発達障害のある子どもは〝集団″が苦手であると言われています。
著者の療育経験から見ても、集団を苦手とする発達障害のある子どもたちは多くいると感じています。
それでは、発達障害のある子どもはなぜ集団を苦手とするのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児はなぜ集団が苦手なのか?について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.」です。
発達障害児はなぜ集団が苦手なのか?
著書では集団が苦手な理由として以下の3点を取り上げています(以下、著書引用)。
①集団で行動するのが苦手
②予定が変更されると対応できない
③失敗経験が積み重なる
それでは次に、以上の3点について引き続き著書を参考しながら、併せて著者の経験談も交えて見ていきます。
①集団で行動するのが苦手
著書の中には、集団にはルールがあり、ルールに沿って動くことの難しさあると記載されています。
そして、過度に集団に加えることはストレスの増加やパニック行動に繋がるといった内容のことも書かれています。
著者の療育現場でも、集団行動を苦手とする子は多くいます。
集団には決まったルールが複数存在していること、そして、自閉症児が特に苦手とする暗黙のルールなど守らないとうまく集団行動が取れない決まりがあります。
ルールが本人にとって納得のいくもの、メリットを感じられるものであれば良いのですが、集団のルールは全体が波長を合わせるためのものが多いため、特に対人関係やコミュニケーションを苦手とする発達障害のある子どもにとっては苦痛な部分が多いと思います。
そのため、学校の行事など集団行動が多く求められる時期などには、著者が勤める放課後等デイサービスに通所している子どもの状態が悪い(疲れ・イライラが多い)ことがよくあります。
②予定が変更されると対応できない
著書の中では、学校にはたいてい決まった予定(ルーティン)がありますが、その予定が大きく変更になる場合など混乱しパニックを起こすことが多くなると記載されています。
先ほど、①でも見た学校の行事の期間では、予定の変更が増える時期になります。
そんため、学校後の放課後等デイサービスに通う子ども状態もまた悪いことがよくあります。
もちろん、学校だけでなく、放課後等デイサービスなどの療育機関内でも予定の変更によって急に不安定になったり、かんしゃくやパニックを起こすケースもあります。
③失敗経験が積み重なる
著書の中では、①と②の状態が増える(重なる)ことで、不適応な行動を見せたり、周囲から注意(叱られる)を受けることで心に傷がつき、ますます状態が悪化していくとの記載があります。
著者がこれまで見てきた子どもたちも、まさに苦手な集団行動を求められる頻度が高まること、そして、急な予定の変更が続くと状態が悪くなる子どもたちが多くいます。
そして、こうした状態において、周囲の大人が適切な配慮をせず叱責を重ねていくと、失敗経験として本人の心の傷として残り続けることになります。
以上、【発達障害児はなぜ集団が苦手なのか?】療育経験を通して考えるについて見てきました。
発達障害児がなぜ集団が苦手なのか?について、①~③の要因以外にも、発達特性なども背景要因としてあります。
そのため、発達特性を理解していきながら、適切な配慮を行っていくことが支援において必要不可欠だと感じています。
そして、最終的には失敗経験をできるだけ少なくし、成功体験を積み重ねていけるような関わりが将来の豊かな育ちに繋がっていくのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちの豊かな発達に少しでも貢献していけるように、発達特性を踏まえた集団参加への配慮を行っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.