〝ゲーム依存″やネット依存が最近話題となることが増えています。
コロナになりステイホームが増えたこと、魅力的なゲームが増えたこと、など背景要因は様々かと思います。
〝ゲーム依存″になるゲームの使用時間についてはまだわかっていません。
大切なことは、過度なゲームの使用に繋がらないためのルール作りも一つの方法です。
関連記事:「【ゲーム依存に陥りやすい使用時間はあるのか?】療育経験を通して考える」
それでは、過度なゲームの使用を避けるためにどのようなルール作りが大切になるのでしょうか?
そこで、今回は、ゲーム依存にならないためのルール作りについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.」です。
ゲーム使用のルールについて
以下、著書を引用しながら見ていきます。
さまざまな研究で、ゲームに対する否定的な親の態度や一方的で厳しい制限は効果的ではないことがわかっています。
ルールを作るうえで大切なことは「親子で一緒に決める」ということです。
すぐに確認できるように紙に書き出すなどして視覚化しておきましょう。
著書の内容から、ゲーム使用で大切なポイントには以下の①~③があると言えます。
①ゲーム使用に関する厳しいルール制限や親の否定的な態度は効果的でない
親の価値観にもよりますが、多くの家庭で子どもがゲームをやりすぎてしまう場合には、子どもに否定的な態度を取ることが増え、そして、厳しいルールを決めることが多くなるかと思います。
こうした態度や制限は、これまでの研究から効果的ではないことがわかっています。
そのため、ゲーム使用のルールについては、以下の②と③が大切になります。
②ゲーム使用のルールは大人と子どもが話し合いながら一緒に決める
ゲーム使用のルールについてまずは子どもの意見を率直に聞くということが大切です。
子どもは何事においても、まずは自分の話を聞いてくれた大人を信頼します。
そして、子どもの意見を取り入れながら、大人の考えを伝えていきながら(長時間使用のデメリットなど)、子どもが納得のいくルールを決めていきます。
そのルールは、例えば、ゲームの使用は○時間まで、〇時にはおしまいにする、それでも困った時は大人に相談する、といった感じです。
③決まったルールを視覚化しておく
決めたルールは口頭でのやり取りだけでは子どもは忘れてしまうことがあります。
そのため、直ぐに思い出せるように、そして、定着を促すためにも、紙に書く、ホワイトボードに書くなど、ルールを視覚化することも大切です。
その他にも〝ペアレンタルコントロール″の活用も有効です(以下、著書引用)。
子どもがパソコンや携帯電話・スマートフォンやゲーム機などの情報通信機器を利用する際に、親が見守り、必要に応じて制限する取り組みのことです。
〝ペアレンタルコントロール″を活用する際には、②で見てきたように事前に子どもとルールを決め、その中で活用していく必要があります。
あくまでも、子どもとの相談・合意なしに勝手に制限を設けないよう心掛ける必要があります。
著者の経験談
著者の療育現場ではタブレットなどメディアを活用することもあります。
子どもたちは、イラストを作成したり、調べ物をしたり、動画を通して工作の作り方や体の動かし方などを見て学ぶ材料にしています。
一方で、過度に集中しはじめると長時間タブレットの使用に繋がるリスクもあると感じています。
もちろん、タブレット使用自体は悪いものではありませんが、長時間の使用に繋がる場合(ただ動画を受動的に見続ける、他に使いたい子もいるが譲れないなど)には対策が必要です。
そのため、著者は一人○○分まで使えます、それでも困った時には大人に相談します、といったルールを伝えています。
ルールを決め、繰り返し伝えていくことで、個人差はありますが、ルールを守る子どもたちも多くいると実感しています。
また、ルールの枠をはみ出す子どもに対しては、個別に相談してもらうようにしています。
それにより、子どもたちは、概ね時間を守ること、そして、大人に相談するといったルールの定着が進んできていると感じています。
以上、【ゲーム依存にならないためのルール作りについて】療育経験を通して考えるについて見てきました。
ゲームやネット使用が加速していく中で、子どもの生活に支障がでないようなルール作りをしていく必要があります。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もメディアの活用を含めて、療育現場で必要な支援について考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.