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【ADHDの身体の問題について】夜尿症・睡眠障害を通して考える

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ADHD(注意欠如多動性障害)″とは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とした神経発達障害の一つです。

ADHDには、様々な〝身体の問題″が発症する場合があると言われています。

 

それでは、どのような身体の問題が多く見られると言われているのでしょうか?

 

そこで、今回は、ADHDの身体の問題について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、夜尿症・睡眠障害を通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「てんねんDr.(2025)子どもの発達障害がよくわかる本 これ1冊で理解もサポートも!SB Creative.」です。

 

 

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【ADHDの身体の問題について】夜尿症・睡眠障害を通して考える

著書では〝学童期″と〝思春期以降″によく見られる〝身体の問題″についての記載があります。

それでは、ライフステージごとに分けて見ていきます。

 

学童期の身体の問題について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

まずは泌尿器的な問題です。多いのは夜尿症です。ADHDの子どもの10~15%に見られるといわれています。

 

また、寝つきの悪さの問題を中心に、睡眠の問題が出てくることもあります。

 

著書の内容から〝学童期″におけるADHDの〝身体の問題″として、泌尿器的な問題(夜尿症など)や睡眠の問題、言葉の問題(今回は割愛します)などがあると記載されています。

 

ADHD児は、膀胱にどの程度尿が溜まっているかどうかの感覚の発達が遅い場合があります。

そのため、泌尿器的な問題への基本となる対応をしていく必要があると言われています。

また、年齢が増すと、治まってくることが多いと考えられているため、焦らず、ADHDの特性への対応と合わせて行っていくことが必要だと言われています。

著者もADHD児をはじめ、様々な発達障害児の中には、泌尿器的な問題が少なからず見られる場合があると感じています。

対応方法として、生活習慣の改善、薬物療法などの検討が有効だと言えます。

 

また、ADHD児は、寝つきの悪さなど睡眠の問題を抱えやすいと言われています。

著者は、ADHD児との関わりの中で、夜遅くまでメディア(ゲーム・ネットなど)の使用によって脳が活性化してしまい、よく眠ることができないケースに出会うことが少なからずあります。

対応方法として、生活リズムを整えること、薬物療法などの検討が有効だと言えます。

 

 

思春期以降の身体の問題について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

思春期に特に多いのが、日中の過度の眠気問題です。

 

女性の場合、PMDD(月経前気分不快障害)との併発が多いことがわかってきています。

 

著書の内容から〝思春期以降″におけるADHDの〝身体の問題″として、日中の過度の眠気問題や、女性の場合にはPMDDとの併発などがあると記載されています。

 

このように、学童期に引き続き睡眠の問題はADHDの様々なライフステージにおいてよく見られる問題だと言えます。

著者は、成人のADHDの人とも交流がありますが、よく眠ることができないケースや、仮に本人としては前日よく眠れていた感覚があっても、日中に過度の眠気に襲われることがあるケースも見られます。

対応方法として、生活習慣の改善をはじめ、薬物療法などの検討が有効だと言えます。

 

女性の場合のPMDDとの併発において、身体の様々な個所に痛みが生じたり、食摂取に変化が見られたり、睡眠障害が生じることもあると言われています。

対応方法として、薬物療法などの検討が必要だと記載されています。

 

 


以上、【ADHDの身体の問題について】夜尿症・睡眠障害を通して考えるについて見てきました。

ADHDと言えば、不注意、多動性、衝動性といった発達特性にまずは目が向くことが多いと思います。

もちろん、この視点はとても重要ですが、一方で、ADHDの特性が影響して、様々な身体の問題を引き起こしている可能性があるといった理解も併せて考えていくことが大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も様々な発達障害に付随して起こる身体の問題にも目を向けていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「ADHDの特徴【大変な時期とは?予後は?反抗挑戦性障害の視点から考える】

 

 

てんねんDr.(2025)子どもの発達障害がよくわかる本 これ1冊で理解もサポートも!SB Creative.

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