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【自閉スペクトラム症(ASD)の学習スタイル】モノトロピズム・アテンショントンネルを例に

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自閉スペクトラム症(ASD)には、特徴的な〝学習スタイル(物事の理解・記憶のスタイル)″があると言われています。

〝学習スタイル″を深く理解していく上で、英国で注目されている考えがあります。

そのキーワードとして、〝モノトロピズム″と〝アテンショントンネル″があります。

 

それでは、〝学習スタイル″を理解していく上で注目されているモノトロピズムとアテンショントンネルとは一体どのようなものなのでしょうか?

 

そこで、今回は、自閉スペクトラム症(ASD)の学習スタイルについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、モノトロピズム・アテンショントンネルをキーワードに理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参考にする資料は「内山登紀夫(2025)児童発達支援・放課後等デイサービスのための発達障害支援の基本.日本評論社.」です。

 

 

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【自閉スペクトラム症(ASD)の学習スタイル】モノトロピズム・アテンショントンネルを例に

モノトロピズム・アテンショントンネルもどちらも〝注意″の問題と関連しています。

モノトロピズム″とは、一つの興味や対象に深く集中する情報処理スタイルのことを指します。

アテンショントンネル″とは、個人が特定の情報やタスクに注意を集中させすぎて、周辺にある他の重要な情報を無視してしまう認知現象を指します。

 

つまり、以上の2つのキーワードをまとめると、自閉スペクトラム症の人は、狭い領域の対象に注意が向く傾向があり(モノトロピズム)、一度注意のトンネルに入り出すと次のトンネルへの移行(切り替え)が難しいといった〝注意″の特徴(アテンショントンネル)があるとうことになります。

 

定型発達児・者においては、様々な事柄に関心があり、注意を分散させることが可能です(〝ポリトロピック″とも言います)。

そのため、今必要となる情報を自ら選別・判断することができるため、特定の事柄にフォーカスすることが少なく(逆に幅広く見ている)、切り替えも可能だと言えます。

自閉スペクトラム症に見られる〝モノトロピズム″は生得的な特性だと考えられています。

 


〝モノトロピズム″があると、社会の中でうまく適応することが困難になることが多くあります。

この点において、関連性のある内容について、以下、著書を引用しながら見ていきます。

モノトロピズムと関連があるのは、ミスや中断に対する耐性が乏しく、我慢しづらいということです。また、自分の特別な興味に結びつかない課題に対して関心をもたない(中略)文化的な規範や期待に左右されず、自分の関心のあること、例えばレゴの筆箱などにのみ集中し、相手がどう思っているか、いわゆるマナーになかなか関心が向きません。

以上の特徴があることは社会生活を送る上で、困り感に繋がることがあります。

 

また、特定の関心事に注意が向き、一度アテンショントンネルに入り、切り替えが難しい状態において、他者が過度に他の事柄に注意を向ける働きかけをしたり、アテンショントンネルに入っている状態を否定的に見たり無理に切り替えを促す関わりをしてしまうと、ネガティブ感情を強く抱くなどよからぬ結果を招くことに繋がっていくと考えます。

 


自閉スペクトラム症への興味関心を広げる(注意を広げる)方法については、以下の記事を参照して頂ければと思います。

関連記事:「【自閉症児への支援】興味の世界を広げるために大切な関わり方

 

 

著者の経験談

モノトロピズム・アテンショントンネルに関する例は、自閉スペクトラム症の人たちに多く見られると療育経験を通して実感しています。

例えば、好きなゲームの話など興味のある話題になると、過度に集中して(一方的に話し続けるなど)他の事に注意が向きにくくなることがよくあります。

相手の態度・反応やその場の状況などはお構いなしに話し続けるなど、他にやるべきことがあっても注意がはずれにくいといった状態です。

その他、興味のある作業に入り出すと、他にやるべきことがあっても他の事に注意が向きにくくなることもよくあります。

例えば、お絵かきや工作など興味関心の世界に没頭し始めると、活動の終わりがきてもなかなか切り替えることが難しいことはよくあることです。

 

こうした〝注意″に関する〝学習スタイル″は、生得的なものであるため、過度な介入をしても良い効果・改善は期待できないと感じます。

まずは、自閉スペクトラム症の人がどのような事柄に関心があるのか?といった相手の世界を理解しようといった姿勢が大切なのだと思います。

 

 


以上、【自閉スペクトラム症(ASD)の学習スタイル】モノトロピズム・アテンショントンネルを例にについて見てきました。

自閉スペクトラム症には様々な学習スタイルがあります。

その中でも、今回見てきた注意の特徴は多くの自閉症児・者に見られる特徴だと感じます。

そのため、支援においては、こうした注意の特徴を理解した関わりが重要だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自閉スペクトラム症の世界を少しでも理解していけるように、実体験と知識とを統合した取り組みをしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【自閉スペクトラム症(ASD)の学習スタイル】5つの特徴から考える

 

 

内山登紀夫(2025)児童発達支援・放課後等デイサービスのための発達障害支援の基本.日本評論社.

 

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