療育の成果について、どのような働きかけが成果に繋がったのかを特定することは難しいことです。まず、何を持って成果と言えるのか、そして、成果には様々な要因が絡んでいるからだと思います。
さらに、成果(変化)にも、短期のものと長期のものなど時間軸の捉えの違いによって見えてくるもの、内容が異なるかと思います。
そこで今回は、私自身の放課後等デイサービスでの長期の子どもたちとの関わりからポジティブな変化が見られた例を長期の視点から以下に事例を簡単に紹介したいと思います。
療育の成果について-ルール遊びについて-
A君の事例→ルール遊びが理解できるようになってきた例
小学校3年生のA君は、私が所属して放課後等デイサービスに一年生の頃から通っているお子さんで、当時は、黙々と一人遊びをして過ごすことが多いお子さんでした。
その遊びの中には、お絵描きや読書、工作が多く、静かな環境で、一人で集中して取り組む様子が印象的でした。
そんなA君ですが、学年が上がるにつれて変化が出てきました。それは、周囲の子どもたちの遊びに関心が出てきたことです。他児が遊んでいる様子をよく見るようになり、時には部分的に混ざってくるようになりました。例えば、大人が鬼になり追いかけっこをしている様子を見ると、急に混ざってきて笑顔で逃げ回るなどです。
それ以外にも、かくれんぼ、的当て遊び、野球ごっこ、ドッチボールなどにも興味が出てきました。
時系列でみると、デイでの低学年時は、追いかけっこなどの集団遊びから始まり、的当て、かくれんぼ、ドッチボールや野球ごっこなど徐々にルールが複雑になる遊びに発展してきたという印象です。
最近のブームはかくれんぼで、これは追いかけっこ同様に、かくれる役(逃げる役)、探す役(追いかける役)と役割の交代を理解する必要があり、こうしたルールを最近では完全に理解してきているようで上手に役割を変えながら、かくれる・探すを大人や他児と一緒に遊んでいます。
また、的当てゲームは、大人が用意した的(ブロックなど)にボールを当てるシンプルなゲームですが、運動機能も発達して、投げる・打つも少しずつできるようになり、大人と二人での野球ごっこから、少人数での野球ごっこへと発展していきました。
ドッチボールも敵と味方の違いや陣地の理解も少しずつできるようになり、少人数で遊びができるようになってきました。
我々スタッフは、こうしたルール遊びで気をつけている点として、①遊びの前にルール説明を行う、②できるだけルールを簡単にする、③ルール理解が難しい子には大人をつけてサポートする、などの対応を取っています。
A君も、ルールを理解できることが増えて、スタッフの説明を真剣に聞く様子が増えてきました。また、野球ごっこなどルールが難しい場合には特定のスタッフを配置してサポートすることで、うまく他児と遊べる様子も増えてきました。
私たちが住む社会には様々なルールが存在しており、ルールを理解することはうまく社会と関わること・他者と関わることにも繋がっていきます。
また、他者とうまく関わるためにはどのようなルールが必要なのかを考える力にも繋がっていきます。
私も子供時代には、友人とたくさんルールの遊びを行っており、時にはルールを作り変えたりしてみんなで楽しく遊べる工夫をたくさんしてきました。
こうした経験が大人になって社会の中でうまくやっていく土壌になるのだと思います。
私自身、今後も子どもたちに、ルールがあるとうまく遊べたという体験を持ってもらえるように、日々の現場での実践を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。