自閉症児には、様々なこだわり行動が見られます。
こだわり行動について詳しくは以下の記事で紹介しています
関連記事:「【自閉症のこだわりの特徴】1常同行動2 特定の行動・思考のこだわり3 特定の対象への執着」
こだわり行動は、生まれ持っての特性であるため過度に行動を変えることは難しいと言えます。
一方で、自閉症児に関わる支援者や保護者の人たちにとって、対応が必要な場面が出てくることも多くあるのではないでしょうか?
それでは、こだわり行動に対して、どのような観点からアセスメント行い、アセスメントを基にどのように対応していけば良いのでしょうか?
そこで、今回は、自閉症児に見られるこだわり行動について、臨床発達心理士である著者の経験と考察も交えながら、アセスメントと対応のポイントについて理解を深めていきたいと思います。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2025)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」③.教育技術研究所.」です。
自閉症児のこだわり行動のアセスメントについて
著書には、こだわり行動を見抜く上で4つのポイント(行動の分類の仕方)が記載されています(以下、著書引用)。
① こだわりに没頭する
② こだわりが対人関係ねじれに発展するタイプ
③ ファンタジーに没頭するタイプ
④ こだわりで動けないタイプ
それでは次に、①~④について具体的に見ていきます。
こだわりに没頭する
〝やめられない″〝終わりにできない″といったこだわっていることに没頭するタイプです。
著者の療育現場でよく見られるタイプだと言えます。
特定の作業や遊びに没頭すると、時間が来ても止めることが難しいことはよく目にする光景です。
著者が終わりの声掛けをしても、著者の声すらとどいていないと感じることもあります。
こだわりが対人関係ねじれに発展するタイプ
自分の価値観・正義感などを相手にも要求することで、対人トラブルに発展するタイプです。
著者の療育現場で時々見られるタイプです。
こだわり行動は学童期頃を境に、社会的行動に埋め込まれることがあります。
例えば、学校のルールにこだわりが固執すると、他児がルールを守っていないことを強く指摘することがあります。
こうした振る舞いが、他児とのトラブルの火種になることは著者の実感としても少なからずあると感じています。
ファンタジーに没頭するタイプ
自分の世界観(アニメや自分で作った物語など)といったファンタジーに没頭するタイプです。
著者の療育現場で少なからず見られるタイプです。
このタイプは自分なりの独特の世界観を持っており、その世界観の中での会話、独り言、ごっこ遊びなどをよく行う印象があります。
空想の世界に没頭しているため、現実世界とズレた価値観で過ごしていることもよくあると感じています。
こだわりで動けないタイプ
急に体がフリーズしたり喋らなくなるなど、理由を聞いても応えることがうまくできないタイプです。
著者の療育現場ではあまり多くはありませんが、これまで見られることがあったタイプです。
このタイプは、例えば、何か目に映る光景に没頭し、急に体が動かなくなることがあるなど、著者が次の行動に促す声掛けをしても、フリーズしなおかつ話さないといったことがありました。
自閉症児のこだわり行動の対応のポイントについて
著書には、自閉症児のこだわり行動への対応について4つのポイントが記載されています(以下、著書引用)。
① こだわりに没頭するへの対応
② こだわりが対人関係ねじれに発展するタイプへの対応
③ ファンタジーに没頭するタイプへの対応
④ こだわりで動けないタイプへの対応
それでは次に、①~④について具体的に見ていきます。
こだわりに没頭するへの対応
①のタイプへの対応として、こだわりに没頭している状態を無理に制止しようとせずに、時間や回数の提示、そして、本人が納得できる状態で終わりにできるようにサポートしていくことが重要なポイントだと考えられています。
著者はこのタイプへの対応はこれまで多く経験してきていますが、本人が納得してこだわり行動を止めることに繋げていくことがとても大切だと感じています。
逆に、過度に制止してしまうと、信頼関係がうまく築けなくなったり、こだわり行動がエスカレートしてしまったケースもありました。
こだわりが対人関係ねじれに発展するタイプへの対応
②のタイプへの対応として、相手の考え・意図・状況などを言語化や視覚化して伝え、相手が自分とは異なる視点を持っていることを伝えていくことが重要なポイントだと考えられています。
その上で、折り合い・合意する経験を増やしていくことが大切だと記載されています。
著者はこのタイプの対応として、心の理論の理解の発達が鍵になると考えています。
つまり、自分と他者は考えや意図が異なること、それは様々な状況によっても変化していくことを、日々、子どもに分かりやすく伝えていく必要があると感じています。
一方で、心の理論の理解にも発達過程がありますので、発達段階を踏まえた対応・関わりが必要だと思います。
ファンタジーに没頭するタイプへの対応
③のタイプへの対応として、関わり手もファンタジーの世界に入り込み、そこから現実世界に戻るための声掛けを試行錯誤することが重要なポイントだと考えられています。
著者もまさにこのタイプの子どもに対しては、ファンタジーに一緒に入り込み、その世界から現実世界に戻ってこられるような声掛けの工夫を心掛けています。
著者がファンタジーの世界に入り込むことで、その世界における言葉のやり取りはその子どもとの間で非常に良く共鳴するものだと感じています。
こだわりで動けないタイプへの対応
④のタイプへの対応として、子どもの状態(こだわり行動に対して)を予測して、言語化していくことが重要なポイントだと考えられています。
なぜなら、このタイプの子どもには言語性が低いといった特徴があるからだと記載されています。
著者は視覚優位な子どもが何かの拍子でフリーズした際には(何かが気になって)、言葉で行動を促すことで気持ちが切り替わったことがありました。
このように、子どもの認知特性を踏まえた理解と関わりも大切なポイントだと言えます。
以上、【自閉症児に見られるこだわり行動について】アセスメントと対応のポイントについて見てきました。
自閉症児のこだわり行動は様々な場面で見られます。
一方で、対応については、こだわり行動に関して深い理解をしていかないと、時にはエスカレートしてしまうことがあります(以下に関連記事を紹介しています)。
関連記事:「【自閉症児・者のこだわり行動の悪化について】〝パニック″と〝自傷″を通して考える」
そのため、こだわり行動の背景を抑えながら、その子に合った対応方法を考えていくことが大切だと言えます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場でよく見られる子どものこだわり行動に対して、様々な視点を持った関わりができるように学びと実践力を高めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
併せて、自閉症児のこだわり行動への支援は以下の記事でも紹介しています。
関連記事:「【自閉症児のこだわり行動(変えない、やめない、始めない)への対処法】療育経験を通して考える」
関連記事:「【自閉症の〝こだわり″への支援で大切なこと】こだわりの対象の理解と優先順位の把握の重要性」
自閉症について理解を深めたい人にお勧めする書籍を以下で紹介しています。
関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】自閉症に関するおすすめ本:初級~中級者向け」
小嶋悠紀(2025)小嶋悠紀の「特別支援教育・究極の指導システム」③.教育技術研究所.

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