ADHD(注意欠如多動症)とは、不注意・多動性・衝動性を主な特徴とした発達障害です。
ここ最近では、大人のADHDが注目を集めており、ASDと並んで発達障害の社会的な認識が進んできている代表的な発達障害となっています。
それでは、ADHDとは具体的にはどのような症状・行動特徴があるのでしょうか?
そして、行動特徴の背景要因や支援方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
そこで、今回は、療育現場でADHDの人たちとも関わりのある臨床発達心理士である著者がADHDに関するおすすめ本9選【初級~中級編】について紹介していきます。
実際にこれから紹介する本を通して著者自身、ADHDへの理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
1~9の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。
1.最新図解 ADHDの子どもたちをサポートする本
ADHDの子どもを対象として書かれた本であり、イラストが豊富なため初心者にとっても分かりやすいものとなっています。
ADHDに関する基礎知識や周囲の接し方のポイント、そして、医療機関での治療法、将来に向けたサポートなどが記載されています。
また、後半では、例えば、〝人の話を聞く″ためのサポートのヒント、〝切り替える″ためのサポートのヒントなど計31の園・学校や家庭でできるサポートが豊富に載っているため、実践的な書籍としても活用できます。
子どものADHDの概要を入門書的に知りたい方にとってはお勧めです。
2.最新版 真っ先に読むADHDの本
著者の〝司馬理恵子さん″は発達障害関連の書籍を多く出版されていますが、中でもADHDに関する本はお勧めです。
この本では、子どものADHDの基礎知識がイラストも交えながら分かりやすく記載されています。
そのため、1と併せて読んで頂けると理解がさらに深まると思います。
中でも、のび太型・ジャイアンツ型などADHDの中でもいくつかタイプの違いがあるとった説明が分かりやすく、タイプ別の関わり方も載っています。
分量も多くないため一冊にコンパクトにまとまっている入門書を探している方にはお勧めです。
3.大人のADHD もっとも身近な発達障害
医師である〝岩波明さん″が書いた本であるため、医学的な見地からの知識が豊富に記載されています。
しかし、内容としては小難しいものではなく、大人のADHDを理解する入り口としてはとても良い本です。
ADHDの症状や治療法、ASDとの違いに加え、成人期に見られる様々な症状が豊富に記載されています。
大人のADHDについて理解していきたい方にはお勧めです。
4.もしかして、私、大人のADHD? 認知行動療法で「生きづらさ」を解決する
著者の〝中島美鈴さん″にもADHDの特徴があると著書の冒頭で書かれています。
そのため、当事者よりの感覚で書かれている印象を受けることもあり、大人のADHDを分かりやすく理解できる書籍になっています。
この本では、ADHDの症状、原因、治療法などが記載されており、後半では、タイトルにある通り認知行動療法からのアプローチ方法が載っています。
著者はこの本を読んで、著者の身近にいるADHDの疑いのある方の理解がとても進んだこともあり、大人のADHDを理解する上でお勧めの本です。
5.おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線
最後に医師らを中心として書かれた本の紹介になります。
これまで紹介してきた本とは違いADHDの専門書ではありませんが、ADHDの障害について深い理解(知識)を得ることができます。
そして、ADHDを理解するためには、ASDも併せて理解する(逆も言えます)必要があるということが詳しく書かれています。
つまり、両者は似ている部分もあれば、相違点もあるということであり、大人の発達障害の方には、様々な障害が重複しているケースや特定の診断を受けていながらも別の特性が隠れてるケースもあるなど、非常に診断が難しい場合もあるということです。
後半では、心理社会的治療や就労支援など治療や支援に関する内容も記載されています。
少し難しい内容もあるかもしれませんが、ADHDを深く理解する上で様々な気づきを与えてくれるお勧めの本です。
6.ADHDかな?と思ったら読む本
ADHDの当事者〝アリス・ゲンドロン”著の本です。
当事者の視点も踏まえて、ADHDの困り感や生活における様々な対処法などが豊富に記載されています。
ADHDといった特性を理解して、より生きやすくなるためのアイディアを得る上でとても参考になる本です。
専門用語も少なく、イラストも多いため、初心者にとっても読みやすい内容になっています。
7.すごいADHD特性の使い方 人生が本当にラクになるコツ
ADHDの診断を受けた当事者であり、WEB漫画家である〝やしろあずきさん”著の本になります。
ADHDの特性である〝不注意“〝多動性”〝衝動性”はマイナス面があると同時に、補填の仕方、工夫の仕方次第では〝隠れた才能になる”といったアイディアが豊富に記載されています。
やしろさんご自身の体験をもとに書かれているため、現実的・実践的なアイディアが豊富に分かりやすく書かれています。
ADHDの特性があり生活の中で悩んでいる人・周囲にADHDの診断やその傾向があり悩んでいる人にとてもお勧めできる内容になってます。
8.多動脳:ADHDの真実
世界的なベストセラーとなった精神科医の〝アンデシュ・ハンセン”著の本になります。
アンデシュ・ハンセン氏は他にも〝スマホ脳”〝最強脳”〝ストレス脳”〝メンタル脳”〝最強脳”など数々のベストセラーを世に生み出しています。
ADHDといった能力がなぜ残り続けているのか?といった生物学的・人類学的な深い考察に加えて、ADHDの能力の弱みと強みを理解していくことで、ADHDの特性のある人たちが豊かに生きていくための様々なヒントが豊富に記載されています。
発達障害の中でも、多くの割合を占めていると言われているADHDに関して、この本を読むことで、ADHDが持つ生きづらさを強み・エネルギーに変えていくことができる知識を得ることができます。
ADHDの人に限らず、多くの人に読んでもらいたいお勧め本です。
9.ADHD2.0 特性をパワーに変える科学的な方法
ハーバード大学で教鞭をとっていた2人の医師がADHDに関して集大成として書いた本になります。
米国では常に売り上げ上位を維持していたこともあり大変有名な本だと言えます。
タイトルにある通り、この本では最新の研究に基づき、子どもから大人のADHDに関する最新の知見が書かれています。
そして、ADHDの特性は困難さに繋がる一方で、使い方次第では大きなパワーに変えていくことができ、成功へのジャンプ台になると記載されています。
ADHDの特性がある人で、ご自身が持つエネルギーをよい方向に変えていきたいアイディアを得たいと考えている人にお勧めの本です。
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