【知的障害と発達障害(ASD)は併存する?】併存ケースの支援のポイントも合わせて解説

併存

現在、発達障害(神経発達症)は、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)、ID(知的障害)など様々な発達障害を包摂した概念になっています。

様々な発達障害は、併存(重複)することが多くあると言われています。

 

それでは、知的障害と発達障害(ASD)は併存することはあるのでしょうか?併存する場合、どのような特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、知的障害と発達障害(ASD)は併存するのかについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、併存ケースの支援のポイントも合わせて解説していきます。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「本田秀夫(2024)知的障害と発達障害の子どもたち.SB新書.」です。

 

 

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知的障害と発達障害(ASD)は併存する?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

知的障害と発達障害は、しばしば併存するものなのです。

 

知的障害がある人のグループでは、一般の人口に比べて、自閉スペクトラム症の特性を持つ人の割合が多いと考えられています。

 

特に中等度以上の知的障害がある子どもには、自閉スペクトラム症の併存がみられることが多いです。

 

著書の内容から、知的障害と発達障害は併存することが分かっています。

そして、中でも、知的障害の程度が強いと(特に、中等度以上において)、自閉スペクトラム症(ASD)が同時に見られる割合が多いと記載されています。

つまり、知的障害の症状の程度が、ASDの症状の有無(併存の割合)と関連している言えます。

著者の療育経験を通して見ても、特に、重度の知的障害児には、自閉スペクトラム症(ASD)の特徴を有している場合が多いと感じます。

例えば、発語の無い重度の知的障害児において、ASDの特徴としての感覚の問題やこだわり行動などが見られることは珍しくはありませんでした。

一方で、療育現場において、障害の併存(重複)の視点はまだまだ理解が浸透していないように思えます。

そのため、障害が併存(重複)している場合への理解と対応が、今後ますます必要になっていくと考えます。

 

 

知的障害と発達障害の併存ケースの支援のポイント

以下、著書を引用しながら見ていきます。

知的障害と発達障害のどちらかを優先して支援することはありません。どちらにも同時に対応していきます。

 

著書の内容から、知的障害と発達障害(ASD・ADHD・LDなど)が併存している場合において、優先順位をつけずに、どちらの特徴についても対応していく必要があると記載されています。

また、一方の特徴が見られる場合には、他の障害が併存していないかどうかも検討していく必要性があるといった記載もあります。

例えば、知的障害がある場合、発達障害(ASD・ADHD・LDなど)の診断がなくてもその可能性も含めて理解・対応していく必要があるということです(逆の場合もあります)。

著者のこれまでの経験を踏まえても、知的障害と発達障害(特にASD)の併存(重複)はよく見られるものであり、こうしたケースにおいて、どちらかの特徴に応じた対応のみでは支援の効果が弱まってしまうと感じることがありました。

例えば、自閉スペクトラム症(ASD)と診断を受けたAさんには、明らかに境界知能(あるいは軽度知的障害:ID)の特徴がありました。

一方で、Aさんに関わる支援者は、自閉スペクトラム症の対人コミュニケーションの困難さやこだわり行動のみにフォーカスした支援を展開していました。

結果としてAさんは、偏った支援を受けることになってしまい、境界知能(軽度知的障害)の症状からくる困り感は残り続けてしまうことになっていました。

その後、Aさんは知的障害に関する理解と対応を受け始めたことで、徐々に環境にうまく適応していくことができるようになっていきました。

著者は、Aさんのケースを通して、改めて障害の併存(重複)への理解と対応はとても大切だと考えるようになりました。

 


以上、【知的障害と発達障害は併存するのか?】療育経験を通して考えるについて見てきました。

知的障害や発達障害は単独で発症するよりも、併存・重複しているケースの方が多いのではないか?と感じることがあります。

そして、療育に携わる支援者にとって、障害の併存・重複への理解と対応力が今後さらに必要になっていくのだと感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も様々な障害について理解を深めていきながら、障害の併存についても併せて理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

発達障害と知的障害の併存(重複)ケースへの対応についてはこちらでも紹介しています:関連記事:「【発達障害と知的障害はどう考える?分けて理解することの大切さを療育経験から解説」。

 


発達障害・知的障害に関するお勧め書籍は以下の記事で紹介しています。

関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】発達障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け

関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】知的障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け

 

本田秀夫(2024)知的障害と発達障害の子どもたち.SB新書.

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