著者は長年、発達に躓きのある子どもたちたちと放課後等デイサービスなどの事業所を通して関わってきています。
長年の療育を踏まえて、放課後等デイサービスの役割や意味などを実感できる場面が多くあります。
そこで、今回は著者の放課後等デイサービスでの経験を通して、療育の大切さについてお伝えします。
療育の大切さといっても様々なものがありますので、今回は著者の事業所でよく見られる集団遊びを通しての自己成長からお伝えします。
集団遊びを通しての自己成長
著者が勤める事業所では、集団遊びを行っているお子さんたちが多くおります。
例えば、工作遊び、戦いごっこなどのごっこ遊び、サッカーやドッチボールなどのボール遊びなどを子どもたちはよく行います。
工作遊びは、一人で黙々と作業をする子もいますが、それよりも他児の作る様子を見ながら、それに刺激を受けて「自分も作りたい!」という子が多くいます。
こうした子どもたち同士が刺激を受けながら、工作遊びも進化・発展してきています。
例えば、車作りは○○君が得意、武器作りは○○が新しいものを作ったなど、他児同士が影響を受け合い、お互いの良さやすごい所を認め合う様子が増えてきています。
そして、こうした工作で作ったものを、例えば、戦いごっこなどに使用し、また、戦いごっこを通してさらに新しい武器作りを行うといった、進化・発展の循環が他児との関わりの中で出てきます。
ボール遊びも、最初は少人数だったドッチボールが徐々に人数が増え、子供チームVS大人チームといった形式に発展するなどより集団遊びが活性化してきています。
こうした、集団遊びですが、他児と関わることで様々な自己成長が促進されると感じています。
例えば、他者に認められること、集団遊びに入れることでの自己肯定感の向上です。
人は他者から認められた・受け入れられたという経験を通して自己肯定感を高めることができるのだと療育を通して実感することができました。
その他にも、ルールを理解する力、人とうまくやっていく力、イメージを形にする力、手先の巧緻性の向上、粗大運動の向上など、集団遊びの発展から獲得できる能力は非常に多くあるように思います。
こうした集団遊びは様々な能力の向上や自己肯定感の向上といった心理面にも影響を及ぼすことが考えられます。
それでは、次にこうした集団遊びを作る上での工夫についてお伝えします。
集団遊びにおける支援の工夫
発達に躓きのある子どもたちにとっては、何となく共有できる空間とおもちゃなどを用意すればうまく関わることができるかと言えばそうでないケースが多いと感じます。
集団遊びにおいても大切なのは個別のニーズの理解とそれに対する配慮です。
例えば、A君にとっては○○のルールは難しいが、B君にとっては簡単という場合があります。
その場合は、両者の理解能力を把握していきながら、どちらも理解・納得できるような遊びの配慮が必要になります。
また、戦いごっこなど、戦う場所や敵・味方などをシンプル化できると、子どもたち集団がまとまって楽しく遊ぶ様子が増えます。
つまり、集団遊びといえども、一人ひとりを理解することがとても大切になるということです。
そして、こうした集団遊びを行う上で、ある程度、認知発達と興味関心が共通している場合の方がうまくいくケースが多いと感じます。
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こうした集団遊びを通して事業所でエネルギーを蓄えることは、その後の生活にもポジティブに影響し、次にまた事業所に行きたいといった動機付けにもなります。
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このように、療育を通しての集団遊びには様々な面で子どもたちの発達を豊かにするものがあるのだと思います。
今後も、子どもたちが通いたくなるような事業所を目指していきながら、集団遊びの意味や大切さを実践を通してさらに深く追求していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。