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【〝遊び″の〝内容″について】Piagetを例に考える

投稿日:2023年2月20日 更新日:

著者は発達に躓きのある子どもたちに療育をしています。

その中で、〝遊び″を通して子どもたちの成長・発達を感じる機会が多くあります。

そのため、「○○君には、○○の遊び」、「○○ちゃんの発達段階であると○○遊びが良いと思う」など、様々な遊びを考案していくことも重要です。

〝遊び″を考案していくにあたり、非常に大雑把にでも良いので〝遊び″の〝内容″を分類していくことが必要になります。

 

それでは、〝遊び″を大きなカテゴリーとして分類する際にはどのようなものが参考になるのでしょうか?

 

そこで、今回は〝遊び″の〝内容″について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、Piagetを例に考えを深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「田中浩司(2014)集団遊びの発達心理学.北大路書房.」です。

 

 

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〝遊び″の〝内容″について:Piagetを例に考える

Piagetは〝遊び″を次の4つの〝内容″に分類しています。

1.機能的遊び(functional play)

2.構成的遊び(constructive play)

3.ごっこ遊び(dramatic play)

4.ルール遊び(games with rules)

 

 


それでは、次に、それぞれについて著書を引用しながら見ていきます。

 

1、機能的遊び(functional play)

単純でくり返し身体を動かす遊びであり、ものを使うときも使わないときもある

 

〝機能的遊び″は、発達初期の子どもによく見られる遊びです。

この時期は、単純な繰り返しの遊びを好むのだということが療育現場を通しても実感できます。

例えば、揺れ遊び(シーツブランコ、ハンモックなど)、ブロック積み、的当て遊びなどを繰り返す子どもたちも多くいます。

シーツブランコは、シーツに子どもを乗せ、大人二人がシーツを持ってブランコのように揺らす遊びです。

非常にシンプルな遊びでしたが、著者が療育をしていた際には、年間の遊びで常に上位に来るほど人気の高い遊びでした。

また、ブロック積みや的当ても、シンプルな身体動作の繰り返しですが、手の巧緻性を高めるものになったり、的に向けて投げる(転がす)→倒れる、といった、行動→結果、に繋がる遊びであるため因果関係の理解などに繋がっていきます。

〝機能的遊び″は、単純なようで、身体機能を高めるもの、因果関係など認知機能の発達においてとても大切な遊びである思います。

 

2.構成的遊び(constructive play)

何かをつくったり想像したりすることを目的としてものを操作する遊び

 

〝構成的遊び″は、著者の療育現場で、幼児期から学童期まで様々な年代の子どもが行う遊びであり、創造性を鍛える遊びだと実感しています。

例えば、お絵かき、ペーパークラフト、工作などがあります。

お絵描きにしても、工作にしても、自分が頭にイメージしたものを形にしていく必要があります。

イメージする力の高まりとともに、徐々に高度で独創的な作品を作れるようになっていきます。

〝構成的遊び″は、自分がイメージしたものを具現化していくため、創造する力や手先の巧緻性の発達などを高める遊びであると思います。

 

3.ごっこ遊び(dramatic play)

個人的な欲求やニーズを満たすために想像上の状況に置き換える遊び

 

〝ごっこ遊び″は、お店屋さんごっこ、電車ごっこ、戦いごっこ、など幼児期から学童期にわたり人気のある遊びです。

先の〝機能的遊び″や〝構成的遊び″は、比較的個別で取り組む遊びであったのに対して、〝ごっこ遊び″は、大人や他児と一緒に遊ぶ要素が多く見られます。

〝構成的遊び″同様にイメージする力(見立てる力、模倣する力)がより必要になってきます。

著者の療育現場では、共通の興味関心を通して、例えば、子ども同士で電車ごっこをしたり、大人がリードする形で戦いごっこを行うことがよくあります。

〝ごっこ遊び″は、自分がイメージしたものを模倣する力、そして、より発展していくと他者とイメージを共有する力を高める遊びであると思います。

 

4.ルール遊び(games with rules)

事前に取り決められたルールを受け入れ、それによって行動を調整する遊び

 

〝ルール遊び″はその名の通り、遊びの前提にルールが存在します。

例えば、鬼ごっこやかくれんぼ、トランプ遊びなどは決められたルールがあります。

〝ルール遊び″で必要な能力には、役割を反転させたり(役割反転模倣)、ルールといった基準を理解するための抽象的な理解力が必要となってきます。

役割を反転させるとは、追いかける役と逃げる役が理解できること、また、隠れる役と探す役が理解できること、抽象的な理解力とは、同じ数字や記号を集めるなど言葉や数字の関連性や順番の理解(色は異なるが数字が同じ、数字は異なるが色が同じ、数字の大小の理解)などがあります。

〝ルール遊び″は先に見た3つの遊び以上に高度な認知能力を必要とします。

そのため、著者は〝ルール遊び″の際には、大人が子どもたちをサポートして引っ張っていくなど、ルールの説明やルールが部分的にわからない子どもへの配慮を大切にしています。

〝ルール遊び″は、役割を反転させる力や抽象的な理解力の発達に繋がる遊びだと思います。

 

 


以上、【〝遊び″の〝内容″について】Piagetを例に考えるについて見てきました。

これら4つの〝遊び″の〝内容″は、互いに独立した面もありながら、重複している面もあるように思います。

例えば、戦いごっこでは、敵役から逃げる・隠れるなど、事前の遊びの設定しだいですが、時にはルールも入ってくることがあります。

また、お花屋さんごっこでは、お花屋さんが様々な材料を用いてお花を作成するなど、構成的要素も入ることがあります。

このように、様々な〝遊び″の〝内容″は重なってくることがあります。

そのため〝遊び″は、子どもたちの創造性・想像性や関わり手の創造性・想像性がとても重要になってくるのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちが楽しく〝遊び″に没頭していけるように、イマジネーションを働かせながら、より良い関わり方を探求していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

田中浩司(2014)集団遊びの発達心理学.北大路書房.


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