療育は、子どもが将来社会の中でうまくやっていく力を育むことを目標・目的としています。
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それでは、療育で身につけるべきスキルにはどのようなものがあるでしょうか?
今回は、著者の療育経験も交えながら、療育で身につけたい三つのスキルについてお伝えします。
今回、参照する資料は「平岩幹男(2012)自閉症スペクトラム障害:療育と対応を考える.岩波新書.」です。
著書の中では、学業的スキルと社会的スキルと身体的スキルの三つを取り上げています。
以下にそれぞれについて見ていきたいと思います。
学業的スキルについて
以下、著書を引用します。
学業的スキルには、言葉をはじめとして、知的な問題を含む理解力、認知力といったものすべてを含みます。
学業的スキルと聞くと、学校の勉強をイメージする方も多いのではないかと思います。
しかし、著書の内容から、ここで扱う学業的スキルは、学校で習得する一般的な学業だけではなく、言語能力や認知能力など非常に広範囲なものとして、学業的スキルを捉えています。
学校の勉強だけではなく、言語能力や認知能力などを考慮し現在の学業的スキルを見ていくことは、発達に躓きのある子どもたちの理解や、理解に基づいた関わりにおいて大切になってきます。
例えば、文章の理解や他者の意図理解、ルールを理解するためには、その前提にどのような能力の獲得が必要であるかといった発達の順序性・方向性の知識が必要になります。
発達に躓きのある子どもたちは、こうした発達の順序性・方向性が定型児よりゆっくりであったり、偏っている場合があるため、一人ひとりに配慮した学習方法が必要になります。
このように学業的スキルを広い概念として捉えることは、発達に躓きのある子どもたちの理解において大切であり、その子にあった支援や対応が必要だという認識も合わせて重要です。
社会的スキルについて
以下、著書を引用します。
これは社会参加をするため、社会生活を円滑に送るために必要なスキルです。(略)社会的スキルは、コミュニケーション能力があることを前提として発揮されます。まず学業的スキルを向上させてコミュニケーション能力を身につけ、それから社会的スキルを獲得していこうということになります。
著書の内容から、社会的スキルとは、社会参加する上で必要なコミュニケーション能力とされており、このスキルは、ある程度のコミュニケーション能力を身につけた後に獲得していくものとされています。
学業的スキルは、社会的スキルの前段階において必須であるため、学業的スキルではより個別の療育、社会的スキルでは集団療育というように段階を踏んでの関わりが大切です。
著者の療育現場では、他児との関わりを求めてくる子も多くいます。
こうした他児との関わりで見らえる集団遊びを通して、ルール理解や状況理解など様々な社会的スキルを獲得していきます。
こうした集団遊びが可能となるには、ある程度、その前段階の言語能力や認知能力の発達が必要だと感じます。
身体的スキルについて
以下、著書を引用します。
身体的スキル、すなわち身体機能のスキルです。発達協調性運動障害を合併している場合をはじめとして、カナー型の自閉症を抱えている場合には、からだがぐにゃぐにゃして姿勢を保つことが困難な場合も少なくありません。これも療育の対象になります。
最近、発達性協調運動障害(DCD)といった協調運動に関する障害がでてくるほど、運動面が取り上げらえる機会が増えてきました。
そして、こうした運動に関する困難さも療育の対象になってきています。
身体的スキルは、生活動作以外にも、何か物を作ったり、運動遊びをする場合など、生活面や就労面、余暇の過ごしなど、様々な所で無意識的に必要となるスキルです。
著者の療育現場でも、工作遊びや運動遊びなど、身体的スキルを向上させる活動内容が複数あります。
子どもたちを見ていると、好きな活動を通して身体的スキルを向上させている子も多くいるといった印象があります。
今回、参照した文献は主に自閉症への療育を中心に書かれたものなりますが、今回取り上げた療育で身につけたい三つのスキルは様々な発達障害においても活かすことができる視点だと思います。
今後も、子どもたちに対して、質の高い療育ができるように日々の実践からの学びを大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
平岩幹男(2012)自閉症スペクトラム障害:療育と対応を考える.岩波新書.