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【愛着で重要な保育者や先生の役割について】療育経験を通して考える

投稿日:2023年11月29日 更新日:

愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の人との間に結ぶ情緒的な絆″のことを言います。

子どもは養育者といった特定の大人を軸として愛着関係を形成し、その後の対人関係の中で、愛着関係を発展させていきます。

 

発達心理学領域の研究では、〝愛着″は、〝折り合いをつける力″や〝実行機能の育ち″などにも影響していることが分かってきています。

子どもは、園や学校などで他者と折り合いをつける力を学んだり、目標を立ててやり遂げる力(実行機能の力)を発達させていきます。

 

関連記事:「【〝折り合い″をつける力の根底を支えているものとは?】発達障害児支援の現場から考える

 

それでは、仮に養育者と関係がうまくいかない場合には、家庭以外で関わりを持つ、園の保育者や学校の先生などが持つ関係性にはどのような役割があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着で重要な保育者や先生の役割について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「森口佑介(2021)子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か.PHP新書.」です。

 

 

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愛着で重要な保育者や先生の役割について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

つまり、養育者との関係性が悪くても、教師や保育士との関係性がしっかりと構築されていれば、子どもが未来に向かう力はしっかりと育まれる可能性があると考えています。

 

幼児期から小学校低学年くらいまでは、教師や保育士は、子どもにとってアタッチメントの対象になることができそうです。

 

母親とのアタッチメントが不安定だった場合に、教師と子どもの関係がより重要な役割を果たします。

 

著書の内容から、仮に養育者との関係性がうまく行っていなくても、教師や保育士との関係性がうまく構築されていれば、子どもがしっかりとした発達を遂げていくことは可能であると記載されています。

ここで大切なことは、主な愛着対象である母親との関係が不安定である場合には、教師など他の大人の存在がさらに重要になってくるという点です。

例えば、家庭内で養育者の情緒が不安定であったり、仕事や家事で忙しい場合など、子どもにしっかりと向き合うことが難しくなる場合があります。

こうした場合が長期的に続くと、養育者と子どもの関係性が不安定になることがあります。

このような場合において、特に園や学校で軸となって関わる保育者や先生の存在がますます重要になってきます。

 


以下に、保育者や先生との愛着関係についての記事を記載致します。

関連記事:「保育者との愛着関係について【保育者は愛着対象となりうるのか?】

関連記事:「保育者との愛着関係について【親子との違いはあるのか?】

関連記事:「先生との愛着関係について【先生との愛着の重要性と親との違いについて考える】

関連記事:「保育者や先生が子どもと良い愛着関係をつくる上で大切なこと

 

 

著者の経験談

以下、2つの事例について見ていきます。

 

事例1:未就学児との関わりから見た保育者の重要性

著者は以前、障害児施設で未就学児を対象に療育をしていたことがあります。

著者の立場は保育者であり、週に5日クラスで同じ子どもたちと過ごしていました。

中には、養育者との関係がうまくいかず、愛着関係に不安定さがある子どももいました。

著者は保護者支援を含め、保育者という立場から子どもとの関係作りを大切に様々な関わり方を工夫してきました。

その結果、年単位で、著者と良い関係性を築くことができた未就学児は少なからずいたという印象があります。

著者と良好な関係性を築いたことで、園の生活だけでなく、生活全般が落ち着いてきたと感じることも多くありました。

この経験を通して、愛着関係は養育者だけではなく、園で関わる保育者の存在も必要なのだと実感しました。

 

 

事例2:小学生児童との関わりから見た大人の重要性

事例1は未就学児を対象としていたため、年齢的にも愛着関係が非常に重要な課題となります。

それでは、小学生児童についてはどうでしょうか?

著者は現在、放課後等デイサービスで療育をしています。

同じ事業所に週5日勤務していますので、利用回数の多い子どもだとは週に5日会うこともあります。

小学生児童は未就学児とは異なり、子ども同士の関わりが増え、子どもとの関わりを通して他児から認められること、そして、他児集団の中で自己を発揮することが重要な課題になります。

一方で、この年代はまだまだ大人が関与するところが強いため、大人との信頼関係も子どもの発達に強く影響していきます。

利用者の中には、養育者との間で愛着関係に問題を抱えている児童もいます。

著者は、学童期といった年代においても、養育者以外の大人との関わりの質が大切だと考えています。

もちろん、未就学児とは異なり、友人関係も強く影響してきますが、それでも、養育者との愛着関係に問題のある子どもには、家庭以外で信頼のおける大人の存在が養育者との関係の不具合を補填する役割があると感じています。

 

 


以上、【愛着で重要な保育者や先生の役割について】療育経験を通して考えるについて見てきました。

養育者との愛着関係の研究は進んでいる一方で、先生や保育士との愛着関係はまだまだ研究途上であると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、養育者とは異なる第三者的な立場から子どもと関わる機会が多くあるため、自分の立場からできる必要な関わりについて今後も考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本5選【初級~中級編】

関連記事:「愛着障害に関するおすすめ本5選【初級~中級編】

 

森口佑介(2021)子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か.PHP新書.

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