子育てにおいて、子どもと関わる時間が持てなく、それによる罪悪感を持っている方もいるかもしれません。
仕事上どうしても時間がとれない、他にやることが多くあり、関わる時間を捻出できない方も多いかと思います。
それでは、子育てにおいて、関わる時間の量が子どもとの関係性において大切となるのでしょうか?
そこで、今回は、子育てで大切なことについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、関わる時間の長さよりも質が重要といったテーマについて理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.」です。
子育てで大切なこと:関わる時間の長さよりも質が重要
以下、著書を引用しながら見ていきます。
つまり、一緒に過ごす時間の長さよりも、いかに質の高い時間を確保し、中身のある時間を一緒に過ごすかということが大事なのです。
著書の内容から、子育てで大切なことは、関わる時間の長さよりも質にあると考えられています。
これまでの研究において、親と関わる時間の長さは感情の育ちや学習力には影響がないことがわかってます。
一方で、質の高い関わり(例えば、一緒に行う活動など)をすることで、子どものポジティブな育ちに貢献することがわかってます。
人によっては、関わる時間の中さが重要だと考える人もいるかもしれませんが、これまでの研究を見ても時間の中さより質が重要だと言えます。
著者の経験談
著者も療育現場で多くの子どもたちと関わっていますので、子育てで大切なことについて様々なことを考える機会があります。
その中で、今回見てきた関わる時間の長さよりも質が大切だと考えさせられる経験もあります。
それは、時間数だけで見ると著者よりも子どもたちと関わる時間が長いスタッフもいますが、そのスタッフよりも著者との関係性の方が深い子どももいます(もちろん、その逆もあります)。
そのため、短い時間においても子どもと質の高い関係性を築くことができるものだと考えます。
それでは、質の高い関係性とはどのようにして築くことができるのでしょうか?
著者が考える回答は、どれだけ子どもと深い情動交流を行っているかどうかが重要だということです。
情動交流とは、喜怒哀楽といった様々な感情を共有・共感することです。
特に、喜びの感情は人との関係性の発達においてとても重要だと思います。
例えば、戦いごっこで身体を使って全力で遊んだ喜び、工作遊びを一緒に取り組みよい作品ができた喜び、興味のある話題を大笑いしながら話し合った喜び、など様々な思い出が著者にはあります。
喜びといった感情を共有・共感することで、子どもはその大人に対するポジティブな感情が高まり、そして、また関わりたい・遊びたいといった思いが高まってくことで、こうした思いが関係性を深めると同時に、外の世界に意欲的に関わる原動力にも繋がっていくのだと思います。
それでは、喜びといった感情を生み出すためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか?
著者が考える回答は非常にシンプルであり、それは子どものことをよく知ろうとする姿勢を持つことです。
子どものことをよく知るためには、日頃の子どもの姿や性格、興味関心の方向性など多くの情報を関わりながら集める必要があります。
そして、子どもからの発信を敏感にキャッチして、それに対する応答性を高めていくことも必要不可欠な要素です。
子どもはいつ・誰に・どのような発信の仕方をするのか?そして、それに対して、どのような応答をすることで子どもの感情を引き出すことができるのかを把握していくことで、子どもの心の状態を理解していくことができます。
以上の内容は、時間の長さよりも質が大切だと感じています。
例えば、短い時間の中でも、質の高い情動交流は可能ですし、快の感情を引き出す関わり方もできると思います。
そのためには、子どもと楽しもうとする姿勢と子どものことをよく知ろうとする姿勢が必要といった、つまり、関わる内容の濃さ(質)がとても重要になるということです。
以上、【子育てで大切なこと】関わる時間の長さよりも質が重要について見てきました。
短い時間の中でも、取り組み次第では子どもと深い関係性を築くことができます。
大切なことは、子どもと質の高い時間を過ごすこと、そして、子どもの発信を敏感に受け止め丁寧に応答していくことです。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子育てや療育において大切なことを模索していきながら、質の高い療育を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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参考となる書籍の紹介は以下です。
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島村華子(2020)モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方.ディスカヴァー・トゥエンティワン.