〝教育″という言葉を聞いて、その言葉には人それぞれ様々なイメージが思い浮かぶかもしれません。
10人いれば10通りの〝教育″があると言われているように、〝教育″の中身も様々です。
それでは、そもそも〝教育″とは、どのようなものなのでしょうか?
〝教育″が持つ意味の本質を理解することは、〝教育″を受ける側にとっても、〝教育″をする側にとっても大きな学びがあると思います。
そこで、今回は、モンテッソーリから見た〝教育″とは何かについて、著者の経験談も交えながら、内面から湧き上がる力の重要性について考えていきたいと思います。
今回参照する資料は「相良敦子(1985)モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!.講談社.」です。
モンテッソーリから見た〝教育″とは何か?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
モンテッソーリは、教育とは、自ら生きようとする生命に仕え、その生命力が円滑に発展し開花するのを援助することだといいました。生命の法則に大きく支配されて生きる幼児期に、その法則に従って生命力を発揮することを体験した人は、時代に影響されずに常に自分で自分の内面からの力を汲みとる道を知っているのです。
著書の内容から、モンテッソーリから見た〝教育″とは、自ら生きようとする生命力を発揮できるように援助すること、だとしています。
ここで表現されている〝生命″〝生命力″という言葉がとても大切です。
人の成長には、生命に根差した内発的なエネルギーを発揮できるように、教育する立場の人は生命の法則を理解しながら援助を促していくことで、教育された側の人間は自らの内部(生命に根差した)から沸き起こるエネルギーの充足感を通して自己成長していく力を獲得していきます。
これはまさに、〝自分が変わる″ことができるという経験から生じる実感・力です。
こうした力を獲得する手伝いをすることが、〝教育″とも言い換えることができます。
関連記事:「【モンテッソーリから見た子供への関わり方】〝発達の法則性″の重要性から考える」
それでは、次に著者の経験談から〝教育″について考えていきたいと思います。
著者の経験談
著者は〝教育″という言葉を聞いた際に、〝自己の内面から湧き上がる力を援助する(される)″という表現が非常にしっくりくると感じています。
こうした力の獲得は、〝自己教育力″の成長にも繋がっていきます。
関連記事:「【モンテッソーリから見た〝自己教育力″とは何か】自身の経験を通して考える」
著者は直接的な人物というよりも、書物の中の人物からの影響を強く受けたことで、〝自己教育力″が高まったという実感があります。
つまり、間接的に〝教育″を受けた、と事後的に感じることがあります。
例えば、著者は人間の心理や発達に非常に興味・関心がありました。
こうした自らの興味・関心を探求する上で大きな影響を受けたことは、専門的な知識や経験は当然ありますが、それ以上に、興味・関心を探求し続けている人の書物を読んだことが挙げられます。
自分の興味・関心を探求しようとしても、著者は周囲の同調圧力を無意識化で感じてしまうことで、学ぶことへのある種のストッパーが生じていたように思います。
学びで大切なことは、興味・関心への没入感・集中状態の持続です。
そして、興味・関心から生じる様々な疑問を立てていくことです。
こうした状態に入るためには、自分にかかっているストッパーを外し、自分の内部から生じる興味・関心に目を向ける必要があります。
こうした興味・関心の源泉は〝好奇心″と言い換えていいと思います。
〝好奇心″はまさに、人間の本能、生命に根差した衝動でもあります。
探求せずにはいられない、考えが止まらない、という状態に入るためには、自分にかかっている制御装置を外し、脱抑制状態になる必要があります。
著者がこうした状態に入ることができたのは、興味・関心を探求し続けている様々な人物、ある種の憧れとも言える人たちの生き方からの学びがとても刺激になったと思います。
このような形で、著者は〝教育″を受けてきたと感じています。
その後は、もちろん、自らの内部から生じる興味・関心を探求している状態を継続しています。
そして、この道の過程で、多くの学びがあったことも実感しています。
以上、【モンテッソーリから見た〝教育″とは何か】内面から湧き上がる力の重要性について見てきました。
今回著者が取り上げた経験談は、〝教育″を受けた立場からお伝えしてきました。
もちろん、著者自身、日々、療育現場に携わっているので、〝教育″という視点を考えるなど実践している立場でもあります。
そのため、本来は〝教育″する立場の視点から経験談を書こうと思いました。
しかし、一度、自分にとって良かったと感じる〝教育″を振り返ることが、今後の療育に繋がってくると思い、今回は、自分の過去を遡るかたちで〝教育″について考えお伝えしてきました。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も〝教育″に携わる身として、生命に根差した人が学び・成長する力を阻害せず、そして、伸ばしていけるような療育を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
相良敦子(1985)モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!.講談社.