愛着(アタッチメント)とは「特定の人との間で結ぶ情緒的な絆」のことを言います。
安定した愛着を形成することは、生涯にわたり重要な意味を持ってきます。
それでは、安定した愛着を形成するためには、何が必要だと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、安定した愛着形成に必要な3つの基地機能について解説していきたいと思います。
今回、参照にする資料は「米澤好史(2020)事例でわかる!愛着障害 現場で活かせる理論と支援を.ほんの森出版.」になります。
愛着形成に必要な3つの基地機能について
著書を参考に、安定した愛着形成に必要な3つの基地機能(①安全基地機能、②安心基地機能、③探索基地機能)について見ていきます。
①安全基地機能
すべての愛着研究の専門家で共通理解されている愛着形成の基地機能は、ボウルビィ、エインズワースが主張した安全基地機能だけです。
安全基地とは、恐怖や不安などネガティブ感情から身を守るための適応行動システムとして捉えられることが一般的です。
初めての場所や行動場面で生じる不安に対して、「守られている」と感じることが重要な要素となります。
②安心基地機能
安心基地機能とは、その人といると気持ちが「落ち着く、ほっとする、気が楽になる、安らぐ、楽しくなる、癒される」という「ポジティブな感情」を育む機能です。
愛情とは与えるものではなく、子どもが大人との関わりから、感じ取るものです。
子どもが感じ取る愛情から生じる感情の問題が愛着の問題であり、その感情と直結する、誰かとの「つながり感」が安心基地機能のポイントなります。
安心基地機能は、普段の関わりの中で一緒の行動をして、それを確認し、同じ気持ちであることを再確認することで形成されていきます。
③探索基地機能
愛着形成のゴールである探索基地機能が働くためには、「安全・安心基地からちゃんと離れる」「安全・安心基地にちゃんと戻る」という二つの条件が必要です。
探索基地機能の大切な働きは、子どもが活動空間を広げるだけではなく、子どもが基地に戻ってきたとき、自分の行動・経験を「報告」することで、自身の感情が変化することにあります。
報告しないと、ポジティブな感情はすぐに消滅してしまいますが、この機能があることで、子どもは、様々な意欲を育み、新しい活動ができます。
このように、探索基地には、単に安全・安心基地をもとに探索するだけではなく、ポジティブな感情を増やし、ネガティブな感情を減らす機能があります。そして、子どもが安心して自立できる働きをする積極的な機能として位置づけられています。
以上が、愛着形成に必要な基地機能です。
これら3つの基地ができていないという基地欠如感は、人間関係の問題、集団適応の問題、規範行動からの逸脱、攻撃性と関連しています。
他にも、依存症(アディクション)の問題としても現れ、子どもの場合だと、ゲーム依存(ゲーム障害)、大人の場合だと、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存にも愛着の問題が影響すると考えられています。
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米澤好史(2020)事例でわかる!愛着障害 現場で活かせる理論と支援を.ほんの森出版.