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愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本【初級~中級編】

投稿日:2023年8月27日 更新日:

 

愛着(アタッチメント)″とは、〝養育者と子どもの情緒的な絆″のことを言います。

養育者と子どもの情緒的な絆である愛着関係は、幼少期だけでなく、大人になってからの対人関係まで影響すると考えられています。

それだけ、愛着関係は生涯にわたる大切なものだと言えます。

 

それでは、〝愛着(アタッチメント)″を理解する入り口としてどのようなことを知ることが大切になるのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着(アタッチメント)を理解する上で分かりやすく、かつ、大切な点が多く記載されているおすすめ本6選【初級~中級編】を紹介します。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 


実際にこれから紹介する本を通して著者自身、愛着の理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。

ぜひ、参考にしていただければ幸いです。

1~6の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。


 

 

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1.アタッチメントがわかる本 「愛着」が心の力を育む

 

著者の〝遠藤利彦さん″は愛着研究ではとても有名な方です。

日本の愛着研究者は誰か?と言う問いに、必ず上がってくる人物かと思います。

その著者がアタッチメントの入門書として素人にも分かりやすく書かれた本になります。

子どもだけではなく、大人のアタッチメントについても書かれていることや、愛着の持つの意味、そして、安定した愛着関係を築く上での関わり方など内容としては愛着に関する大切なことが網羅的に記載されています。

イラストが豊富なため入門書としても最適です。

 

 

 

2.入門アタッチメント理論 臨床・実践への架け橋

 

1と同じく〝遠藤利彦さん″が書いた本になります。

1の入門書をさらに深堀したい方にはちょうど良い内容です。

現在のアタッチメント理論を俯瞰できる点、そして、胎児期・乳幼児期~成人期までと様々なライフステージに沿った研究知見が豊富に記載されています。

さらに、アタッチメントの知見を保育や教育などの臨床の現場に応用する方法についても書かれているため、実践的な書籍とも言えます。

アタッチメントに興味のある大学生・大学院、そして、愛着に困難さを抱えている人と接する機会のある臨床の現場に方にはぜひ読んで頂きたい本です。

 

 

 

3.子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害

 

発達障害領域では大変有名な〝杉山登志郎さん″によって書かれた本になります。

この本は、愛着の専門書ではありませんが、子育てをしていく上での愛着の重要性が書かれているため子育ての領域に関わっている方にはとてもお勧めです。

著書の中では、愛着障害は第4の発達障害といった表現がされており、発達障害と状態像が似ていると考えられています。

子育てをしていく上での、愛着の重要性、そして、発達障害との関連性、さらに、その他の現代社会における子育てを阻む問題などが記載されており、子育てに関する重要な点が豊富に記載されているためとてもお勧めです。

 

 

 

4.愛着関係の発達の理論と支援

 

愛情の器モデルで有名な〝米澤好史さん″編著の本になります。

本書では大きく、愛着に関する支援の基本と実際の支援とに分けて書かれています。

支援については、就学前から小・中・高・支援学校での実践が載っています。

愛着に関する理論と実践に関する内容が非常にコンパクトに書かれているため、短い分量で理論と実践の概要を理解したい方にはお勧めです。

 

 

 

5.アタッチメント 生涯にわたる絆

 

愛着研究に興味がある、愛着研究をしていきたいと考えている方にとくにお勧めの本になります。

アタッチメント理論の基本的枠組みから始まり、アタッチメントを理解する上でのキー概念となる〝内的作業モデル″についても豊富な説明があります。

また、子どもから成人期までのアタッチメント研究だけではなく、中年期・老年期までのアタッチメント研究も取り上げられているため、まさに、タイトルにある通り〝生涯にわたる絆″に関する書だと言えます。

 

 

 

6.子どものこころは大人と育つ アタッチメント理論とメンタライジング

 

表紙にある通り、子どもに関わる全ての大人の方にお勧めしたい本です。

愛着理論の基礎から最近の愛着研究まで非常に分かりやすく解説されています。

また、タイトルにもあるメンタライジング(心で心を思うこと)の重要性について理解を深めていくことで、いかに〝愛着″が子どもの育ちにおいて大切なのかが心に響く本だと言えます。

 

 

 


 

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