著者は長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしています。
関わりの長い子どもであると小学校1~6年生までの小学校時代を継続して見てきています。
それでは、療育で成果を出すためにはどのような視点が大切になるのでしょうか?
そこで、今回は、療育で大切な5つの専門性について、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて、療育で成果を出すために必要なことについて考えを深めていきたいと思います。
療育で大切な5つの専門性について
著者が大切だと考える5つの専門性は以下です。
1.療育環境を整え、療育の目標を深掘りする
2.発達特性を踏まえた関わり
3.二次障害の対応・予防
4.発達的視点を踏まえた関わり
5.保護者支援
それでは、次に1~5についてそれぞれ具体的に見ていきます。
1.療育環境を整え、療育の目標を深掘りする
まずは、自分が所属している事業所などでどのような療育を目指していくのかを考えることが大切です。
例えば、スポーツなど運動を中心としたもの、集団遊びを中心としたもの、創作活動や音楽活動を中心としたもの、様々な活動を組み合わせたもの、など〝活動内容でどこに重きを置くか″そして、〝その活動内容を通して子どもたちの何を育てていきたいのか″を考えていくことが必要です。
著者が所属する事業所の特徴は、自由遊びを中心としており、各自が好きな遊びを支援者と探していきながら遊びが発展していく傾向があります。
そのため、大枠としては、活動内容のレパートリーを整えていますが、その中で、通所してくる子どもたちと一緒に探していく、あるいは支援者が遊びに誘い掛けていくといった関わり方をしています。
そして、遊びが発展していく中で、遊びといった活動から様々な子どもたちの発達や事業所にくる意味・目的が見えてきます。
子どもたち一人ひとりが〝何を楽しみにきているのか″を把握し作り出していくことで、子どもたちそれぞれに応じた療育の目標を深掘りしていくことができると考えています。
2.発達特性を踏まえた関わり
発達特性への理解は、療育現場では必須の知識です。
例えば、対人・コミュニケーションやこだわり行動といった特性のあるASD、不注意・多動性・衝動性といった特性のあるADHDなどへの理解があります。
また、知的障害や学習障害、発達性協調運動障害、感覚の問題の理解もとても重要です。
さらに、こうした特性は、併存・重複するケースも多いため、日常生活のどの点で困り感が生じているのかを把握していく必要があります。
発達特性を理解していくことで、個別の配慮事項が少しずつ見えてきます。
また、上記の遺伝的要因以外にも、愛着障害など環境要因によって、発達障害のような行動が見られる場合もあります。
そのため、ここ最近急増していると言われている愛着障害への理解も大切な視点だと感じています。
3.二次障害の対応・予防
二次障害への対応は療育現場ではとても難しい課題であると感じています。
二次障害にも行動障害や反抗挑戦症、気分障害など様々なものがあり、程度も個々に応じて異なります。
そのため、二次障害の悪化を予防するということを優先としながらも、具体的な対応策を事業所のスタッフで統一していくことも重要です。
二次障害の発症要因にも、愛着の問題や学校への不適応の問題など様々ありますが、予防と対応にプラスして二次障害が発症している背景を理解していくことも大切だと感じています。
4.発達的視点を踏まえた関わり
発達的視点とは、子どもの成長・変化を、過去⇔現在⇔未来、といった時間軸で理解する視点、そして、子どもという個体がどのような環境からの影響を受けているのかという、個体⇔環境(家庭・学校・地域など)、といった環境要因を考慮した理解の視点のことを言います。
そして、こうした時間軸と環境要因(個体⇔環境)の理解を踏まえて支援をしていくものになります。
療育現場に長年いると、子どもたちの今の姿は過去の経験の蓄積によるものだという認識が深まっていきます。
そして、子どもたちの将来が豊かなものになるためには、過去と現在を踏まえた上で構想するという視点が必要です。
この意味で、発達的視点の持つ意味はとても重要だと感じています。
5.保護者支援
子どもたちを一番傍で支えている多くが保護者です。
保護者の中にも、育児ストレスや夫婦間の不和による心理的ストレス、特性を踏まえた関わり方がよくわからない、将来への漠然とした不安などを抱えている方が多くいます。
こうした保護者のストレスは、循環して子どもたちにも影響してくることがあります。
そのため、事業所で子どもたちを一時的にお預かりすることで、少しの休息時間をとってもらうレスパイト的な意味もありますが、子どもたちが事業所で楽しく活動できたという心の充足が日々の生活を安定して過ごす上で著者が大切にしていることでもあります。
さらに、事業所で感じた子どもたちのポジティブな様子や、ネガティブな行動への関わり方で良かったと感じたものなどを共有していくようにしています。
保護者と連携を取りながら、子どもたちを支えていくということは療育においてとても大切なことです。
以上、【療育で大切な5つの専門性について】療育で成果を出すために必要なことについて見てきました。
今回取り上げた5つの専門性は著者が特に大切だと感じているものになります。
また、療育で成果を出すためには、必須の内容だと考えています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も日々の実践を大切にしていきながら、実践を形にしていくことも忘れずに行っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。