます。

 

それでは、そもそも発達の多様性とはどのようなことをいうのでしょうか?

 

今回は、著者が発達障害の人たちと長年関わることを通して感じた経験を踏まえ、発達の多様性について理解することの大切さについてお伝えします。

 

 

今回、参照する資料は「田中康雄(2011)こころの科学叢書:発達支援のむこうとこちら.日本評論社.」です。

 

 

スポンサーリンク

発達の多様性とは?

以下、著書を引用します。

よく知られている「みなんちがって、みんないい」という言葉は、境界線の崩壊を意味し、異質さへの無関心を生み出すか、パターナリズムを擁護しかねない。「みんなちがって、あたりまえ」という現状認識にたち、「違って当たり前、重なり合わない」他者との共生について、具体的に議論する必要がある。これこそが支援のむこう側にあるものかもしれない。

著書の内容から大切なことは、そもそも「みんなちがうのがあたりまえ」という視点です。この視点が前提となることで、個々の違いを認識しどのように共生していくかという本質的な議論の前提が生まれるということです。

著者は発達障害といったある種、少数派の人たちとの関わりを通して、そもそも生まれた時から、個々の発達は非常に多様であると感じるようになりました。

そのため、前提として、生まれた時からそもそも個々が違うというのは当たり前だという思いを療育現場で強く感じながらも、自分が受けてきた教育や大人が持っている価値観には多様性とは異なる面が大きくあるように思います。

 

 


それはで、次に著者の体験から、「みなんちがって、あたりまえ」という前提に立つことについて、さらに掘り下げて考えていきたいと思います。

 

著者の体験談:そもそも違うという前提に立つこと

個々の違いを理解していく過程から多様性を深めていくことも重要ですが、発達障害学の観点からは言えることは、そもそも人の発達は多様であるということです。

例えば、ASD(自閉症スペクトラム障害)を例に考えてみましょう。

ASDはもともと持っている脳機能の障害から、対人・コミュニケーションの困難さやこだわり行動などの特徴があります。

著者が関わるASDの子どもたちも、自分の興味関心が有意に経つ傾向があったり、人よりも物に注意が向いたり、人の感情理解も独特な面があります。

こうした特性(特徴)は、先天性であり、また、特性の強さも個々に応じて濃淡があり、成長の過程や置かれた環境下においても状態像が変わってきます。

ASDの特性一つとって見ても、違いがあり、ASDの中でも個々に応じて違いがあります。

さらに、ASDの特性は、その人のパーソナリティの一部であり全体ではありません。

それだけ脳の状態や発達は人によって多様だということです。

遺伝的・生物的に多様であると発達障害学の領域を学ぶことで理解が深まります。

しかし、日本社会は同調圧力が強く働き、そもそも多様性があるという構造にはなっているとは思えません。

個人個人が経験を通して、他者との違いを認識することも大切ですが、さらに重要なのは、そもそも違うのが当たり前という教育や文化が前提としてあるかどうかだと思います。

療育現場では、発達に躓きのある子どもたちが多くいるため、そもそも違うという前提に立って関わるのが当たり前になる(ならざるおえない)機会が多くあります。

もちろん、そういう著者も日本の同調圧力下の中で周囲に合わせながら生きてきたため、無意識化で周囲に合わせることや常識を子どもたちに向けて伝えようとしている面もあるかと思います。

しかし、既存の社会システムや教育などに懐疑の芽を向け、自分なりにできるところから、多様性が当たり前となる文化や社会を作っていきたいと思っています。

 

私自身、まだまだ学びの過程にいますが、療育現場で子どもたちと関わることを通して、これまでの常識を疑う目を持っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

田中康雄(2011)こころの科学叢書:発達支援のむこうとこちら.日本評論社.

スポンサーリンク

-多様性, 発達, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【発達障害児に見られる勝ち負けへの対応】SST・ペアトレ・感覚統合からのアプローチ

発達障害児は、発達特性などが影響して、生活の様々な所で困り感が生じる場合があります。 著者は長年、療育現場で発達障害児支援を行っていますが、個々の発達特性や発達段階等を踏まえたオーダーメイドな支援はと …

【発達障害児の問題行動を減らす方法】ファクターマネジメントから考える

療育現場で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わっていると〝問題行動″が起こる場面に遭遇することが少なからずあります。 例えば、他害行為や暴言、逃避などです。 こうした問題行動への直接的な対応 …

【発達障害と性格について】オーダーメイドの支援を目指すために必要なこと

発達障害には、自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)やADHD、学習障害など様々な症状があります。 そして、発達障害への支援には、構造化、認知行動療法、ソーシャルスキルトレーニング、ペアレントトレーニン …

【発達障害児支援で大切な支援のスタンス】7対3の関係を通して考える

発達障害(神経発達症)とは、簡単に言えば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)、学習症(SLD)など、様々な生得的な発達特性(AS、ADH、SLなど)に加え、環境への不適応状態(障 …

【発達障害児への療育で大切なこと】全般的な行動の遅さへの対応

発達障害(神経発達障害)には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)、SLD(限局性学習症)、DCD(発達性協調運動障害)、ID(知的障害)など様々なものがあります。 著者は …