〝愛着（アタッチメント）″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。
子どもは養育者との愛着関係を基盤として、その後の対人関係を発展させていきます。
一方で、幼少期の愛着形成がうまくいかないことで、〝愛着障害″に繋がる危険性があります。
〝愛着障害″への対応として大切なことは、関わり手の連携の在り方だと言われています。
それでは、愛着形成で大切な関わり手の連携の仕方として、どのような連携作りが必要なのでしょうか？
そこで、今回は、愛着形成で大切な関わり手の連携の作り方について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、無連携な対応は愛情のつまみ食い現象を起こしてしまうことの危険性を踏まえて解説していきたいと思います。
今回参照する資料は「米澤好史（2024）発達障害？グレーゾーン？こどもへの接し方に悩んだら読む本．フォレスト出版．」です。
無連携な対応による愛情のつまみ食い現象について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
いろんな人がそれぞれに褒めたり甘やかしたりすると、実は愛着の問題は悪化してしまいます。
1対１でしっかり関係を結ぶことができず、接する大人みんなから少しずつ愛情をもらいたがるという「愛情のつまみ食い現象」が起こります。
冒頭にも記載した通り、愛着とは〝特定の養育者との情緒的な絆″のことでした。
ここで、大切になるのが〝特定の″といった部分です。
愛着障害のある子どもにおいて、まず必要なのが〝特定の″人との信頼関係の構築です。
つまり、１対１における関係性の構築です。
一見すると、様々な人たちから愛情を持って関わってもらえることは好ましいようですが、愛着障害のある子どもにおいては逆効果になると考えられています。
それは、著書にある通り、様々な人たちから少しずつ愛情をもらうことで〝愛情のつまみ食い現象″を引き起こす可能性があるからです。
これは、子どもにとって混乱状態であり、だれが一体愛着対象なのかが分からない状態に陥っていると言えます。
愛着形成で大切な関わり手の連携の作り方について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
こどもの愛着を形成していくためには、特定の人との「1対1」の関係が深まるように、周りとの連携が欠かせません。
まずいちばんはこの人で、つぎにこの人というように、順番に関係を築いていく必要があるのです。
著書にあるように、愛着障害への対応で大切なこととして、特定の大人との1対1での関係に始まるような連携の構築だと言えます。
つまり、子どものことを一番に理解している人となるキーパーソンの存在を決め、そこから、サブキーパーソンといったように順番を決めていく体制作りが必要だと言えます。
この場合、キーパーソンが一人ですべてを背負わないような連携の在り方を考えていくことも重要です。
著者の経験談
著者の療育経験を通して見ても、愛着に問題のある子どもへの支援はとても困難であると感じることがあります。
それは、支援が思うようにいかないことが多いからです。
その一つの要因が、今回見てきたように様々な支援者が愛情を持って接することで〝愛情のつまみ食い現象″を引き起こしている可能性があると感じるからです。
もちろん、子どもと関わる支援者が愛情を持って接することは良いことですが、連携の視点が不足してしまうと、長期の視点を踏まえての関係性の構築が難しくなる場合があります。
そして、様々な支援者がうまく連携できずに関わることで、子どもはその時々の気分で大人を選ぶようになります。
逆に、特定の大人が定まらないことで、不安定な気持ちを常に持ち続けることがあるように思います。
そのため、今日うまくいった支援が、翌日は大きく崩れることがあります。
それは、長期的な視点で支援体制を考えていなかったためだと思います。
一方で、支援がうまく行きはじめたと感じるケースの多くが、子どもが〝特定の″人を意識できるようになったときからだと思います。
それは、子どもにとって〝この人といると安心できる″〝この人といると楽しい″〝この人は自分のことをわかってくれている″といった絶対的な安心感が愛着形成においてとても大切だと実感できるからです。
これを可能にするのが支援体制、連携の作り方だと言えます。
つまり、連携していく中で、この子どもにとってこの大人が軸となっているということを中心とした支援体制ができるようになっていくと支援は良き方向に進み出すと思います。
そのためにも、子どもに関わる全支援者が共に支え合うといった意識・行動が重要だと言えます。
以上、【愛着形成で大切な関わり手の連携の作り方】無連携な対応は愛情のつまみ食い現象を起こす！について見てきました。
愛着障害の子どもへの対応において、連携は必須事項だと言えます。
繰り返しになりますが、無連携な対応は愛情のつまみ食い現象を引き起こす恐れがあるからです。
子どもが特定の大人を意識した支援体制・連携の在り方を考えていくことが大切だと言えます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育経験を踏まえて、愛着障害の子どもへの対応方法についてさらなる理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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米澤好史（2024）発達障害？グレーゾーン？こどもへの接し方に悩んだら読む本．フォレスト出版．
