前回・前々回と療育施設の現場で役立つ視点についてお話してきました(参照「発達支援(理論編):療育施設で役立つ視点について①」、「発達支援(理論編):療育施設で役立つ視点について②」)。
療育施設には、障害の重いお子さんたちが多くおり、そうしたお子さんたちを理解する視点として、①太田ステージ、②感覚と運動の高次化理論、③感覚統合理論、④関係論的アプローチを取り上げました。
これらは私の感覚で役立ったものですので、人によっては異なる視点が役立ったものとして上がってくるかと思います。
大切なのは、それぞれの現場において、相手の理解が深まった、新しい発見があった、課題解決に役立ったなどの感覚を自分自身が獲得していくことだと思います。
今回は、私が今の現場(放課後等デイサービス)において役立つ視点をいくつかお伝えしていこうと思います。利用されている子どもたちの状態像も多様ですが、療育施設とは異なり、知的に高いお子さん、グレーゾーンのお子さんたちも多くいます。
⑤発達障害の特性という見方
発達特性や障害特性などという言葉を聞いたことがあるという人も多いかと思います。これは自閉症、ADHD、学習障害、発達性協調運動障害などの特徴を説明した見方になります。
自閉症(自閉症スペクトラム障害)だと、対人関係の困難さやこだわり行動などが特徴であり、ADHDだと、多動性、衝動性、不注意を特徴としています。学習障害だと読み書き計算の困難さを特徴としており、発達性協調運動障害であれば、粗大運動や微細運動の困難さを特徴としています。
こうした発達障害の特性という見方は、現場の子どもたちを理解する上で非常に重要です。特性を理解することはその子に合った環境を調整したり、行動の背景要因を考えるヒントに繋がるからです。
また、こうした発達障害の特性はどこかではっきりと分けられるものではなく、連続して存在しているため、特性の強弱も考慮していく必要があります。
そして、障害の併存という視点も大切です。子どもの中には、例えば、自閉症とADHDを併存している子どももいるため、単独とは理解と対応が変わってきます。また、知的障害の有無も非常に大切です。これも例えば、自閉症で知的障害有、自閉症で知的障害無、自閉症で知的にはグレーゾーンなどで状態像が変わってきます。
このように、単独の特性を理解することに加え、他の障害の併存も考慮していくことが現場の様々な子どもたちの理解には必要だと感じます。
発達障害の特性についてお勧めの書籍として本田秀夫さんの「自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体」「発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち」がわかりやすくお勧めです。
⑥愛着の視点
障害の特性が生得的な要因によって起こるのに対して、愛着の視点は養育環境といった生後の環境の視点になります。
愛着とは「特定の他者との情緒的な絆」を意味するもので、様々なタイプに分類されます。
私のこれまでの経験上、愛着に問題があるケースが非常に解決が難しいと感じます。だからこそ、愛着の理解が非常に大切であると感じます。
愛着関係の書籍も多くありますが、私がお勧めするものとして、米澤好史さんが書かれたものが現場の視点が豊富に記載されており実践的でお勧めです。中でも「発達障害・愛着障害 現場で正しくこどもを理解し、こどもに合った支援をする 「愛情の器」モデルに基づく愛着修復プログラム」がいいと思います。
以上が、発達支援の現場で役立つ視点の紹介になります。
もちろんこれまで紹介してきた①~④の視点も併せてることでさらに理解が進むかと思います。
今後もより良い発達理解と発達支援を目指していけるように、様々な視点を学んでいこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。