重度の障害児の発達についてどのように理解をしていけば良いのでしょうか?
障害児施設や放課後等デイサービス、特別支援学校などに携わる支援者・教員にとって、重度の障害児と関わることが多い中で、彼らの発達をどのように理解し、どのような支援をしていけば良いかを考えることは容易ではありません。
それでは、重度の障害児への理解と支援の在り方を深めていく上でどのような知識が有益となるのでしょうか?
そこで、今回は、重度の障害児との関わりを持つ臨床発達心理士である著者が重度障害児療育に関するおすすめ本8選【初級~中級編】について紹介していきます。
※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。
実際にこれから紹介する本を通して著者自身、重度の障害児に関する理解が深まった、支援の役に立った等、有益な知識を得ることができました。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
1~8の番号はランキングではありません。紹介内容を見て入りやすい本から手に取って頂けるといいかと思います。
障害児の発達臨床 (1)

感覚と運動の高次化理論は〝宇佐川浩さん”によって開発されたものです。
感覚と運動の高次化理論では、人間の発達について、感覚と運動を基盤として、感覚で世界を捉える段階から概念形成・獲得に至るまでの発達過程を4つの層に分けて捉えています。
この本では、4つの発達の層について詳細な解説と、どのような支援がそれぞれの段階に必要なのかについても解説されています。
人間が言葉を獲得していく過程、概念形成を獲得していく過程までについて、認知の発達、関係性の発達、情緒の発達、姿勢・運動の発達、コミュニケーションの発達など様々な能力が関連し合いながら縦の力となって成長していく姿の詳細な説明があるため、重度の障害児の発達を非常に深く理解したいと考えている全ての人にお勧めできる本だと言えます。
障害児の発達臨床 (2)

同じく〝宇佐川浩さん”の感覚と運動の高次化理論に関する本です。
先に紹介した障害児の発達臨床 (1)が理論の概要についての紹介が多かったのに対して、障害児の発達臨床 (2)では、より具体的・実践的な内容に重きが置かれている印象があります。
個人的には、二冊を併せて一冊と言えるほど、併せて読んで頂くことをお勧めします。
感覚と運動の高次化理論は、重度の障害児の発達に携わる人に多くの気づき、理解や支援のヒントをくれるものだと言えます。
障害児の発達臨床 (1)(2)は、どちらかと言えば、中級~上級者向けの内容かもしれませんが、重度の障害児の発達を理化する必読書だと感じていますので、今回入れさせて頂きました。
感覚と運動の高次化理論からみた発達支援の展開:子どもを見る眼・発達を整理する視点

本書は感覚と運動の高次化理論について分かりやすく解説された一冊です。
この本では、感覚と運動の高次化理論についての概要、個別支援の実際について解説されています。
先に見た2冊が感覚と運動の高次化理論のバイブル書だとすると、それらを分かりやすく一冊にまとめたのが本書だと言えます。
そのため、感覚と運動の高次化理論について学びたいと考えている初心者の方、また、先の二冊では難易度が高いと感じている方にお勧めできる本となっています。
子どもの心の世界がみえる 太田ステージを通した発達支援の展開

太田ステージでは、心理学者のピアジェの発達理論をベースに、シンボル表象機能を複数の発達段階に分けて評価し、それぞれの発達段階に必要な支援のあり方が集約されています。
太田ステージの評価は主に、生後0歳からの感覚運動期から12歳頃の形式的操作期までの認知の発達を取り上げています。
この本では、太田ステージの理論と実践(福祉・心理・教育の分野)について、さらは、各段階において教材教具を活用した発達支援について分かりやすく解説されています。
太田ステージについて学びたいと考えている特別支援教育に携わっている教員の方、そして、障害児施設や放課後等デイサービスのスタッフの方などに大変お勧めできる本となっています。
発達支援と教材教具 子どもに学ぶ学習の系統性

重度の障害児の発達支援で著名な〝立松英子さん”の発達支援と教材教具の第Ⅰ弾になります。
この本では、教材教具の活用(さす・入れる、はめる、置く、なぞるなど)を通して、言葉やイメージの世界に至るまでの発達、そして、模倣や社会性の発達、言葉や数の発達に至るまで系統立て詳細に解説されています。
様々な発達過程において、教材教具をどのように活用していけば良いかについて多くの示唆を与えてくれる本となっています。
重度の障害児の認知発達(象徴機能の発達)がいかに深いものであり、彼らの発達支援には教材教具の持つ意味が非常に重要であるかを考えさせてくれる本だと言えます。
発達支援と教材教具 II (子どもに学ぶ行動の理由)

重度の障害児の発達支援で著名な〝立松英子さん”の発達支援と教材教具の第Ⅱ弾になります。
第Ⅰ弾の内容をさらに分かりやすくしたことに加えて、概念学習や気になる子どもの行動・認知などについても取り上げています。
個人的には、第Ⅰ弾と併せて読んで頂くことで理解が深まると感じています。
改めて、重度の障害児の発達の理解には深い知識が必要となるかを教えてくれる本だと言えます。
ちなみに、現時点(2026年3月時点)において、発達支援と教材教具は第Ⅴ弾まで出版されていますので、興味のある方はぜひ手に取って頂きたいと思います。
育てにくい子にはわけがある: 感覚統合が教えてくれたもの (子育てと健康シリーズ25)

作業療法士の〝木村順さん”著の感覚統合に関する本です。
木村順さんの本はどの本もお勧めですが、今回紹介する本は特に初心者の人に感覚統合の面白さ・奥深さを理解する上でも大変お勧めです。
重度の障害児には、感覚の問題(感覚過敏や感覚鈍麻など)を抱えているケースが多いため、感覚についての理解は必要不可欠だと言えます。
著者はこの本をきっかけに、療育現場に見られる子どもの感覚の問題について多くの示唆を与えて頂きました。
感覚統合についてさらに理解を深めたい人には以下の記事がお勧めです。
関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】感覚統合に関するおすすめ本:初級~中級者向け」
ムーブメント教育・療法による発達支援ステップガイド

ムーブメント教育・療法とは、様々な遊具や遊びを通して身体を使うことで、からだ・あたま・こころの発達を支援するアプローチのことを指します。
この本は、ムーブメント教育・療法で大変著名な〝小林芳文さん”が編集したものとなっています。
この本では、人間の発達について、感覚と運動といった生誕後の発達から社会性といった生後72カ月までの発達について、支援目標・アセスメント・推奨する関わり方についてイラスト付きで分かりやすく解説されています。
特別支援学校や障害児施設に勤めている職員を初め、重度の障害児の発達について深く理解したいと考えている人に読んで頂きたい本となっています。
その他、重度の障害児・者によく見られる特徴として〝行動障害”があります。
行動障害に関して著者がお勧めしている書籍は以下の記事で紹介しています。
関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】行動障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け」

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