発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

遊び

【子どもの遊びの大切さについて】遊びに必要な3つのポイントを通して考える

投稿日:

療育(発達支援)において、〝遊び″は非常に重要な意味を持っています。

子どもは、遊びを通して、様々な能力を発達させていくことができます。

 

一方で、〝遊び″といった言葉は非常に多くの内容を含んでいます。

 

それでは、○○の活動が遊びであるためには、どのようなポイント(条件)が必要なのでしょうか?

 

そこで、今回は、子どもの遊びの大切さについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、遊びに必要な3つのポイントを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

○○の活動が遊びであるために必要な3つのポイントについて

子どもの遊びの大切さを考える上で、そもそも〝○○の活動が遊びである″といった遊びの持つポイント(条件)を整理する必要があります。

以下、著書を引用しながら見ていきます。

①楽しさや心地よさのような快の感情を伴っていること。あるいは快の感情に達することを目指して行為がなされること

②活動を始め、続け、止めることについて自分の意志で決められる自由があること

③日常的な生活の必要性から離れ、心的な余裕の中でなされる活動であること

以上、著書の内容から、遊びとは、①快の感情を伴う活動であること②自由に活動への参加を決められること③必要な日常活動から離れたゆとりある活動であること、に集約できます。

 

①に関しては、まさに遊びの本質だと言えます。

つまり、無我夢中で活動に没頭している子どもの様子、そして、その活動を非常に楽しんでいる様子などからも、遊びには快の感情が常に伴っていること(達成後に感じる行為も含め)、そして、時折生じる没頭感なども遊びの大切なポイントになります。

 

②に関しては、遊びは他から強制された活動などとは異なり、いつでも開始したり、止めることができます。

また、子どもの遊びには様々なルール遊びもありますが、これに関しても、自らの意思でそのルールに従っているといった子どもの意思が反映されている自由があると言えます。

 

③に関しては、遊びは、日常生活において必ず必要とされる活動ではないかもしれませんが、生活の文脈から離れることで体感できる様々な自由な発想や解放感、心のエネルギーの充足感などを感じることができます。

 

 

スポンサーリンク

 

 

著者の経験談:遊びの大切さについて

著者は療育現場で長年、様々な子どもたちと〝遊び″をメインに関わってきています。

 

遊びを通して子どもたちは、様々な能力を発達させていくことを実感しています。

例えば、工作遊びを通して、手の巧緻性が高まっていった子ども、イメージを形にするといった構想する力が高まっていった子ども、作った工作物を他者とごっこ遊びで共有するなど、見立て遊びやごっこ遊びの力が高まっていった子どもも多くいます。

遊びを通した能力の発達は、子ども自ら自分の意志で遊びを決めていること、楽しんで取り組んでいる中で、成長していくものだと感じています。

そのため、子どもの興味関心を把握する視点(アセスメント)、そして、興味関心のある活動の中で、子どもにあったレベルの活動を考えサポートしていく視点(発達の最近接領域・足場づくり)が療育者に求められる力だと言えます。

逆に言えば、興味関心のない活動、子どものレベルに合っていない活動は、遊びとは遠い活動になってしまうことがあります。

このような場合において、遊びを通して、子どもの能力の発達に寄与することが難しくなります。

特に、定型発達児は自らやりたい遊びを発見して、遊びを展開していくことが得意であるのに対して、発達障害児など発達に躓きのある子どもは、療育者側の遊びの環境設定や誘い掛けの工夫、遊びがうまく進むようなサポートの工夫がとても大切になると感じています。

一方で、必要なサポートを受けることで、子どもたちはイキイキと遊びに取り組む様子が増え、その中で、様々な能力を発達させていくことができます。

 

また、能力の発達以外にも、遊びには、心の充足感や心の発達も伴うと感じています。

遊びは何も、様々な能力の発達に寄与するだけではありません。

心のエネルギーの充足や心の発達にも影響していくものだと言えます(能力の発達と関連し合いながら)。

子どもたちには、遊びを通して〝楽しい!″〝できた!″など、様々な心の動きが見られることがよくあります。

著者は、子どもたちとの遊びを通して、内部のエネルギーを外部に放出したことによって、活動を終えた時に、非常に清々しい表情で帰ることができた子どもたちを見て、心のエネルギーの充足は非常に大切だと肌で感じることができるようになりました。

もちろん、楽しんでいるのは、子どもたちだけではなく、著者も同じです。

どちらかと言えば、関わる大人も、とても楽しく遊んでいる状態が必要だと言えます。

また、子どもたちには、遊びを通して、何かを達成できた高揚感、再度リベンジしようといった挑戦意欲の高まり、喜怒哀楽といった様々な感情を他者と共有できたなど、心の成長も多く見られます。

 

 


以上、【子どもの遊びの大切さについて】遊びに必要な3つのポイントを通して考えるについて見てきました。

遊びを通して、子どもたちの心と様々な能力は大きく発達していくほど、遊びの持つ意味は大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で、子どもたちと様々な遊びを通して、子どもたちの成長をサポートしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【遊びとは何か?】遊びの5つの特徴を通して考える

関連記事:「【遊びの6つのタイプについて】療育経験を通して考える

 

 

藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.

スポンサーリンク

-遊び

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【遊びの6つのタイプについて】療育経験を通して考える

著者が勤める療育現場では、様々な遊びが行われています。 例えば、工作遊び、感触遊び、追いかけっこ、ままごと、お絵描き、など、多様な遊びが存在しています。   それでは、こうした様々な遊びの内 …

【遊び心は〝学び″や〝創造性″を高めるのか?】遊び心を妨げることによる障害の視点から考える

子どもたちは日々の〝遊び″の中で多くのことを学んでいきます。 著者の療育現場でも、日々行われている様々な〝遊び″を通して、子どもたちの成長・発達が短期・長期のスパンで見られています。   そ …

【遊びと自制心の関係について】療育経験を通して考える

遊びを通して子どもたちは様々な能力を獲得していきます。 中でも、〝自制心″といった自分自身をコントロールする力との関連が明らかとなっています。   それでは、具体的に遊びと自制心にはどのよう …

【子どもが危ない遊びをする意味とは何か?】療育経験を通して考える

子どもは様々な遊びを通して自己を成長させていきます。 遊びの中には、少し危険とも思われる遊びがあります。 危険な遊びをどの程度許容できるのかは、養育者の持つ考え方、子どもの状態像の違い、地域・社会環境 …

【遊びを通して子どもは他者への共感を磨くことができる】療育経験を通して考える

子どもたちは、様々な遊びを通して社会性を獲得していきます。 社会性の中でも大切な力が他者への〝共感″です。 他者の様々な思いを理解できる力は社会を生きていくために、そして、人と繋がりを維持していくため …