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【自閉症のこだわり行動の強みとは?】療育経験を通して考える

投稿日:2024年7月2日 更新日:

自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)とは、〝社会性の障害″〝コミュニケーションの障害″〝こだわり行動″を特徴とする発達障害です。

上記の特徴にもあるように、自閉症の行動特徴を理解し対応していくためにも、〝こだわり行動″への理解はとても大切です。

こだわり″と聞くと、ネガティブな印象を受ける場合もありますが、ポジティブな側面(〝強み″など)もあると考えられています。

 

それでは、自閉症のこだわり行動にはどのような強みがあると考えられているのでしょうか?

 

そこで、自閉症のこだわり行動の強みとは何かについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「白石雅一(2024)おもちゃ教材で育む人間関係と自閉スペクトラム症の療育~親・保育園・幼稚園・学校・児童発達支援・放課後等デイサービスのためのガイド~.東京書籍.」です。

 

 

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〝こだわり行動″の定義について

それでは、最初に著書の〝白石雅一″さんの〝こだわり行動の定義″について見ていきます(以下、著書引用)。

ある特定の物や状況に著しい執着を示し、それを常に一定の状態に保っていようとする欲求に本人が駆られた結果、それが変わること、変えられることを極度に嫌うようになり、行動面において反復的な傾向があらわになること。

 

著書の内容の〝こだわり行動の定義″を踏まえると〝こだわり行動″とは、特定の物や状況への固執、固執の保持、変化への抵抗(固執行動を変えられない)、反復的な行動様式が顕在化した状態だと言えます。

こだわり行動″は、生涯にわたり残り続けるも、固執の対象や強度が変化するなど、人によって様々な状態の違いがあると考えられています。

 

関連記事:「【自閉症児のこだわり行動の3つの特徴】〝変えない″〝やめない″〝始めない″を通して考える

 

 

〝こだわり行動″の強みについて

それでは、〝こだわり行動″のキーワードとなる、①「変えない」、②「やめない」、③「始めない」を〝強み″に変換すると、どのような特徴が見られるのでしょうか?

 

 


次に、①~③の〝こだわり行動″の強みについて、著者の経験談も交えながら見ていきます。

 

①「変えない」

以下、著書を引用しながら見ていきます。

将来「品質を変えない(努力をする)」とか「何があっても(集中して)作業する時間を変えない」ということが評価されて、その人の「強み」となる可能性が出てきます。

 

著書の内容から、「変えない」は、一度、自分が決めたやり方・内容・ペースがあると、それを繰り返しまじめに取り組むことから、それが〝強み″にもなると言えます。

そのため、一定のルーチンが求められる作業や仕事において、その業務が本人にハマれば、それを長い期間にわたり継続して飽きずに取り組める可能性が出てきます。

 

②「やめない」

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「途中で投げ出さない」「最後まで諦めない」という「強み」になり、研究者やアスリートへの道につながっていきます。

 

著書の内容から、「やめない」は、目標・目的に向けて最後まで継続して取り組むといった〝強み″になると言えます。

一つの道を極める研究者やアスリートなどには、〝最後まで諦めない力″が特に重要です。

周囲に流されることが少なく、自分の興味関心に没頭する傾向のある自閉症児・者にとって「やめない」は、目標・目的、そして、努力の内容が間違っていなければ、後々、非常に大きな力になる可能性を秘めていると言えます。

 

③「始めない」

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「余計なことを始めない」とか「二兎を追わない」、「他に気移りしない」ということになり、「一途さ」や「失敗回避」につながることが「強み」になるわけです。

 

著書の内容から、「始めない」は、他に気移りしない一途な姿勢が〝強み″になると言えます。

人は人生において、様々なことに興味関心を持つ分、最初に決めたことを気移りせずに継続して実行することが難しいことが多くあります。

一方で、自閉症児・者において、新しいことに目が行きにくい分、最初に決めた取り組みや目標に一点集中して取り組む強さがあると言えます。

 

 


以上、【自閉症のこだわり行動の強みとは?】療育経験を通して考えるについて見てきました。

著者もこれまで様々な自閉症児・者との関わりを通して、〝こだわり行動″が時と場合によっては〝強み″になると感じることがあります。

例えば、一度決めたことは最後まで取り組むこと、周囲に流されない姿勢、飽きずに作業をする姿勢、興味関心への没頭力、などがあると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自閉症のこだわり行動への理解を深めていきながら、苦手さへの配慮を怠らずに、同時に強みも見出していきたいと思いいます。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「自閉症児・者のこだわり行動の強みについて

 

 

白石雅一(2024)おもちゃ教材で育む人間関係と自閉スペクトラム症の療育~親・保育園・幼稚園・学校・児童発達支援・放課後等デイサービスのためのガイド~.東京書籍.

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-こだわり, 自閉症

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