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【障害告知を計画的に進める】発達障害のある子どもへの障害告知で大切な6つのこと

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発達障害児が今後の社会を生きていくためにも、自身の障害についての理解は大切です。

障害理解の過程において、自身の障害を知る機会となる〝障害告知″があります。

 

それでは、障害告知を計画的に進める上でどのような観点が前もって大切になるのでしょうか?

 

そこで、今回は、障害告知を計画的に進めることについて、臨床発達心理士である著者の経験と考察も交えながら、発達障害のある子どもへの障害告知で大切な6つのことについて理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参考にする資料は「内山登紀夫(2025)児童発達支援・放課後等デイサービスのための発達障害支援の基本.日本評論社.」です。

 

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【障害告知を計画的に進める】発達障害のある子どもへの障害告知で大切な6つのこと

著書には〝障害告知″を進めるにあたって、以下の計画の必要性が記載されています(以下、著書引用)。

診断や特性を伝える際には5W1Hを意識して計画的に進めたほうがいいでしょう。

 

著書にある5W1Hとは・・・

① Why:どうして・何のために

② What:何を

③ When:いつ

④ Where:どこで

⑤ Who:誰が

⑥ How:どうやって

になります。

障害告知″の際には、前もって以上の①~⑥の視点を保護者と話し合いながら進めていく必要があります。

 

 


それでは、①~⑥に関して深堀して見ていきます。

 

 

① Why:どうして・何のために

以下、著書を引用しながら見ていきます。

本来は子どもの現在と将来がハッピーになるために、学習スタイルや苦手なこと・得意なことなどの特性と対策の理解に繋げます。

 

どうして〝障害告知″が必要かと言えば、子どもの将来を豊かなものにするためだと言えます。

そのためにも、得意・不得意など具体的な内容や解決策などを伝えていくことが重要です。

 

著者はこれまで様々な発達障害のある保護者と関わる機会がありましたが、自分の子どもに障害があることを知ると、なかなか将来に対して良い展望を持ちにくいことが実際に多くあると思います。

著者自身、障害のある家族がいるため、こうした心境は著者自身にもあります。

そのため、信頼のおける専門家や第三者に相談していくことが重要だと感じています。

 

 

② What:何を

以下、著書を引用しながら見ていきます。

診断名だけを伝えてもあまり意味がないばかりか、誤解を生むこともあります。

 

いつも対策と一緒にプランを考えることが大事です。

 

ここで重要なことは、子どもの将来を見据えて、得意・不得意を伝えること、そして、不得意・苦手なことに対しては、具体的な対策・プランなども併せて伝えていくことです。

子どもにとって、不得意・苦手なことだけを単に伝えられても、その後、どうすればいいのか分かりませんし、逆に不安が高まるだけです。

 

著者はかつて、診断名だけを伝えられてその後、路頭に迷うことになった家族の話を聞いたことがあります。

診断名が付くと何か原因が分かった気にもなりますが、大切なことは、子どもや家族が前進していくための助言だと言えます。

そのため、障害告知の段階である程度、特性への対応策も考えていけると良いと著者は感じます。

 

 

③ When:いつ

以下、著書を引用しながら見ていきます。

やはり早くても小学校入学くらいかなと思います。

 

ある程度時間をかけて、何度か繰り返し伝えていくことも必要でしょう。

 

周囲との違和感・生きにくさなどが出てくるのにも個人差があります。

障害・特性について、理解するにはある程度の理解力が必要です。そのため、著書にあるように、早くても小学校入学位の時期が良いと言えます(それよりも後の方がいい場合もあるなどケースバイケースだと言えます。)。

そして、一回の説明では理解が難しい内容なため、繰り返して伝えることもまた必要です。

 

著者の実感としては、小学校高学年頃になると、発達障害というワードを言う子が増えてくるといった実感があります。

中には、ネットなどで情報を得ている子どももいると感じます。

障害告知の時期に絶対的なタイミングはないと思います。やはり、ケースバイケースなのだと思います。

一方で、障害告知をすべきでないタイミングがあると考えられています。

その点を抑えておくことは大切なのかもしれません。

 

関連記事:「【障害告知のタイミングについて】発達障害児・者支援の経験を通して考える

 

 

④ Where:どこで

以下、著書を引用しながら見ていきます。

医療機関であれば診察室で、カウンセリングを受けている人はカウンセリングルーム、学校で先生が、放課後等デイサービスの場でスタッフが、もちろん家庭で保護者が告知することも多いでしょう。さまざまですが、どこがいいとは一概には言えません。

 

著書にあるように、障害告知の場は様々ですが、一概にどこがいいかは結論できないとされています。

大切なことは、どこで話すにせよ、前もって話の内容を決めておくことが大切だと言えます。

 

著者の身近では、医療機関や家庭などで障害について説明を本人が受けているケースが多いと感じます。

過度な緊張が迫られない場の方が、著者は良いと感じています。

 

 

⑤ Who:誰が

障害について本人に伝える人には、保護者・医師・先生・カウンセラーなど様々です。

 

著者の身近では、保護者が最も多く、次に医師が多いとった印象があります。

重要なことは、子どもにとって信頼できる相手であり、かつ、その人が計画性を持って話を準備することだと思います。

 

 

⑥ How:どうやって

以下、著書を引用しながら見ていきます。

口頭、文字、絵などを用いて説明するなど、いろいろあると思いますが、私は、一定の理解力がある子どもを対象に告知するという前提で、文字と口頭、キーワードを紙に書いて(時にはその紙を持ち帰ってもらう)口頭で伝えることが多いです。

 

本人に説明する際には、あくまで違いであるなど、なるべくネガティブな言葉を使わないことが大事です。

 

著書にあるように、障害についての伝え方にも、口頭・文字・絵など様々あり、子どもの理解力や理解のしやすさに応じて工夫して伝える必要があります。

伝える内容として、特性に関して、具体的な事実を伝えていくことが多いとされています(例:対人関係・こだわり・感覚の問題など)。

また、障害についての説明をする際には、どうしてもネガティブな表現が出てくることがあるため、できるだけネガティブな言葉を使用しないことを意識して、他者との違いを悪いものだと捉えてしまわないような伝達の工夫が必要です。

 

著者がこれまで関わってきた発達障害児・者との経験を踏まえて言えば、伝え方はその人の理解度・理解の仕方によってだいぶ差があるため、この点を考慮して伝えることを意識すること、ネガティブ表現をできるだけ使わないことは、障害告知だけではなく、実際の支援・保護者との関わりの中でも大切なものだと感じます。

そして、こうした点を踏まえて対応した方が、より良い信頼関係や本人・家族が前を向いて進むことができる関わりだと言えます。

 

 


以上、【障害告知を計画的に進める】発達障害のある子どもへの障害告知で大切な6つのことについて見てきました。

障害告知は非常に難しいテーマだと思います。

そのため、今回見てきたように前もって計画的に取り組むことが必要不可欠だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害のある子ども、そして、保護者が少しでも前を向いて進んでいけるような関わり方・伝達内容の在り方を見つめ直していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

内山登紀夫(2025)児童発達支援・放課後等デイサービスのための発達障害支援の基本.日本評論社.

 

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