【発達的視点の重要性】未学習と誤学習を通して考える

発達的視点

療育現場には、発達障害児など発達に躓きのある子どもたちが通所してきています。

著者は長年、療育現場に携わってきていますが、その中で、〝発達的視点″の持つ重要性を強く実感することがあります。

 

それでは、療育現場において、発達的視点が持つ重要性にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達的視点の重要性について未学習と誤学習を中心に、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「木村順(2006)子育てと健康シリーズ㉕:育てにくい子にはわけがある:感覚統合が教えてくれたもの.大月書店.」です。

 

 

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発達的視点の重要性:未学習と誤学習から考える

「未学習」とは、「自己挑戦力」の弱さ、つまり、普通の環境だけでは、自らチャレンジする力が弱く、経験の積み上げが進まない、ことを言います。

 

「誤学習」とは、「自己修正能力の弱さ」、つまり、普通の環境だけでは、なかなか自分から学び直していく力が弱く、修正がききにくい、ことを言います。

 

そして、〝発達的視点″とは、「未学習」と「誤学習」が現状の子どもの姿を作り出しているという考え方です。

 

発達的視点に関連する記事は以下でも詳しく取り上げています。

関連記事:「療育で大切な発達的視点:「自己挑戦能力」と「自己修正能力」をキーワードに考える

 

 


つまり、現状の子どもの発達を分析していくにあたり、「未学習」と「誤学習」は必須のキーワードになります。

 

そして、この点を踏まえてさらに〝発達的視点″が持つ重要性があります。

以下、著書を引用しながら見ていきます。

「なぜ」「いかにして」できるようになっていくのかという「発達のメカニズム」を知ることが大切になるからです。つまずきをもった子どもたちの「実践」や「発達臨床」では、この子の何が「未学習」で、何が「誤学習」だったかを読みとり、意味づけ、そこに対してアプローチを行うことが大切なのです。

 

著書の内容から、○○歳で○○ができるという視点ではなく、〝どのようにして○○できるようになるのか″という「発達のメカニズム」を理解することが〝発達的視点″においてとても重要だと言えます。

その中で、「未学習」と「誤学習」を把握し、それに対して今後、どのような関わり方が必要となるのかを長期的な視座を見据えて考えていくことが〝発達的視点″において大切になります。

つまり、過去⇔現状⇔未来を連続的に把握していく視点が〝発達的視点″だとも言えます。

 

〝発達的視点”を基盤とした学問領域に〝臨床発達心理学”があります。

臨床発達心理学について詳しくは以下の記事で紹介しています。

関連記事:「臨床発達心理学とは?-療育経験からその視点の重要性を考える-

 

 

著者の経験談

それでは、著者が〝発達的視点″の重要性を実感した経験談について見ていきます。

 

まずは、「未学習」の視点からです。

著者は現在、放課後等デイサービスで小学生を中心に療育をしています。

子どもたちは発達に躓きを抱えており、状態像も多様です。

最初は、子どもたちは大人への信頼が希薄であり、他児同士の関係も弱い状態でした。

もともと、自分の力で大人と関係を築いたり、友だち関係を発展させる事が難しい子どもたちだからです。

一方で、放課後等デイサービスといった環境があることで、その中で、安心した環境の中で、人と接点が持てる環境を整えていくことで、そもそも人との関わりが生じにくかった経験を積み重ねていくことができるようになるのだと思います。

社会参加可能な状態を作り出すということです。

あくまでも一部ですが、こうした環境作りが「未学習」への支援だと言えます。

個々によって違いはありますが、今では、子どもたちは大人を信頼し、他児との交流が増えてきたという印象があります。

 

次に、「誤学習」の視点からです。

「誤学習」の視点は、子どもたちによって多様です。

例えば、他児の気持ちの汲み取り方が一方的(本人視点)、他児への遊びの誘い方が強引、遊びのルールを勝手に決めてしまう、人の話が聞けない、など様々なものがあります。

こうした子どもたちの様子はこれまでの経験から身につけた行動、つまり、「誤学習」だとも解釈できます。

放課後等デイサービスでの療育を通して、個別の配慮や支援を受けることで、少しずつ「誤学習」が大人の手を介して修正されていったと感じるケースは多くあります。

もちろん、発達特性が影響している面もあるため、急に誤った学習を修正することは難しいですが、大切なことは子どもの自尊心を下げないように、長期的な視座を見据えて、関わり方を工夫していくことだと思います。

 

 


以上、【発達的視点の重要性】未学習と誤学習を通して考えるについて見てきました。

発達的視点を学ぶことは容易なことではありません。

現場での長い実践経験をもとに、発達に関する知識を習得していく必要があるからです。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達的視点への理解を深めていきながら、子どもたちに必要な支援を考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

未学習と誤学習をキーワードに発達の躓きについて定型児との違いを解説した記事は以下で紹介しています。

関連記事:「【発達に躓きのある子どもとは何か?】発達障害と定型発達の違いを通して考える

 

 


発達的視点を学ぶ上で発達心理学の理解がとても重要です。発達心理学に関する書籍紹介の記事を以下では取り上げています。

関連記事:「発達心理学に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

発達心理学の理解を深めながらも、一定の発達水準から外れる可能性のある、つまり、発達障害への理解もとても大切です。

以下では、発達障害の概要を学べるお勧め書籍を取り上げています。

関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】発達障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け

 

 

木村順(2006)子育てと健康シリーズ㉕:育てにくい子にはわけがある:感覚統合が教えてくれたもの.大月書店.

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