自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)とは、〝社会性の障害″〝コミュニケーションの障害″〝こだわり行動″を特徴とする発達障害です。
自閉症の子どもたちは、上記の特徴が背景となって、〝集団遊び″に難しさを抱えているケースが多く見られます。
そのため、集団遊びへの参加の工夫、そして、集団遊びをうまく行えるための工夫が必要になります。
それでは、自閉症の子どもがうまく集団遊びを行っていくためにはどのようなコツがあると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、自閉症児の集団遊びのコツについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「白石雅一(2024)おもちゃ教材で育む人間関係と自閉スペクトラム症の療育~親・保育園・幼稚園・学校・児童発達支援・放課後等デイサービスのためのガイド~.東京書籍.」です。
自閉症児の集団遊びのコツについて
著書には、〝集団遊び″で必要不可欠な物として、トランプ・カルタ・オセロ・囲碁・将棋・人生ゲーム・ブロックスなどの卓上で遊ぶアナログ類といった〝テーブルゲーム″を取り上げています。
その中で、〝集団遊びのコツ″を複数取り上げています。
今回は、その中で、著者が療育実践の中で非常に多く活用しているもの、あるいは非常に重要だと感じたものについて、部分的に引用しながら見ていきます。
ゲームのルールや対象者年齢、所要時間、難易度は確実に把握
〝集団遊び″で活用できる〝おもちゃ(テーブルゲームなど)″には様々なものがあります。
そのため、まずは活用するおもちゃ(遊びの内容)が、関わる子どもたちに合っているのかを確認する必要があります。
そのため、著書にある〝ルール″〝対象者年齢″〝所要時間″〝難易度″の把握は大切だと言えます。
また、ボードゲーム以外の遊びにおいては、関わるスタッフが子どもたちの理解度を把握する個別の視点が重要です。
ゲームのルールを参加する子どもたちに合わせて変更
著者もこの視点は非常に重要だと感じています。
様々なゲーム・遊びには一定のルールがあります。一方で、既定のルールの中でうまく遊ぶことが難しい子どもやルールを変えた方が楽しく遊べるケースも多くあります。
そのため、参加メンバーによってゲームのルールを柔軟に変えることはとても大切だと思います。
参加する子どもたち個々の個性や注意点を把握
ゲーム・遊びの参加メンバーによって配慮点・注意点を抑えておくことは必須です。
例えば、敵対関係にある子ども同士は同じ参加メンバーにしない(別グループにするなど)対応が必要です。
そのため、ゲーム・遊びの参加メンバーは未然にトラブルになりにくいメンバー構成を検討しておくことが重要だと感じています。
テーブルゲームにおける「勝ち負け」に大人がこだわらない
勝ち負けへのこだわりは子どもによく見られます。
もちろん、勝ち負けへのこだわりへの対応も大切ですが、同時に著書にあるように勝ち負けをメインに遊びを進めないこともまた必要です。
大切なことは、ゲームそのものを他者と思う存分楽しむという姿勢にあります。
その姿勢を大人が見せることで、子どもにもその姿勢が影響していくのだと思います。
子どもたちのテンションに気を配り
子どもたちは遊びの中で急激にテンションが上がることがあります。
もちろん、遊びが盛り上がり、テンションが上がることは自然なことであり、その中で体感する貴重な喜びもあります。
一方で、適宜、クールダウンをはかることもまた必要な取り組みだと感じています。
ゲームによる興奮を鎮めるためにも、「終わりの会の儀式」をして、その場に留めさせて、かつ、片づけの指示を出し、実行させることが大切です。
遊び・ゲームの終わりを明確に伝えることもまた必要です。
子どもによってはゲーム・遊びでの興奮が収まらずにテンションが高いまま遊びを継続することもあります。
そのため、遊びの終わりを何らかの形で伝えていき、同時に、片付けを促すことも大切です。
子どもたちにとって分かりやすい遊びの終わりの作り方・伝え方を工夫していくことはとても重要だと思います。
以上、【自閉症児の集団遊びのコツについて】療育実践を通して考えるについて見てきました。
今回は〝ボードゲーム″を中心とした〝集団遊びのコツ″について見てきました。
今回見てきた内容は〝ボードゲーム″以外の〝集団遊び″でも大いに活用できるものだと感じています。
実際に著者は様々な〝ルールのある遊び″や〝ごっこ遊び″などで上記の〝集団遊びのコツ″を活用することがよくあります。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で集団遊びをさらに発展していけるように、集団遊びのコツについて実践を通して学びを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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