子育てにおいて、〝褒め方″と同時に〝叱り方″も重要なポイントになります。
著者は発達障害児支援の現場で子どもたちに関わる機会が多くあるため、子どもが起こす問題行動についてどのような〝叱り方″が必要かを考えることがあります。
そうした中で、厳しく注意する、叱責するなど罰を与える〝叱り方″を取っている大人の方を目にすることがあります。
それでは、罰を与える〝叱り方″にはどのような問題点があるのでしょうか?
そこで、今回は、間違った〝叱り方″による問題点について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
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間違った〝叱り方″の問題点とは?
著書には、子育ての中で罰を与える〝叱り方″の4つの問題点が記載されています。
以下、著書を引用しながら見ていきます。
- より攻撃的、反発的な態度を生み出す
- 力を使った問題解決方法が正当化される
- 親子関係にヒビが入る
- 罰を与えても反省を促さない
著書の内容を見てもわかるように、一見すると効果がありそうな罰を与える〝叱り方″ですが、それ以上に問題となることが多いことがわかります。
例えば、罰を与える大人に対して敵対心を持ち攻撃性が増大してしまうこと。
例えば、力で相手をねじ伏せることができるという間違った問題解決法を学習してしまうこと。
例えば、罰を与える親は信頼できないことから親子の関係にヒビが入ってしまうこと。
例えば、罰を回避することを意識することで、本来の誤った行動を修正・反省を促すことができないこと。
こうしたデメリットを見ても、罰を与える〝叱り方″は即時的には効果があっても(あると錯覚しても)、長期的に問題点だらけということがわかります。
著者の経験談
著者は今でこそ叱ることが減りましたが、以前は時に厳しく叱ることもありました。
当時の著者にとって問題行動は直ぐに正す必要があるとの焦燥感から、無自覚的に罰を与えるような〝叱り方″をしていたこともあったのかもしれません。
しかし、即時的な効果はあっても、長いスパンをかけて見ると、問題行動は低減せずに、子どもとの信頼は崩れてしまっていたように感じます(うわべだけの信頼関係)。
さらに、著者の〝叱り方″を真似する子どもたちも出てきたり、力で他児をねじ伏せる様子も見られました。
もちろん、当時の著者からすると、著者の〝叱り方″が子どもたちの上記の行動を促進していたとは考えもしませんでした。
当時の著者は周囲の大人の〝叱り方″を模倣していたところもあったため、本当の意味で自分で考えることはなく、ただ叱っていたのかもしれません。
こうした罰を与える〝叱り方″が間違っていたとはっきりと自覚できるようになったのは、最近のことかもしれません。
間違いへの気づきとしてキーとなったのは、子どもとの信頼関係の構築をしっかりと考え始めたことです。
そして、その信頼関係の構築には、他者のスタッフの意見に左右されずに自分の頭で考え経験を積み重ねてきたことが背景としてあります。
子どもにとって安心できる存在とは?を目指した時に、その目指す過程の中で罰を与える〝叱り方″が入ってくることはありませんでした。
逆に、問題行動の背景に目を向けたり、子どもの長所や成長している点に目を向ける頻度が増してきました。
その甲斐あって、子どもへの接し方もユーモアを大切にした〝抜け感″を持った関わり方が増え、子どもと過ごす時間が楽しくなっていきまいた。
子どもからも困ったら相談してくる頻度が増え、また、問題行動について解決策を一緒に考えていくことで子どもが素直に著者の提案を聞き入れてくれることも増えていきました。
こうした過程の中で、今回参考にさせて頂いた書籍に出会うことができて、過去の〝叱り方″の間違いをより深く考察することができました。
以上、【間違った〝叱り方″による問題点とは?】発達障害児支援の現場を通して考えるについて見てきました。
大人にとって自分がこれまで受けてきた注意の仕方を真似て同じように子どもに関わることも少なくないように思います。
大切なことは、罰を与える〝叱り方″は長期的に見ると問題だらけだということを理解し、〝褒め方″に意識をおいた関わりをしていくことだと思います。
叱る頻度が減り、褒める頻度が高まったと感じることができればその子どもとの関係が深まっている証拠だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自分が行っている〝叱り方″〝褒め方″の意味を考えながらより良い療育を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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参考となる書籍の紹介は以下です。
関連記事:「発達障害の子育てに関するおすすめ本6選【初級~中級編】」
島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.